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時の箱舟-3

自身の妹の成長した姿を見たプリムラは、そこに立ち尽くすしかなかった。今、間違いなく自分は未来に来ていること。街ぐるみの大規模なドッキリなどでは無かったのだ。そして今度こそ、顔面蒼白になり倒れ込んだ。


『うわ、大丈夫かな?』

『先程も倒れかけたんですよ?彼女は一体…』

『う〜ん、血が足りないのかな?スネカジリ!お肉屋で臓物買ってきて。貧血にはそれが一番なんだから!』

『はい!』


どれくらい経っただろうか?プリムラは美味しそうな匂いで目が覚めた。ベッドに寝かされ、その横には自分の妹が料理をさましていた。


『あ、大丈夫?貧血みたいだから、それに効く料理を作ったんだけど』

『あ、ありがとうございます。いただきます…美味しい』

『でしょ⁈私の尊敬して愛してやまない人の秘伝のレシピなんだから!』

『本当に…美味しいです…』


どこか食べたことのある味でポロポロと涙を流すプリムラ。それを優しく撫でるパインパック。いつもとは違う姉妹関係がそこにあった。

そして、プリムラは多少ぼかしながら自分の身の内を開けた。

自分はうっかり転移用の魔道具に載ってしまい、この見知らぬところに来た。ただ、近所にもある【スラムドッグマート】が有ったからそう遠くは飛ばされては無いと思う、と

これに対しパインパックは


『もしかしてだけど、あなたは山奥の暮らしなの?スラムドッグマートは大陸展開を果たして、この大陸にない地域が珍しいくらいよ?』

『まぁまぁ、パインパックさん。彼女がいたスラムドッグマートに行って見てきます。何か手かがりがあるかもしれません』

『わ、私も行きます!』

『まずはこの料理を食べ終わってからね』


診察室に笑い声が響いた。

ジャイアントに付き添われ先程のスラムドッグマートに来たプリムラ。プリムラが載っていた道具を調べる。ツルツルに磨かれた大理石のような不思議な板材に、針が【長針・短針・秒針】の他に小さい時計が3つはめ込まれている時計。更にそれを繋ぐひも状のものと、役目を終えた呪文札。

ジャイアントはしげしげと、その呪文札を見た。


『僕は感知タイプの魔法使いじゃないからわからないんですが…この呪文札には普通では考えられないほどの魔力が込められていたんだと思います』

『そうなんですか?』

『ええ、その証拠にこの呪文札は焦げて使用不可になっています』


見てみると確かに札は煤で汚れ朽ちている。辛うじて、術式が書かれているのが認識できる程度だ。


『あ…それじゃあ』

『はい、恐らくですが呪文札にこれと同じ術式を書いて、呪文を唱えれば…』

『元のせ、ゴホン元の場所に帰れるて言うことですね!やったーありがとう』


思わず抱きしめてしまうプリムラ。その瞬間!ジャイアントの脳裏に何かが走った。


あぁこのお山どこかで…そうだ。塾長の秘書様と似ている…


プシューとやかんのように湯気を出して、気絶してしまった。


~to be continued~

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