Satellite1-1「消えたlink.」
俺はしがない旅人だった。ただ、流れに流され続けて、放浪の果て、この街、アンファングに辿り着いてしまった。
ただ、たどり着いたのはよかったのだが…。どうやら歓迎はされないようだ。
この日に限って服装が明らかに違う、人々が多く、おそらく迷い人の集団とブッキングしてしまったようだ。
とにかく、人が多い。この街はそこまで人がかつて来た時は人がここまで多くなかったので間違いではないはずだ。
「とにかく…酒がのみてぇ。」
そうして俺、クラウスはいつもと代わり映えのしない、放浪の日々を送り続けるものと思っていた。
このときまでは。
俺は前に一度来たことがある酒屋に入り、繁盛している店内のカウンターに座り、
「とりあえず、エールをくれ。あと残りの駄賃で情報を頼む。面白い話をな。」
酒屋の親父は、エールを取り出し、ジョッキに注ぎながら
「あん。面白い話かぁ。そういえばあんちゃんは見ねぇ顔だぁ。よそ者かね。」
俺は酒を受け取りながら
「ああ、ずっと旅をしてるものだ。だから情報がほしいんだよ。特においしいのがね。」
親父は考えふけるようにカウンターに肘をつきながら。
「それなら、この街をみたろ。どうやら迷い人がここに大量に流れ着いたらしい。
領主は四苦八苦して、迷い人の対応をやってるらしい。
まあそれが間に合ってないのかこの街の傭兵ギルドは現地人の仕事が全く入ってこなくて食い扶持が困っ
てるらしい。
だからあまり傭兵ギルトに行くのは勧めねぇぜ。」
「そうか。警告は受け取っておく。俺とて、そんなピリピリしたところ行く勇気はないね。」
俺はエールを飲み干し、店をでて、かつて来たこの街を散策する。特にスラムを宛もなく……。
俺は数年前からスラムを進むのが趣味になっている。自殺願望があるのか、それすらもわからず。
ただわかることは、ここは、人の負の感情を見ることができる。狂気、絶望、愉悦、様々なものを。
俺はどうやらこういうのが嫌いではないらしい。ただ空虚に眺めるだけだ。
ただ、今日は違うものがみえた。
「───あ──そげ!」
どうやらこの裏の道でやってるらしい。おそらく強姦だろう。
女のくぐもった声と下衆な男共の焦るような声が聞こえる。
俺はコッソリを様子を見て去ろうとしたが、被害者も容疑者も迷い人だった。
普通だとありえない光景だ。迷い人は迷い人を通常、性的に襲ったりはしない。
前に迷い人に聞いたが、どうやらウンエイ?と呼ばれる者達にできないようにされているらしい。
だからだろうか、俺は今にも襲われそうな少女を放置できなかった。
「そこで何をやっている。お前たちは迷い人だろう。なぜそれが可能なんだ?」
2人の男は、俺を認識したのかこちらを見て、
「あん?なんだい、できそうだからやってみたらできたんだよ。こちとらここに閉じ込められて気が狂っちまいそうなんだよ。」
閉じ込められた?どういうことだ。
迷い人は元々ここに迷い込んだ人々のことだから閉じ込める意味がわからない。
だが、
「じゃあ、とっととラクになっとけ。」
少女はただの被害者だ。ならば彼女を救えばいい。
俺は腰からナイフを抜きさり、一気に男共とも間合いを縮める。
そして、一人の男の首を掻っ切った。
噴水のように飛び出る鮮血。首をくられた男は自らの血だまりで事切れた。
「な、なんでここで武器が使えるんだよ!?。ここはセーフティエリアだろ。使用禁止じゃねぇのか。」
この男は何を言っているんだろうか。
ここは街とはいえ、使用は禁止されているわけではない。
俺は結局、戯れ言をいうもう一人の男を切り捨てた。
俺は怯えながら俺を見る少女に手を差し伸べ、
「やられずにすんだのか。ならもう大丈夫だな。」
少女は瞳を潤ませながら、立ち上がり
「あ、ありがとうございました。助けていただいて。」
見たところ少女は整った外見をしていた。
腰まである長い髪に、ふんわりとした雰囲気を感じる顔の配置。
たしかにこれは男共が襲われても文句は言えない。
「別に構わない。ついででやっただけだから。じゃあな。もう会うこともあるまいて。」
迷い人と関わるのは正直ごめんだったので、おれは去ろうとしたが、少女が俺の袖をつまんでいた。
「ま、まってください。お礼もしなくちゃいけないんで。
それに、恩人を無下に扱いたくありませんし。
よ、よかったら、ご飯食べに行きませんか。おごりますので。」
少女はどうやら俺を引き止めたいらしい。
このまま振り切って去っても良かったが、
俺は疑問に思ったことがあったため、仕方なく、
この申し出を受けることにした。
m(__)m拙い作品ですがどうぞご贔屓に。