師匠-3
砂をかけたりしてドラゴンを挑発しブレスを誘発させ、遂にそのタイミングが来ました。
『離れろ!』
ブレスが口内で暴発し、ドラゴンの頭が弾け飛びました。エンドさんも少し被弾しましたが無事でした。
『やったな』
『えぇ、やりましたね』
コロシアム内は騒然としていました。それもそのはず。武器も魔法も使わずに、手枷の鎖のみでドラゴンを倒したのです。
『では約束通り、解放してもらいましょうか?』
『くっ!しかた…ないじゃん!』
その時コロシアムに仕掛けられていた弓矢が、背後から私めがけて飛んできました。
『危ない、ゴルドウルフ!』
エンドさんは私の背後に周り、矢から私を庇いました。もしモンスターが暴れた際の対策の1つなのでしょう。それを合図に四方八方から矢が発射され、残りの奴隷も矢の餌食にかかりました。元々、約束を守るつもりはなかったのです。エンドさんは私を庇う様に押し倒し、最後まで私を守って下さいました。
『エンドさん!』
『ゴ、ルド…ウ、フ…き…よ』
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『それで?それでどうなったのですか⁉︎』
『矢が全部出尽くした時、憲兵がやって来たのです。私の参加していたパーティの戦勇者さんと潜入捜査していた導勇者さんから通報というもので…』
『そんな…』
『余りにも遅い到着でした。あと少し、あと数分早かったら、エンドさんは助かったかもしれません。彼の最後の言葉は怨みではありませんでした』
【ゴルドウルフ、生きろよ】
『最期まで他者を思い尽くしたのです』
その後、コロシアムの関係者は軒並み逮捕されました。あの、跡を継いだ息子さんも捕まり、私はエンドさんと馴染みの深い冒険者さんと一緒に彼を埋葬しました。
私はどんなに忙しくても必ず、今日この日、エンドさんに助けていただいた日にお墓参りをしているのです。
私は想うのです。彼は自分の事を華の根だと言っていましたが、人の為の動ける彼こそ華だと…
『そうだったんですね。ごめんなさい、私は付いてくるべきでは無かったですね』
『そんな事はありませんよ』
『ありがとうございます。そうだ、安らかに眠り続けれるように【祈りの歌】を歌わさせて貰います』
その日、霊園にはとても美しい歌声が響いたという。彼女の歌声を聴いたものは、みな幸せな気分になり、死者の霊は天界へと無事に昇っていった。
~END~




