海の子犬たちと、くたびれた猟犬
海…それは幸が眠り人が開放的になる場所…!
ザザァー
ザザァー
『…』
『こんのぉ!』
『キェー』
森…それは自分を見つめ直す場所…!
ギャァー
ギャァー
『…』
『あぁー、のん』
この3人の状況を説明しなくてはいけない。前は見渡す限りの海、背後は鬱蒼としたジャングルが待ち構えている。取り敢えず、浜辺を歩いたが最初の地点に戻ってきてしまった。つまり、島…しかも半日で周り切れる小さな小島。周っている間に人の気配はしなかった。つまり無人島。
1人…帽子を深く被りどうしてこうなったか、考える。1人は木を擦り合わせて火を起こし、もう片方は未だに海で何か格闘している。
あぁ、何故こうなったのか…
きっかけは、自分の追っているお犬さんが有名なリゾート地に向かうと言う情報を入手した。きっと何かしでかに違いない。そう思い、自腹で船をレンタルし追跡を開始…と思ったが、ちょうど聖女集会というビックイベントと被ってしまった。この集会は魔王信奉者の標的にされやすいので、結果として自分も警備の方に廻された。
しかし、女神は彼に微笑んだ。ある大聖女が集会を半ば強制的に終了させ、お犬さんの元へ向かった。
彼女を保護及び護衛という形で、こっそり後を追い出港しまさかの転覆。で、この島に着いたと言うわけだ。
『ほら、マックロが獲れたから捌くわよ』
『こっちも火が起こせたのん』
そして何故、少女2人がいるのか…
ガンハウンドは頭を抱えた。それにしても、歳もいかない少女なのに肝が座りすぎだろう。普通ならパニックになる。そして泣く。
『ほら、あんたもボーと突っ立てないで働く!』
『働かざる者食うべからずのん。腰の銃は飾りのん?木の実が欲しいのん』
ガンハウンドは心中泣きながら木の実を採るため銃の標準を合わせた。
『で、質問だが何でお前さんらは俺が乗っていた船に乗ってたんだ?っと』
巨大な魔魚【マックロ】を手際よく捌く2人の少女に質問を投げかける。素直な顔をして
『「ゴルドウルフが心配だから/のん」』
と口を揃えて答えた。
(おいおい、一体どこにあのお犬さんに魅力があるんだ?)
そして、この少女たちは自分がゴルドウルフがいるリゾート地に攻め入ろうとしていることを知っていた…つまりどこから情報が漏れたのだ。唯一、このことを知っているのはソースカンか船をレンタルした商会だけだ。
『誰からこの船のことを聞いたんだ?っと』
『ふふん、うちにはね【ラッキーティーチャー】がいるのよ!』
『ゴルドウルフのいるリゾート地に向かう船は見つけられたのんが、その船が転覆するとは…ラッキーなのかわからないのん』
勘でこの船を当てたのか、そのラッキーティーチャーには是非とも会いたいものだ。
葉っぱの皿に盛りつけられ、塩で味付けされたマックロは美味しかった。
朝に港を出港し、昼に転覆、そして今、日が沈もうとしている。少女2人は慣れた様子で各々、寝床の用意をし始めた。
(この2人はサバイバルの経歴もあるのかい。虫に刺されなくて風通しのいい場所を選んでる)
自分もそれに習い寝床の準備をした。こう見えてガンハウンドも、サバイバルの心得はあった。ソースカンに軍仕込みのサバイバル術を常に教えられていたからだ。そして、浜辺に高さの異なる松明を3つ設置して寝た。これは救助信号の1つだ。もし夜中に、漁船か商船がこれを発見した場合には救助してくれる可能性が高い。
・・・
・・
・
遠くの陸地で救助信号を見たものがいる。そこに向かって、一直線に進む影があった。そう、ソースカンだ。彼もガンハウンドと共に船に乗り合わせ、たまたま港に流れ着いたのだ。ガンハウンドに教えた救助信号を発見した彼は、同僚の制止を振り切り助けに行った。
バタフライで
一方で別の方法で助けを求むサインを発見した者もいる。ゴルドくんとグラスパリーンだ。
『あ、ゴルドくん!また光りました!』
『あれはミッドナイトシュガーさんの、鏡信号ですね。星の位置から港の位置を割り出し、此方に発信したようです』
鏡信号とは、鏡に光魔法を一定のリズムで当てて通信する手段だ。ミッドナイトシュガーは、寝る前に鏡に光魔法を当てて自動的に救助信号を送っていた。
『解読をお願いします』
『は、はい!
【ソウナン・タスケモトム・X466610Y-310710Z000230・アタリ】
です!』
『座標もわかり、彼女たちならサバイバル実習も受けているので、大丈夫。救助は日の出と共に出発しましょう。グラスパリーンさんは親御さんに説明をお願いします』
『ひゃい⁈今すぐ救助に行かないんですか?夜は危険がい〜ぱい、なんですよ!』
『だからです。彼女たちはサバイバル実習は経験が有りますが、本番はまだ有りません。勝手な行動を取った罰として、一晩頑張ってもらいましょう。それに夜の海は、闇に紛れて海賊が出るかもしれませんしね』
〜to be continued〜




