食いしん坊と食堂のおばちゃん
アントレアの街にある冒険者に人気の食堂【残飯出したら折檻やで】
その名の通り出された注文を残すと他の冒険者達から折檻にあうという恐ろしい店だ。だが味は絶品で、さらに安く量は多いと良いことづくめ。残してしまうのは、自分の『腹メーター』を把握できなかった弱者だけ。残した場合はお持ち帰りも出来る。今日そこに1組の新顔が来た。
『おいおい、お嬢ちゃんがこの店で飯を食うのか?』
『辞めとけ辞めとけ、嬢ちゃんには真向かいの【セレブリティレストラン】がお似合いさ』
『大丈夫!ボクお腹ペコペコだからさ。ねぇ、我が君!どんなに食べてもいいの?』
『ええ構いませんが、食べきれる分だけお願いしますね』
そう、ゴルドウルフとプル…来店!この美味なる匂い渦巻く店内に入場!
『ご、ご注文はなんにしまひょ?』
食堂のビックママ【トメ・オカメ】が受けて立つ。お品書きを目を通して注文…
『日替わり定食で』
『ボクは〜この【わんぱくビック盛り】で!』
ざわ…ざわ…
『馬鹿な…嬢ちゃんの腹にあれを納めるつもりか?』
『今ならキャンセル出来る!するんだキャンセルを!しないとカロリーがヤバいぞ、明日の体重計に日は昇らねぇ!』
『しない!おばちゃんお願い!』
『かしこまりまひゅた』
数十分後…トメ、日替わり定食をゴルドウルフに出す今日の定食は【煮魚定食】
『あれ〜?ボクのは?』
『お嬢ちゃんのはアレさね』
屈強な冒険者2人がかりで運ばれる大皿【わんぱくビック盛り】はわんぱくな子供が大好きなカレー、ハンバーグ、ナポリタンなどなど…そして国旗が刺さった山盛りご飯!巨大なお子様ランチ!ゴルドウルフ…これには少し口が開く。それほど規格外!
「『いただきます』」
食べる食べる食べ尽くすぅ〜!
「『ご馳走さまでした!』」
完食!
『マジか、あれを完食したぜ』
『美味しかった〜!あったかくてポカポカする味だったよ!』
『ひょひょ、ありがとさん』
アントレアの街にある冒険者に人気の食堂【残飯出したら折檻やで】
その食材は常連の冒険者によって賄われる。そう、みんなビックママのご飯で育てられたから!その恩返しである。
~END~