ころび荘
王都中心より少し離れた所に古いアパートがある。
その一室。ころび荘の大家であるレンタル・ルームは、一番鶏が鳴くより前に起きた。布団を綺麗に仕舞い、ペットのメリーちゃんとワンちゃんに食事を差し出す。
次に顔を洗い朝食の準備を始めた。卵焼きとウインナー、カリカリに焼いたトースト。それに具沢山のスープ。これを人数分用意し、息を大きく吸い…
『起きなぁ、小童供!ご飯の時間だよ!』
上の階からドタバタと物音がし、しばらく経つと階段の降りる音が響く。そして、ドアがノックされ彼女は満面の笑みで彼らを迎えた。
『おはよう!』
『「おはようございます、大家さん!」』
アパート《かたむき荘》
そこは、とても気のいいおばちゃんが大家をしているアパートだ。
『さぁ、ご飯だ!今日の当番はグラスパリーンだね?ちゃんと言えるかい?』
『だ、大丈夫です!このメモがあれば…あぁ!』
『ンメェ〜』
『あっはははは!メリーや、あんたにはさっきご飯をあげたろうに。しょうがないねぇカナダライ、あんたが言い』
『了解です。農家の皆さん、漁師の皆んさん食物に関係する全ての皆さんに感謝して…いただきます!』
『「いただきます!」』
こうして《かたむき荘》の朝は始まる。
かたむき荘…名は体を表すごとく誰もが見てもボロいアパートだ。しかし、そこからは常に楽しい会話が聞こえる。その一部を見てみよう。
グラスパリーンの日課である、ワンちゃんの散歩の時も
『大家さーん、ワンちゃんのお散歩に行ってきます!』
『気をつけていくんだよ!』
『はい!あわわわ、待って〜!』
『あっはははは!あんたが散歩されてどうするんだい?』
カナダライの新商品開発の時も
『どわー!また、失敗した!』
『またかい、カナダライ。爆発させるならトウモロコシにして、ポップコーンでも作りな!』
失敗を責めずに、笑って吹き飛ばすそのスタンスで皆んなをまとめる。
そんな大家がいるからこそ、常に笑顔で包まれている。人情溢れるかたむき荘、現在入居者募集中です。
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