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2匹の犬-2

2匹の犬が向かった浴場は、24時間営業で食事処と仮眠室も完備している。通常より少々値段は張るが家族連れや、夜には疲れを取りたい冒険者、勤め人に人気の大型の大衆浴場だ。かつて、ゴルドウルフが山の上で作った物と似ている。

そして、運命のいたずらか?彼らは出会った。靴箱の木札に手と手が触れたのだ。


『これは失礼、どうぞ っと』

『失礼しました。どうぞ、お使い下さい』

『「…」』


そそくさと別の靴箱を探し、靴を入れた。脱衣所には、深夜限定ダンジョンアタック後の冒険者が多数いた。空いているロッカーは、見る限り2つあり他は使用中か壊れている様だ。


『…』

『…』


まさかの隣あわせであった。


『おい見ろよあのおっさん。いい身体してんな』

『きっと名のある冒険者に違いねぇぜ』


2人はおっさんながらいい身体をしていた。

浴場に入るとまず洗い場があり、その奥に効能入りの湯が数点と激流泡風呂(ジェットバス)とサウナがある。湯に入る作法として、まずは身体を洗い垢を落とす必要がある。

動物系の腸を加工した【シャワー】を使い、頭から湯をかぶる。その後、身体を洗う。


『…ゴルドウルフさんの手ぬぐいはよく泡立ちますね っと』

『えぇ、来月にでも新商品として売り出そうと思ってるんです』


ここでも隣あわせだった。泡を洗い流し、熱めの湯に入る。


『「うっ…あ“ぁ〜」』


おっさん特有の声が漏れる。暫く入り、打たせ湯・激流泡風呂などの湯にも浸かる。そして〆のサウナに2人同時に入る。

ここで静かにゴングが鳴った。


サウナ…!それは男達の無言の戦いの場でもある…

2人のおっさん…入場…!

サウナ室には幸いなことに誰もいない…

まるで2人の戦いを見守るために…戦いの女神【キュルヴァリー】が用意したようだ…


水をかけると熱を発する鉱石が中心に置かれ、そこに水をかけ熱量を調整する。

まずは、柄杓で水をふたかけ。座り熱さを楽しむ。汗がじわじわと流れる。

・・・

シュワァ

・・

シュワァ

シュワァ


どれ位の時が過ぎたか…サウナ室は火口近くを思わせる熱さに到達していた…

おっさん2人は、汗を流し流し尽くしかけていた…

先に席を立った者が敗者…誰が言ったわけでもないが、そんな空気…

そして、立った…

立ったのだ、扉を開けサウナ室を出てかけ湯をし汗を流してから水風呂に入る。


『「あ“あ“〜」』


この勝負、引き分けである!!


水風呂を浴びた後、2人はぬるめの湯に入ってからあがった。身体はいい具合に火照ってる。無言で同じ飲料を注文する。腰に手を当て一気に飲み干す。カルシウム豊富な乳を出す魔牛【タンクミルク】の牛乳を飲む。


『「ぷはぁっ!」』


2人で互いを見る。言葉は交わさずとも今だけは友だ。

食事処で少しアルコールを頼みそれに合うツマミも注文する。はたから見ると、おっさん2人の不思議な空間だったがそれは嫌なものではない。むしろ、長い間 熟成されたウィスキーの様に澄んだ関係を表していた。

腹も満たされ、店を後にする。


『では、また』

『えぇ、それではまた』

『次は負けませんよ っと』

『望む所です』


正反対に歩き、2人のおっさんは足取りも軽い。

そして自分の寝床でぐっすりと寝た。


〜END〜

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