ジルトの仕事・~転生者側~
いきなりで申し訳ないけど俺の名前はユーゼン・フォルラス。神様の命によってこの世界にいきなり飛ばされた転生者だ
前の世界では楠本寿彦というそこら辺にいるただの日本人大学生だったんだけど、80歳近いお爺さんが乗ってる自転車にひかれて打ち所が悪く昏睡状態になってしまったらしい・・・ちなみにこれは神様に聞いた
そんな何の魅力もないただの日本男児が、最近アニメとかで流行りまくってる、なろう系転生者の仲間入りを果たしたのだ。人生本当にどうなるかなんて分からんもんだ。
「さっきからなに壁を見つめてぼーっとしてるの?寝ぼけて無いで早くご飯食べちゃってよね!」
頭の中で自己紹介してる最中に説教してきた女の子。目の前にいるこの子は俺のパーティの内の1人リリエラ・マルテ。スタイルのいい身体はまさに女性そのものなのだが、いかんせん男勝りな部分が強く恋仲の男もできない可哀想な奴である。
「はいはい、分かってますよリリ丸さん」
「そのあだ名はやめろおおお!!」
そう叫びながら思いっきり蹴り込んで来るが華麗にかわす。リリエラ・マルテ→リリ丸
いいネーミングセンスだろ?俺!
「・・・朝からうるさい。2人とも黙って」
ジト目で視線を送ってくる小柄なこちらも女の子のシィラ・クレファトスが小さな声で注意してきた。
「相変わらず声ちっちぇなぁシィクレットちゃんは」
「朝は苦手」
いやいや、朝じゃなくてもそのボリュームでしょ君
「それで?ゼンラ君はいつ食べ終わるのかな?」
ニヤニヤ顔でそう煽ってくるのはチーム内1番のセクシーお姉さんであるユリル・ランゼフィさんだ
「すぐ食べますよ!てか!!ゼンラ君はやめてくださいって!!」
ユーゼン・フォルラス→ゼンラ・・・この世界ではゼンラは別に大した言葉じゃないが日本語だと・・・んまぁ何も言わないでおこう
「とりあえず全員が食べ終わったら今日のクエスト会議するか!早く食べちゃえよ!」
お前だけだろ!!と息の合った3人の怒号が部屋に響いて今日1日が始まった。
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「んーまともなクエストがないなぁ・・・もっと良いのないのか?」
テーブルの上に並べられたクエストの難易度はそれほど高くもなく報酬も全く旨味がない
「これなんかどう?」
そう言いながら1枚のクエストをリリ丸は見せた。
『鉄鉱石の採集~お宝が出るかも!~』
「・・・あのなぁお前お宝に釣られたろ?そんなんバンバン出るわけ無いんだから却下!調子のいい広告の謳い文句に釣られんじゃない」
リリ丸はちぇーと言いながら紙を放り捨てた
「・・・これ」
両手で紙を持ち俺の目の前に思いっきり突き出してきたシィクレットちゃん
「んーなになに?魔法の杖を求めて~あなただけに授けられる真の魔力を求めてみませんか?~・・・だからぁ!魔法の杖なんて倉庫に何十本もあるだろ!!もう要らんわ!!釣られるなっつーの!!」
「・・・ケチ!」
やれやれ・・・まともに決まりそうもないな・・・
「あ、これなんか良いかもな!」
~最近サキュバスの大群が村を襲ってきて限界です!!助けてください!!~
「でへへ・・・サキュバスかぁこれはどげんかせんといかんなぁ!!」
「「却下!!!!」」
シィクレットちゃんとリリ丸が身を乗り出して叫んできた。困っている人のために働こうとしてるのに何が不満なんだ!!
「んじゃーどーすんのよ・・・」
もはや三者三様・・・マジで決まりそうもない
とそのとき
「これにしよう」
ルフィさんが・・・やめておこう・・・この縮め方は後で法的に問題になりそうだ。ユリルさんが手にしたのは高難易度のものだった。
「これはまた一段と骨の折れそうなクエストだなぁ」
飛龍の捕獲及び討伐。龍の子を捕獲し今後の人類への味方にし、邪悪なる飛龍は滅せよ!
「まぁこれくらいの方がやり甲斐はありそうね!!」
「・・・うん、魔法のいい実験台になる」
2人とも異論は無いようだ
「それじゃ少し大変だけどこれにしますか!」
ようやく決まった今日の仕事に向けて万全な準備をする一同であった。