臨時講師-3
『な、何が起きたのん?』
『…恐らくだけどウッドの片腕から何か出たのよ』
そう、ウッドは圧縮された空気を鎖が出た手とは反対の手から発射したのだ。空気とは、圧縮すればするほど爆発力が増す。近距離で発砲されたら威力はたまったもんじゃない。
『ワッハハ!空気とは驚いたわい。だが、少し遅かったみたいだな』
『くそ…負けたか』
何処に飛んでたのか、ガリガリな鳥がウッドの肩にとまった。
〈プー!プー!〉
『ありがとうよ』
〈アリガトウヨー!〉
『それにしても見事な戦い方だ!目が見えないのを耳に置き換えて戦うとは…天晴!』
ウッドは過去の出来事により、目と両腕が機能していない。ガリガリな鳥は、上空に飛ばさせて甲高い鳴き声で敵の位置を知らせていたのだ。だが、そうするとバレるのでは?と思うだろう。ガリガリな鳥、種類をモスキーバードといい、この鳥が放つ鳴き声は人の耳には聞こえ辛い程の高音だ。稀に幼い子供は聞こえるそうだが。しかし、ウッドは視力を補うように聴力が発達し難なく聞こえる。さらに高音の反射で、イルカのようにモノを立体的に取らえられるのだ。
『俺がここに来たのは、戦いの場は常に見えるとは限らない。それを教えるために来たんだ。闇に目が慣れるまで…とかそんな甘っちょろい考えでは、すぐに死ぬからな!』
生徒全員に目隠しをさせて、まっすぐ歩く練習からさせるのであった。
〜END〜