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異国の地[シブカミ]よりはるばると-2

客室に通されたツマミは中の装飾にも目が奪われた。決して豪華ではないが、我が国の【ワヴィ・サブィ】を感じる。そして客室にリンカーネーションとゴルドウルフが来た。そのたわわなお山に腕を挟まれながら…


『お待たせして申し訳ございません。本日はどの様なご用件でしょうか?』

『はい、不躾な願いをしに参りました。かつて我が国王がマザー・リグラスに献上した【マサチチ】をお返しになる様にお願いに参りました』


刀を使わず、お飾りのままで終わるのは武士の魂に非ず

それを伝えると


『そうですか…マザー・リグラスの思い出の1つですので心苦しいですが…』

『ママは返した方がいいと思うわ。確かにお母様の物が減ってしまうのは悲しいけど…帰るべき故郷に帰してあげるべきね』


ふと隣にいるのは本当にどたぷ〜んなリンカーネーションなのか?ゴルドウルフはチラリと盗み見ると、確かにリンカーネーションだが薄っすらとリグラスを感じた。そう神々しさが増しているのだ。これが文献にある大聖母の覚醒…?

ぼんやりそんな事を考えながら【マサチチ】を持ってきて渡すゴルドウルフ。


『はい、しかと確認いたしました。迅速な対応ありがとうございます』

『この後はどちらに?』

『祖父と観光してから帰ろうと思います』

『そうですか、門前までお見送りします』

『ありがたき幸せにござる。そうそうこれは私の家内が染めた反物です。お礼と言ってはなんですが、納めていただきたい』


普段はボケた祖父が始終まともで…ツマミは違和感を感じた。


『むぅ、この生地の染め具合…相当やり手でなくては出せない色合いですね』

『左様。我が国の特別な草を持ち要りましてな。それで染めて冷たい川水で締めて、色をつけまする』


ボケた祖父が始終マトモでツマミは意味がわからなかった。その時である。屋敷に従属している女騎士が慌てた様子でこちらに来た。


『皆さま、お逃げ下さい!魔物の群れが此方に向かっているとのこと!至急避難を!』


普通ならば聖女屋敷周辺…特にマザーの屋敷は【聖なる氣】により魔物は寄ってこない。しかし、低級魔物の住処に上級魔物が来た場合は、逃げる為に稀にこういう事が起きる。


『なんとそれは一大事!ツマミ、後は託した!』

『は?はっは!』


武士魂に火が点いたサシミは刀を抜き、魔物の群れに突っ込んで行った。それは余りにも無謀。だが死を覚悟で相手を殲滅する時、通常の何十倍もの力が出る。これはシブカミの国民のほんの一部に宿るスキル【神風】。サシミはこのスキルを持っていた。

そしてその影を追う者


『なぜ貴殿も来る?』

『ご高齢の方に無理はさせてはいけませんから』

『そうか、ならこの【マサチチ】の斬れ味。どうかその肌で感じて頂きたい!』


マサチチを受け取りスラリと鞘から抜く。確かに恐ろしく斬れそうだった。


『扱いのコツは、剣のよう叩くではなく滑らし、刺すのではなく突くのでござる!』


共に背中を預けながら斬り、突き時に拳で戦い無事に魔物を殲滅できた。


『はぁはぁ、【マサチチ】ありがとうございます。知り合いの職人に綺麗にして貰ってから、お返しします』

『いや、それは結構。その刀は御主を好いてしまったようでござる。どうかそれを大切に使ってくだされ』


シブカミの伝説で長く物を大事にしていると、神の使いが宿るというのがある。どうやらゴルドウルフが手にしている【マサチチ】は、主人としてゴルドウルフを認めたようだ。


『待て、じい様!国王の命を無視する訳にはいかない!出来なければ死あるのみ』

『そうか…死か…ならば儂の首をくれてやろうぞ!元々、今回の件もおかしかったんじゃ!大方、あのボンボンが自分の金目の物が他国に渡るのが嫌で命令したこと。所詮、【マサチチ】を持って帰っても飾られるだけで使われはしない!お主も言ったろう【お飾りのままで終わるのは武士の魂に非ず】と!使われない刀はどんなに苦痛か!儂は老いて、刀を握るのが減った時、申し訳なかった!自分の相棒と語れないからだ!』


話終わると同時に、自身の腹に刀を突き刺し横に引いた。


〜to be continued〜

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