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女子友のリグラスとサクラ

このお話は原作3章【ジャストムーン2019】を読んでから読むことをお勧めします。

そうあれは私がこの世に生を受けて、間もない頃の話。幼い頃の私は、まだまだ世の中を知らなくて自由気ままでした。ある日、私は山を走り回っていると不思議な団体に出くわしたんです。豪華な馬車を引く白馬というのが印象で良く覚えています。

私はこっそり後をつけました。夜になるとその団体は、山の中腹あたりで野営を始めました。こっそり草陰から見ていた私ですが、不用意に音を出して気づかれ…


『そこに誰かいるの?』

ーはい、います。ごめんなさい、すぐに立ち去りますね

『待って行かないで!お話ししましょ?』


これがリグラスとの出会いです。私は彼女と沢山のお喋りをしました。リグラスは自分は人間の聖女であること。魔族による被害が出た地域に赴き【祈り】を捧げ、皆を幸せにする旅の途中である事など。

私はまだ幼いがいつか、父のペガサスのように強く母のユニコーンのように綺麗になりたいと夢を語りました。

2人で楽しくお話ししていると朝になってしまいました。ここでお別れとなると悲しいですが、リグラスは自分のつけていた色々な毛が編み込まれた腕輪を私にくれました。


『これをあげるわ』

ーありがとう。私も何かあげたい

『じゃあ、貴方のたてがみで腕輪を作って。作り方を教えてあげる!』


彼女はニヘラと笑い作り方を教えてくれました。そしてお互いに腕輪を交換し、寝床に帰ると母に叱られました。人間とは利己的な生き物で、危険だから近ずくなと言われました。交換した腕輪も捨てられてしまいました。

それから幾年か経ち、私は偶然にも捨てられた腕輪を発見したのです。ずっと探していて見つけた喜びは大きかったです。しかし、驚くことにその腕輪はチカチカと点滅し宙に浮いていたのです。まるで助けを求めるように…途端にその腕輪は動き出しました。私は必死に後を追うと、そこは2人で会った思い出の場所でした。しかし辺りは血の海…

見ると魔物が暴れたようで死体があり人間達も虫の息です。見覚えのある馬車に私は目が止まりました。


私は自分の心臓が今までにないぐらい、うるさく聞こえました。


もしや、リグラスまでも⁈


角を使い馬車の扉を開けると彼女がいました。ポロポロと涙を流して。


ーリグラス!

『あ、貴方はあの時の…?』

ーえぇ、お久しぶりね

『お久しぶり…私のせいでみんなが…』


後から知ったのですが今の時代、勇者が魔王を倒すためにあちこちで活躍しているそうですね。浄化として聖女も同伴しています。魔王は、聖女の存在が邪魔になり襲ったそうです。


『私の【祈り】ではみんなを救えない…ウゥゥウウウウウ』


私は泣く彼女を見つめます。彼女は腕輪をしていました。そう煌びやかな服装には合わない、ボロボロの腕輪です。


ー泣かないでリグラス。私の角を使って


ユニコーンの角は生涯1度しか生えません。その角は万病に効く薬にもなりますし、何より【処女の生き血とユニコーンの角】を合わせた【祈り】は死者をも生き返らせると言われるほど、強力なものになります。角を得るには、ユニコーン自ら認めた者に渡すか、オリハルコンで出来た剣で切り落とすしかありません。


『でもそんな事をしたら、貴方はユニコーンではなくなってしまう!』

ーいいのよ、友のためなら喜んで捨てるわ

『ありがとう、ありがとう。お礼に名前をあげるわ』


名前…それは生き物が1つ上のランクに上がるもの。


『サクラ…貴方の名前はサクラよ。その美しいピンク色のたてがみから名付けるわ』

ーいい名前ね

『ふふふ』


彼女は歳を取ってもあのニヘラ笑いで、名付けの由来を話してくれました。


『サクラ…遥か東の地【シブカミ】に咲いてた花の名前よ。ではサクラ、角を…』


私は角を落とし、リグラスは指を噛み血を垂らし【祈り】を捧げました。そして人間達は息を吹き返しました。


『ありがとう…本当にありがとう、サクラ』


これが私とリグラスの話です。それから彼女とは会っていません。今もきっと何処かで、あのニヘラ笑いで人々を笑顔にしている事でしょう。


~END~

伝説でもユニコーンの角は解毒作用があるとされます。

やっぱり、やりすぎたかなσ(^_^;)

酷な話ですが、リグラスはこの後に結婚し処女ではなくなるので、自分はサクラに会う資格はないと思い込んで再会していません。

サクラについては、たまたまゴルドウルフがリグラスの手記を見つけて知っていた、というとんでもない設定です(^-^)

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