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勇気ある者【Ⅱ】

その夜


『はぁ』

『おや?どうしたんですか、ワインレッドさん』

『あぁ、オッサン』


彼は口を開いた。今までこの山に登って、キャンディレッドを採掘を請け負ったのは自分のような勇者だけ。つまり、麓の住民を危機に晒しているのは勇者という事だ。これは許されざることではない。自分はどうすればいいか、わからない。


『そうですか…この山の攻略はいつもボンコス家の方が、尖兵として活躍していて私も山のこの状況は知りませんでした。いずれ、大変な事になる気がします』

『はん、オッサンなんかに弱みを見せるようじゃあ 俺もダメかな?』

『そんな事はありませんよ。自分の目的より他者を気遣う…ゴットスマイルさんのようです』

『お世辞でも嬉しいね』

『ですがこの山が危険なのは確かです。今回の依頼が終了後にでも、上層部へ掛け合うべきです』


~~

依頼のキャンディレッドの採掘量はまだ足りない為、しばらくこの地に滞在する事が決まった。そして5日目、ついに恐れられていたことが起きた。その日の朝は、地が揺れ立つのも一苦労というほどだ。


『な、なんだよ!昨日はワインは呑んでないぞ?』

『これは…地震です』


宿を出ると住人たちは大急ぎで避難の用意をしていた。


『あぁ、山神様がお怒りじゃぁあ!儂が小さい頃にも、これぐらいの地震の半日には大噴火が起きたんじゃ!』


無理な採掘を続けた火口内部は限界のようだ。噴火するまでもってあと、12時間と言ったところだろう。


『早く逃げるですぅ!』

『逃げる』

『…う、うるさいうるさい!逃げたければ逃げればいい!俺は今回の依頼が成功すれば昇格するんだ!』


そう言うと、2人は転移魔法でとっとと逃げてしまった。ワインレッドは1人、ため息をついた。


『どうしたオッサン。オッサンも逃げればいいじゃねぇか』

『いいえ出来ません。依頼を口実に彼女たちを逃し、山の様子を見に行こうとしている勇者さんを置いてはいけません。尖兵は先陣を切る為に、後方を守る為にいるのですから』

『ふん』


2人は山に向かって走り出した。


12:00

~~

息を切らせながら火口までいくと、尖兵はロープを近くの岩場に固定した。それを使い懸垂下降をして降りていく。


『うわぁ…』

『これは酷いですね…』


元々乱暴に採掘されていたために脆い場所ができ、それが崩れ大量の岩がマグマに入りその衝撃で噴火の予兆が起きたのだ。


『くッ、オッサンの言う通り、広く浅く少しずつ採ればこうはならなかったはずだ!なのに一箇所で取り続けるから…!』

『今は怒っている場合ではありません。どうするか考えましょう』


周りを見渡し考えを巡らす。そして1つの案が浮かんだ。


『オッサン、【大魔導女学園】に行くぞ!』

『え?』


9:30

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