パリ・タワーは勇者様の息子-1
このお話は、原作第3章16話【狼の大反撃】の後のお話となります
スラムドッグマートを経営しているゴルドウルフが開校した【スラムドッグスクール】
ここでは身分問わず平等に生徒達が、将来のために勉強しゆくゆくは冒険者になったり家業を継いだりする。普段は笑顔に包まれているがどうやら今日は違うらしい。
『ちょっと、パリ君!僕ちゃんが持ってきたボードゲーム返してよ!それは皆で遊ぶ為に持ってきたんだ』
『うるせぇこのボンボンが!それにおれ様のことは【パリ様】と呼べと言ってるだろうが!俺の祖父はな偉大なる勇者【ゴットスマイル様】だからな』
彼の名は【パリ・タワー】
祖父をゴットスマイルに持つ勇者の血族だが、彼の父親【ジェンガ】がゴージャスティスの性を捨てて母親の家に婿養子となった。その為、タワー性である。
『パリ、私の可愛いパリ。起きなさい』
『うるせぇ起きるよ!』
母親に起こされることから、パリ・タワーの一日が始まった。
『おはよう、パリ。よく眠れたか?』
彼がリビングまで行くとそこには、覇気の薄い男がいた。元戦勇者で現在は冒険者の父だ。
彼には半分、勇者の血の半分が流れており当然パリにも、同じ血が流れている。パリはいつも考えていた…
『勇者様の血族ならこんな生活しなくてもいいはずだ!家は普通の一軒家だし飯はパンにスープというごく普通のものだ。本当なら屋敷みたいな所で暮らして、朝はメイドに起こされて朝にはパンではなくクロロワッサンで具沢山のスープが出てもおかしくないのに…』
と。
彼は他の勇者の親族の生活を知ると常にそう考えていた。今日もこの間おきた火事の跡地を整理して建てた【炭焼き小屋】で、勉強と思うと気が乗らない…以前まではランクは低いが勇者専門の私塾に通っていたのに…
そう…彼の父のジェンガはゴルドウルフが私塾を始めたと知るや否や、真っ先に申し込んだのだ。金づるを逃すものかと勇者スクールはなかなか手放さなかったが、謎の失踪を遂げたミッドナイトシャッフラーのゴタゴタで抜けることが出来たのだ。当然、彼は父親に抗議したのだが…
『あそこでは学べない物が此処にはある。それをしっかり学んで欲しい』
と問答無用で入校させたのだ。
やってられるか!彼の足はスラムドッグマートとは別の方向に向かって行った。
『あれは…』
『ジャイアント、どうしたの?』
『スネカジリ君、先に行ってて!』
『え、ジャイアント〜待って〜!』
~to be continued~