海の3匹-1
『アァー、アァー』
上空にカモメが飛ぶその場所。そこにゴルドくんは来ている。カモメがいる場所…すなわち海…である。
夏になり太陽がいつもより凶暴化した今日、ゴルドくんはこっそり抜け駆けをして海に来ていた。彼の狙い…それは【海の家】の食事を楽しむこと。海の家には、海水浴客向けにさまざまな料理が安く提供されている。それを今日は味わおうという魂胆だ。
しかし、誤算が生じた。海に行くのに頼りにしていた【浮遊絨毯】はパインパックの護衛のためにいない。では、どうやって海にゴルドくんは来たのか?
『ほほう、これが海か。広いな』
『向こう岸まで、何秒で着けるかな…』
錆びた風と雲の骸だ。最初は錆びた風のみにお願いしたのだが、雲の骸の【凝視】
『自分も連れて行け』
には敵わなかった。
本来なら、馬は所定の場所に繋がなくてはならない。梟は…前例が無いので不明。しかし、ここまで来た3匹は抜け駆け仲間である。なら友として遊ぼうではないか。
『お2人ともこれを飲んでください』
『これは何だ?』
『固そう』
『これは魔薬【GIZINK-Z】です。魔族が人間のフリをする為に使用する秘薬です。これなら、堂々と遊べます』
『いいだろう』
『黒光りだね』
2人は、パクリと飲み込んだ。2匹から煙が立ち始めた。数分後、褐色の長髪イケメンと銀髪の癖っ毛イケメンが現れた。ゴルドくんは、海パンを2人に渡した。
『ほう、これが人間の身体か』
『飛んで移動できないとは不便だね』
『ふぅ、無事に人間になりましたね。さて、何からします?』
『泳ぐ、だろ?』
『そうだね、プールでの水浴びはあるけど海はないからね』
2人と1匹は準備運動を始めた。
身体を丹念にほぐしていく。その都度、浜辺にいた女性軍から歓声が上がる。
『見て見て!あの人、ちょーイケメンじゃない⁈』
『癖っ毛の彼もかわぁいいー!』
もちろん、人間のメスに興味がない2人はどこ吹く風であった。
『おおぅ、これが海…』
『ぷかぷか浮いて、楽しいね』
『浮き輪を持ってきて正解でした』
ひとしきり泳いだ後は、待ちに待った食事の時間。身体から抜け出た塩分を補給する為に、濃い味付けの【ファイヤーそば】を食べる。
『麺…というものは始めて食べるが美味いな』
『ソース?甘辛くて不思議〜』
『青海苔が歯に…』
〜to be continued〜




