仕事の会議
「異世界転生?召喚?へーおもろそうじゃん!!」
ジルトが目を輝かせ、ワクワクしたような口調でそう言った。
「おいおい!異世界転生なんざしたら2つの世界のバランスが同時に崩れるんだぜ?こっちとしては迷惑なだけなんだがな」
「その通りだ」
レールベルクはエルドラの発言を肯定し、全員を前に現状を説明することにした。
「まず、最近、異世界転生あるいは召喚という馬鹿げた事態が多発している。原因は主に転移先の召喚士あるいはその世界を統べる神の一方的な思念によるものだ。」
世界を上から見下ろし、淡々と述べる
「転移元と転移先、双方で単なる人間の交換ならそこまでバランスが崩れたりはしない。だが現状最も最悪である転生・転移者に選定された者が転移先の世界では有り得ない程の能力、つまりチート能力で猛威を振るっているということだ」
「あん?どういうことだ?そんな力転移前は無かったんだろ?なんで転移先でそんな力使えるんだよ!」
「んー・・・恐らくですが転移したときに何らかの作用が働いた・・・もしくは神自身が与えたか・・・」
エルドラが疑問に思った答えをディラーがそれとなく呟いた。
「そういうことだ。何の意図があって転生させるのかは分からんが世界の調和を乱していることは確かなわけだ。お前たちもむろん分かっていると思うが、我々組織としての『仕事』・・・それは調和を乱す愚か者共を殲滅させることだ。」
鋭い表情を見せるレールベルクに他のメンバーも表情が強ばった。
「とりあえず早い話、その大量発生してる転生者もとい転生させた神、召喚士を跡形もなく消せばいいんだよね?♪やるやるー!!いやー楽しくなってきたよぉ♪」
小さくジャンプしはしゃぐジルトを見て呆れたようにエルドラがやれやれと首を横に振った。
「まずはチート能力をフル活用し、好き勝手に暴れて名声を集め天狗になっている愚か者の始末を優先させる。その後、神または召喚士の始末だ。」
了解!!っと全員が姿勢を正し返事をした。
「『創造』のウェーガンは今回は裏に回れ。我々との交戦で失われた存在を修復しバランスを保つようにしてもらいたい。それと始末した神の代わりとなる神の創造も頼むぞ」
ウェーガンはコクンと小さく頷いた。
「今回も1人1世界に向かってもらう。同じ世界を回るのは時間の無駄だからな。およその数は数十万、並行世界も入れると数千万か。のんびりしている暇はない。その世界での仕事が終わり次第すぐに次の世界に移れ。」
「ふぅ!!楽しくなってきたな!今回相手にすんのがチート能力持ちってのもあるし骨のある奴だといいんだがなぁ!!」
「ああ・・・そうだ。今回特別にバランサー計を渡す。均衡が取れたことが瞬時に分かるようになる。これで仕事も捗るはずだ」
レールベルクはそう言い、それぞれに渡していった。そして・・・
「行くぞ」
その合図と共にウェーガン以外がそれぞれの世界へ向かった