表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/109

相棒

人混みが激しい街とは正反対の場所…即ち森…さらに静かと言うには生易しいジャングル…

そこにゴルドくんは来ていた。ジャングル名【メビウス・メェイズ】といい、一度入れば抜け出せない永遠に彷徨うジャングルとして有名だ。抜け出せないのなら上空に飛べいいのでは?そう思う人も居るだろう。しかし、木の高さは通常の倍以上でジャングルの土壌のせいで木の成長も早く、鬱蒼とした枝が邪魔をする。例え焼いてもすぐに元に戻るため効果はあまり望めない。方位を知る魔道具もここでは意味がない。空気中の魔素が濃すぎて機能しないのだ。

そんな所にゴルドくんは道中見つけた、シュガーバナナを食べながら散歩気分で歩いていた。


パキッ


枝を踏み抜いたその時、前方から直径10mm程の黒い何かが飛んできた。それをバナナの葉でキャッチする。


『随分なご挨拶ですね』

『あなたは誰?』


しがれた声が返ってきた。


『私はウッドさんに頼まれて、あなたを迎えにきた者です。パラレル・ダイス さん』

『…〈空へと浮かぶその城は〉』

『〈僕らを乗せて飛ぶよ〉』

『…どうやら本当の様ね。合言葉が言えたから』

『用心深さはピカイチですね』

『当たり前でしょう?ここは人の記憶からその人物に成り代わる【ピーポーゴースト】もでるから油断できないわ』

『では…』

『貴方は偽物よ!ピーポーゴースト!〈お化けなんて怖くない〉』


ピーポーゴーストを退術させる呪文を唱える。すると、先程のゴルドくんは消えてしまった。


『お見事です、パラレルさん。よく彼が偽物だと分かりましたね』

『…簡単よ、ゴルドウルフさんからゴルドくんは甘い物好きと聞いてるわ。そんな甘い者好きが、シュガーバナナをそのまま食べるわけない。炙ってから食べた方が甘味が増すのは、甘通では常識…だからよ』


パラレルが振り替えると、そこにはバナナの葉で蒸し焼きしたシュガーバナナを頬張るゴルドくんがいた。


『助かったわ… 私ったらまた迷子になっちゃって、もう3日?4日もこのジャングルにいたのよ』

『一度入ったら死んでも出れないと言われるジャングルで、正気を保てるのは凄いです』


話しながらゴルドくんは1株の木を植えた。その木は【ハウスツリー】と呼ばれる品種で、成長すると中に窪みができ冒険者の仮拠点に出来るものだ。主にダンジョン近くの森に植えられている。

植えてから物の数分で、中位まで成長した。本来ならあり得ない事だが、ここのジャングルの土壌は栄養豊富で在来種以外の植物を持ち込むと瞬く間に成長する。


『パラレルさん、お願いします』

『わかったわ』


パラレルはゴルドくんを抱えると、カンガルーの様な足を縮めて飛んで窪みに入った。窪みは広く大人が2人入っても余裕がある位だ。


『この成長速度からいくと、明日には他の木を突き抜けますね』

『そうだね〜』


メビウス・メェイズ…唯一助かる方法がある。それは、木又は木の実を植え成長する木に乗り上空に出たら飛ぶという荒技だ。不思議なことに、枝を燃やすなどの破壊行動をするとメビウス・メェイズの木はすぐに再生するが、新しく生えてくる木がある場合はその木のために生い茂る葉をどかすのだ。

次の日には木はすっかり成長し、周りを見渡せるほどの高さになった。


『では、この絨毯で行きますよ』

『了解〜』


スラムドッグスクールに新しい講師が来るまでもう少し。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ