Satellite.1-4
|д゜)つ今回もちょっと短いです。
城門付近、街道。魔物のスタンビート、街への侵入を防ぐために死守する衛兵達。
だが衛兵がもつ装備はARMED含めあくまで量産品。そしてここは悪魔で辺境の街故、そこまで衛兵の練度も重視されていない。
そのため、衛兵達は必死に守っているが突破されるのは時間の問題であった。
魔物たちの行軍は止まる気配すらなかった。戦闘を突っ込む甲級はその歩みを止めず、
後続の軍隊級は甲級が轢いたあとの屍肉を喰らいながら進む。
そして支配級が衛兵のARMEDを遊撃し、甲級の餌食にする。
どうやら熱戦級と胎児級は遥か後方から様子見をしているようだ。
「衛兵達ではやはり無理か…。突貫する。ついてこい。」
アサルトライフル ───RK-44を取り出し、牽制射撃しつつ、
スケーティングを動かし、機動させつつ、魔物の集団に突っ込んだ。
甲級は俺のことを眼中になく、突っ込んでくる。
甲級は確かに前面と背面に関しては実弾を弾くほど装甲は硬い。
だが弱点もある。
この装甲は、後部と腹部にはついていない。
故に後部装甲と腹部は非常に強度は低いのだ。
心改は甲級の足元に滑り込み、RK44を放つ。
息絶える甲級。
「まず1体。」
甲級は1体やられたぐらいでは突撃はやめない。突撃を続ける甲級を回避しつつ、後部にRK44を放ち続ける。
そして近づいてくる小型の軍隊級には左腕に持ったハンドガン──MOSQUITOで撃ち払う。
「右側面に支配級1」
「諒解。」
指揮官からの指示がとぶ。
MOSQUITOを右側の敵に放つ。そして怯む支配級。
その隙をすかさずRK-44とMOSQUITOを支配級に向けて斉射する。
支配級は銃弾の餌食になり、それきり動かなくなる。
甲級は確かに強力だが、あくまで突進しかできないため、後部を狙うのは容易だ。
そのためどんどん甲級は朽ちていく。
支配級も支配したARMEDの性能をそのまま使えるが、あくまで性能だけだ。
のっているパイロットの思考パターンまでも支配することはできないため、
複雑な操作ができない。
だが、確かに甲級や支配級は10,9,8…と次々と数を減らしていくが、
弾はそこまで持つわけはない。
やがて、弾が切れる。
「弾切れか。なら…これを使うまで。」
アサルトライフルを腰部に仕舞い、
刀型ブレード──黒蓮を抜き去る。
黒蓮なら甲級を前面から切り伏せることができる。俺は待ち続ける。
残りの魔物は甲級4、支配級1、胎児級4だ。
「クラウスさん聞こえますか?胎児級と熱戦級が進行を開始しました。このままだと3分後にこちらが熱戦級に補足されます。」
「胎児級はまだ接近まで時間がかかるな?」
「はい、胎児級が接近するまではあと10分後ぐらいです。」
胎児級が接近するまではあと10分。熱戦級がこちらを捉えるまでがあと3分。
つまりそれまでに甲級と支配級を倒さねばならない。
幸い支配級には射撃兵装は装備されていないため容易に対処は可能だ。
甲級も黒蓮を抜いた以上、そこまで危険ではない。
両断すればいいのだから。
Gluuuuuu!
甲級は尚も俺に向かって突進を敢行する。
だが、結局はただの装甲を利用しただけの突進。
この黒蓮に切れぬものはない。
「殺れ、心改 !」
黒蓮を上段に構える。そして近づく甲級に向けて放つ。
ARMEDの力を黒蓮に込めた一撃を。
例え甲級の装甲が硬かろうが意味は為さない。
頑丈な装甲は両断され、内部までを犯した。
後、残り5体。
「行くぞ心改 !切り刻め。」
動く。スケーティングを使い、動く。
ただ敵を斬り伏せんがためだけに。
指揮官の指揮範囲を越えようが知るか。
この距離は、すでに心改の支配域だ。
甲級は自らの死を直感したのか。心改を捉えた途端、速度をあげて必死の突撃を続ける。
だが所詮は、最期の悪あがき。
魔物にとっては最早気づいてしまったのだ。圧倒的な実力差を。
「異形の物は所詮、異形の者也。」
例え、魔物たちに心改が化物に見えようが関係ない。
ただ切り伏せるのみ。
黒蓮を構え、次々と魔物をを狩っていく。
残り3、2…1。
これで最後。
心改は最後の1体である支配級のコア部分…かつてのARMEDのコクピットに黒蓮を刺し込んだ。