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Satellite1-2

 俺は今、少女と向い合って座っている。


 これはまだいいんだが、この少女のせいか、やけに視線が痛い。なぜなのだ。


 このままだとまずいため、俺は思っていた疑問を口にだすことにした。


「そういえばさっきの男共が言っていたその、閉じ込められたとは一体何なんだ?

 最近はここに迷い人が大量に流れ着いてきたと聞いたのだがそれと関係があるのか?」


「えっと、何から話せばいいんでしょう。まずは迷い人というところから話せばいいんでしょうか。」


 困りながらも話す少女に俺は更に疑問が浮かんだが、解けるかもしれないので尋ねることにした。


「ああ、そこから頼む」


「で、ではまず迷い人とはこの世界、アインスにおいてはどこからか彷徨い、来た人と言われていますが、

 多分ですけど、私達はこの世界はゲームの中でした。

 VRメカアクションゲーム「ガンブレイク・キャバルリー」と呼ばれるゲームの。

 そのプレイヤーたちのことを迷い人と言っていたんです。

 だからおそらく、あの人達が閉じ込められたとか言っていたのは、ログアウトできなかったからだと思います。」


 なるほど、迷い人はげーむ?の住人。そしてここはげーむ?の世界と同じってことか。

 俺は考えてることをさとられないように話を合わせてみた。


「ということは、お前たち迷い人はげーむ?というやつから出れなくなったということか?」


「はい…。私たち別世界の住人がここから出ることができなくなったというわけです。」


「そうか…。じゃあ聞くが、一体何日前からその、でれなくなったんだ?」


「多分ですけど…2日前ぐらいです。」


 これで大体はわかった。なぜ迷い人がたどり着いたのか。そして、この街の今の状況が。


「ありがとう。これで色々助かる。お前はこれからどうするんだ?」


 少女は今の状況は理解しているのか、その確認のために俺は聞いてみた。たぶん少女は…わかっていないかもしれないから。

 一瞬悩んだように頭をかしげたが、少女は俺を見つめ、こう答えた。


「どうしようかって。今はわかりません。どうしてこの世界に迷い込んだのも。

 どうやったら元の世界に帰れるかも。でも…私は。」


 ──BBBBBBiiiiiiiiiNNNNN!!!




 突然のサイレンが街中に響き渡った。このサイレンの音は……赤。つまり緊急事態。

 おそらくスタンビート───魔物の暴走。


 この街は防衛設備はそこまで揃っていない。衛兵はいるにはいるが、明らかに対応できる数じゃない。

 あとは傭兵ギルドの精鋭がいるかどうかだが、そこまでは期待はできない。


 俺が取れる行動は…。


 逃げる。

 これしかない。思ったら即行動。俺は行動を開始した。


「さて、逃げるがお前はどうする?」


「え。にげるんですか?」


「当たり前だ。ここは守れるほど人員がいない。スタンビートの数さえ不明なら尚更だ。

 だから俺は逃げる。」


 俺は逃げる。これは確定だ。ここで残って守るメリットはない。

 だが、彼女は俺を見つめ続ける。まるで彼女は俺に守れる力があると確信してるかの如く。


 もしかして…


「おまえ…俺を解析したのか。」


「はい、一応しましたけど…。ほとんどわかりませんでしたよ。あなたがNPCってことぐらいですが。

 え~と、クラウスさん?」


「何を考えている?」


「私は、この街を助けたいです。この街には2日間しかいませんでしたけど、優しい人達がいっぱいのいい街でした。

 だから…その恩返しがしたいんです。

 だから、力を貸してくれませんか?クラウスさん!」



 俺はそんな彼女の視線が恐ろしかった。あの人を思い浮かべてしまう…。


 この子はあの人と似た目をしている。



 どうしても……助けたいんです。…日々くるんでいる民たちを。私に力を貸してくれませんか?



 あの人と重ねてしまった。



 ああ、俺はこの目をずっと前から知っていたんだ。この決意の目が…。


 俺はこの目を…幻影を断ち切るために。


「ああ、解った。なら急げ。衛兵じゃあれは抑えられない。いくぞ。」


「はいっ!」



 そして俺は…また…あの目に賭けていた。

次回更新は明日の予定です(ΦωΦ)

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