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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王を倒してもらおうと勇者を召喚したらとんでもない御方を呼んでしまいました。2

作者: 水花 宮

勇者召喚に巻き込まれたその道のプロのお話。その道って何だ?

 さて、これが6回目の勇者召喚巻き込まれ事件なわけだが。どうして毎回こういう展開なのだろう。

 目の前には宝飾品満載の王様と、息も絶え絶えという魔法使い、そして見た目は勤勉そうなイケメンの騎士達。それと、添えられた花のように笑顔で佇む王女様?


 「我が国は魔王軍によって滅亡の淵に立たされております。あなたはこの危機を打開すべく異世界より召喚された勇者です。是非、勇者として強大な力を揮って魔王を倒し、絶望の淵に沈む我が国民を救っていただきたい。」


 「あー、ひとつ聞いておくが、その魔王というのは今回初めて現れたのか。」


 「え?ああ、記録によれば魔王はおよそ200年ごと現れて、その都度召喚された勇者に倒されています。」


 「魔王を倒した後の勇者の処遇はどうするんだ。」


 「処遇ですか。えーと、そうですねー。とりあえずうちの娘と結婚?」


 王様の目が泳いでいる。花のように佇んでいた王女らしき少女の笑顔が能面のようになっている。イケメン騎士の一人が歯を食いしばっていた。おそらく王女様の恋人ってところだろう。

 ダメだろうなぁ。不幸な恋人達って感じがする。

 絶望の淵に沈む国民を抱えた王様が豪華な服装というのもおかしいし。


 これはきっと、魔王討伐後は不要になった勇者暗殺ってパターンだろう。大体見ず知らず無関係な人間をよその世界から誘拐して勇者に煽て上げ、戦闘に送り出すというあたりが納得いかない。


 「納得いかないのでおれは帰らせてもらう。」


 「まあまあ、そう言わず、しばらくこの国の現状を見ていただいて、それに、あなたに与えられた勇者の力を確認してからの判断でもよいのではないでしょうか。」


 「勇者様にはこの腕輪を。」


 そう言うと王女様?はレリーフが施された高価そうな腕輪をおれに差し出してきた。


 「これは?」


 「この腕輪は装着者にこの世界のことを解説してくれるお守りです。これから見聞きする初めてのものでもすぐに理解することができます。」


 それはどう鑑定しても隷属の腕輪だった。異世界からやってきた無知な者だとでも思い、奴隷にするつもりなのだろう。本当にろくでもない世界だなここは。

 あいにくおれは勇者召喚に巻き込まれまくって散々な目にあってきているんだ。スキルもそれなりに高い。もういいや。元の世界に帰ろう。


 おれは最初に召喚された世界で共に魔王と戦い、一緒に生死の狭間を駆け抜け、魔王に勝利して帰還したものの、最終的に人間たちから裏切られ殺された親友の大賢者から教えられた魔法を唱えだした。


 「多重次元空間座標規定値設定。並行宇宙連結開始。連絡通路開門。」


 俺の足元の空間が曲がりだす。元居た世界へのゲートが開いた。

 ついでにこの世界を滅ぼしていこう。200年ごとに召喚される無関係な後続者がもう出ることのないように。


 「この星を無に還せ。ワイルドファイア!」


 おれの指先から小さな炎が発射され、石の床に火が付いた。この火は何をもってしても消えない。石も水も土も空気でさえ燃やし、最後には惑星全体を灰にする滅びの魔法だ。


 「じゃあ、さよなら。とんでもない者を呼んでしまったとあきらめてくれ。」


 おれは元の世界に帰還した。

 7回目の召還は・・・ないだろうなあ。



召喚してみたら勇者属性持ちが120万人出てきて侵略されちゃったお話とか面白そうでしょうか?

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