ジルトの仕事・~情報収集~
森で助けた(ということになっている)女性を抱えたまま案内された街に着いた。
行き交う人々はその光景に目を向けるがそのまま通り過ぎる。
「着いたね~♪とりあえずあんたの家まで送るよ。案内してくれてありがとうねぇ~♪」
「い、いえ・・・私の方こそ助けてもらった上に街まで運んで頂いて本当に感謝致します」
「いいよいいよ!んで?あんたの家はどこ?」
「このまま向かって左手にある青い家です・・・」
と言われるままジルトは女性を運んで彼女の家に着いた。
「誰かいる?」
「ハァハァ・・・はい・・・兄が今日は1日家に居ると思います」
家の扉の前まで連れて行くと彼女は大きな声で兄を呼んだ。
「兄さん!開けてください!」
彼女は痛みを堪え、必死の思いで声を出した。
すると扉の方から「はいよー」という声が聞こえた。
「どうした?鍵はあるだろ?自分で開ければいいのに」
そう言いながら扉を開けた兄は目の前の光景に驚いた。
「なっ!?どうした!?」
「ごめんなさい兄さん・・・森で魔獣に襲われてしまって足を折ってしまったんです・・・そしてそのときに助けていただいた方にここまで運んでもらったんです・・・」
辛そうに語る彼女の額には汗がにじんでいた。
「マジか!大変だ!!すぐに医者に!!」
慌てる男にジルトは言った。
「とりあえず中に入れてくんない?ベッドまで運ぶから」
「あ、ああ・・・」
彼女を抱えたまま土足で上がり込み彼女の部屋まで行き、ベッドに彼女を横たわせた。
「はい!これで俺の役目しゅーりょー!んじゃあね♪お大事に~」
「え・・・ま、待ってください!まだお礼が・・・」
必死にジルトを呼び止めようとしたがジルトは意に介さず彼女の部屋を後にし、彼女の兄に別れを告げて家を出た。
「ふぅ・・・さーて♪とりあえず情報収集からかなぁ!アホ転生者は色々功績残してるだろうからすぐ居場所突き止められそうだし聞いて回るかぁ~♪」
情報収集がてら街を探索することに決めたジルトはスキップしながら進み出した。