聖女の在り方
教会、それは聖女たちが女神に祈りを捧げ、時には愛する者が永遠の誓いを立てる場所。そこにお淑やかとはかけ離れた足音を響かせ、歩く人物がいる。彼女の名は【レンタル・ハウス】。グラスパリーンが借りているアパートの大家だ。
『ここは何も変わってないねぇ』
『あ、貴方は?』
『おや神父。あたしを知らないとはモグリだね?聖女レンタルとはあたしんだよ』
『聖女レンタルだって⁈あの、歩けば蓮の花が咲き、汚水の湖でも洗顔すれば湖の方が綺麗になるという⁈』
『昔の話さね。さて、神父話がある』
レンタルは話した。近頃の勇者はなっていないが、聖女もそれと同等になっていないと。
『はぁ、今はその協会も資金ぶりが難しくて…その…』
『フン、金でホイホイ聖女にさせるってのかい?過去の灰色の聖女…忘れたわけじゃないよね?あの子たちこそ聖女に向いていると私は思うがね』
『それはその…』
『ウジウジの意気地なしだね!結局は金が無いから金の亡者に遜ったんだろう?なら遜らなければいい』
『でも、そうしますと教会の運営が…』
『任せな。アレをやるのさ』
『ま、まさか!』
『そう!坊ちゃんが出てくる前の聖女がやったことさ!歌さ!聖歌で寄付を募るのさ!よっぽど、貴族の汚れた金よりいいさね』
後日、聖女レンタルの名においてかつての同期が集まった。みな家庭持ちだったり古き聖女だったりとしたが心は1つだった。そして、伝説とされた聖歌が歌われた。
金で靡くのは聖女じゃねぇ♪性女だ!
聖女は皆を愛し、笑顔にし救う者!
さぁ、歌おうじゃないか聖女なら♪
ついでに女神様も叩き起こし、創造神様も踊ろう♪
みんなで歌って踊れば、悪魔も目を回す!
なんなら一緒に踊ろう悪魔も、魔王も♪
みんなで歌って踊れば仲良しさぁ〜
その歌声は教会を越え、国中に聞こえたという。ある貴族は涙し今までの行いを恥て、真っ当になった。ある聖女は、推しの勇者以外は眼中になかったが他の者も見るようになった。
これがレンタルたち同期の聖女の祈り【サウンドマジック】!歌唱者全員の心が一つになった時に発揮されるものだ。本来なら祈りの作法がある。しかし貧しい者は、その作法を学べない。なら気持ちだけでも女神に届けという願いで生まれたリンカーネーション と似たオリジナルの祈り。
この出来事で少しだけ教会が生まれ変わるのはあと少し