そして、覗き
「なるほど。夜間警備ね」
「そう。毎日夜の7時から10時まで不審者なんかが来ないか、見張るだけで日当1万円もらえるの。といっても、本来高校生を雇うことはしてないそうなんだけど、今回のことを話したら渋々了承してくれたわ。その代わりと言ってはなんだけど、日当から少し引かれるんだけどね」
食べ終わったお皿を家庭科室にある台所で洗いながら、横でお皿を吹いてくれている会長が先程の簡単な話の内容を教えてくれた。
恐らく、警備のバイトを引き受けることができたのも会長の今までの実績があったからだろう。実際、会長は町のボランティアなどに生徒会の人間を派遣したりして、町の役に立つこともしばしばあった。
「私の予想だけど、今の学校には不審者というか人すら寄って来ないと思うし、楽でちょうどいいバイトでしょ?夜間にはきちんとした警備の方が来てくれるそうだし」
「会長……さすがです……」
この人がいてくれてよかった。他の三人だけだったら、確実に今週いっぱいでこの活動は終わりを告げていたことだろう。
「早速、今日から警備につくことになってるから、このあと皆に話しましょ」
「そうですね」
話し終わると同時に洗い物も終わったので、会長と連れ立って家庭科室から出て、教室へ戻ることにした。
「ただいまー……って!」
そして、階段を上がって教室へと辿り着き、会長がドアを開けた途端、大きな声を上げた。
「どうし……んん!!?」
横から中を覗き込もうとしたが、何故か会長が即座に後ろに回り込み、目隠しをされて視界が塞がれてしまう。
それに会長の柔らかい手が目元に当たって、少し照れてしまう。
「カズ君は絶対、中を見ちゃダメだからね!!っていうか、アンタ達は早く
着替えなさいよ!!!」
「……」
視界は塞がれているけど、目隠しをされた理由がよくわかった。
みんな、着替え中なのか……
でも、咲耶の着替えは昔からたまに見たことがあるし(全て偶然の事故)、由良も僕に見られて恥ずかしいというデリカシーがないと思う。
問題はさや姉だ。
あの服の上からでも破壊的だと分かる身体を見てしまったら……
考えるだけでも顔が熱くなってくる。
「ちょっとほら!聞き耳たてたカズ君の顔が変な想像で熱くなってきてるから早くしなさい!!」
「ちょ!?それは分かってても、言わないでくださいよ!!」
恥ずかしいわ!!
「やだー、カズってば、私達の着替えを想像してるの?そこらへんはちゃんと男の子なのね」
「この変態」
「極刑だな」
なんで、なにもしてないのにこんな目に……
さや姉はいいとしても、咲耶と由良は完全に悪口だよね。むしろ、由良の極刑っておかしいよ……
心の中で突っ込みつつ、不本意ながらしばらくこのやりとりは続くのだった。




