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異国の地[シブカミ]よりはるばると-1

正月を迎える数日前。次男の子ライオンを谷底に落とし、ひと段落着いたゴルドウルフ。彼はリオンから買い取ったコレクションの整理をしていた。


『はぁ、やはりこの銀剣は美しい…』

『意外だねー我が君にこんな趣味があったなんて!』

『これ、プル。そのような事は言うのではありません。でも確かに意外でした。我が君はこういうのは商売…ひいては目的の為に買ったのではないかと思ったのですが』

『勿論、目的の為でもありますが長年ダンジョンに潜って、様々な骨董品を見るうちに惹かれたんです。あぁ、これを作った人はどんな気持ちで作り、これの依頼主はどんな気持ちで使ったのか…とね。浪漫です』


天使と悪魔は話を聞きながらコレクションを見て回った。素晴らしい骨董品に歴史的価値のある武器、そして【ンタユリゴ】の絵画…その片隅に小さくだがオーラが纏う展示スペースがあった。


『な、なんだろう、ルク!ボク、嫌な汗を掻きそう!』

『そうですか?私は心地よい風が吹いている気がします。見てきます』


そのスペースはかつての大聖女[リグラス]の遺品が丁寧に祀られていた。何かのモンスターの角を加工した杖に、彼女が着用していたドレス。そして刀身の細い剣があった。鞘から抜いて見ると吸い込まれるような輝きを放っている。


『綺麗…』

『あわわわ、凄い!こんなので斬りかかれたらボク真っ二つになりそう!』


人ならざるプルがそこまで言うこの剣。よほどの業物。マジマジとルクはその剣を観察する。オリハルコン製ではないが素晴らしい輝き、そして斬れ味…これほどの物は国中探してもそうそうない。


『これはマザー・リグラスが、シブカミと言う東の国を訪問した際に国王から献上された物ですね』


ちょうどその頃、ルタンベスタの領主の屋敷で2人の異国人が挨拶に来ていた。


『ほほう。事情はわかりました。では特別にその方の住所をお教えします』

『ありがとうございます』

『なぁ〜ツマミよ。ご飯はまだか〜』

『さっき食っただろうがクソ爺!』


『おぉ!凄い凄いぞ、ツマミ!ここが流田部洲田か』


はぁとツマミと呼ばれた青年は溜息をついた。彼の名は【イヤンモト・ツマミ】この国では名を告げてから姓を述べる習慣なら【ツマミ・イヤンモト】となる。彼はかつて国王が、この国の巫女(シブカミでの聖女のいい名)に献上した【刀】を取り返しにきた。どうせお飾りになるぐらいなら、自分の国に里帰りさせようと思ったのだ。

今の王もそれに賛成し特別に渡航許可を出してくれた。いくら世界共通の敵【魔王】が倒されても油断はできない為、基本的にシブカミは鎖国状態だ。

しかしなんの手違いか自分の祖父も付いてきた。かつては二刀流でこの人ありと言われたが、今ではボケ老人。飯を食ったことさえ忘れる始末。下の世話が不要なのが唯一の救いだ。

目的の門前に着くとまずその純白な漆喰で塗られた屋敷に見惚れた。門前で領主直筆の署名を見せ、目的の人物を呼んでもらった。


『はぁい、何方ですか?』


どたぷ〜んな彼女がパタパタと来た。ツマミは思わず前屈みになった。


『あら〜どうしたの?どこか痛いのならママ治しちゃう!』


違うぞ、マザー。貴方が胸を揺らすたびにこちらではフジの山が爆発寸前だ。チラリと祖父を見ると、思わずギョッとした。ダバダバ涙を流しているのだ。


『おぉ、リグラス様。お懐かしい限りでございます。某のことを覚えてくださいますでしょうか?』


この爺、何言ってやがるんだ?真写にある顔と面影が似てるが違うだろ!こんなにどたぷ〜んじゃねぇ!


『あら〜御免なさい。私はマザーだけどマザーじゃないわ』


その言葉は先代の死を意味する。事前に勉強したツマミは理解した。しかしサシミは


『あいすまない。確かに貴女様はリグラス様では無かった。しかしリグラス様の氣を感じますぞ』

『うふふ、入って入って。りょうちゃんからのお使いでしょ?ママ知ってるからどうぞ〜』


巫女の家には例え家族でも男性は立ち入りを禁じられている。そう勉強したはずだが…

さぁ、どたぷ〜ん山に攻め入り何が出るやら?


〜to be continued〜

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