普通のプロローグ
初投稿第一話目です(´・Д・)」どうぞごゆっくり読んでいってください。
『さぁ魔王‼︎大人しく降参しなさい‼︎』
『勇者クランシア』黒髪ストレートに真っ白な透き通る肌、それと素早さを中心とした軽装備な防具。防具の隙間からのぞかせるへそはグッと男心をくすぐる。そして大き過ぎず小さ過ぎない程よい俺好みの胸、あとめっちゃ可愛い。とにかく可愛い。
『っふ…何を馬鹿な事を。人間ふぜいが」
『魔王』羊の角の様に渦を巻いた角。黒髪に天然パーマ、ごつごつしい堅い。黒い翼に腕からは触れたもの全てを塵にする闇の炎が湧き出ている。
だがこいつは好きになれない。何故ならこいつの顔が問題なのだ。この人を寄せ付けなさそうな鋭い眼つき、ニヤけている時の顔、全てにおいて俺にそっくりなのだ。
堅いはここまでムキムキではないが顔はそのまんま‼︎俺がこのゲームに登場してたら間違いなく魔王の弟的立場であろう。
そしてラストバトルの幕が上がった。
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『これまでだ‼︎我が聖なる剣を受けよ‼︎』
戦闘もいよいよクライマックスに突入した。自分にそっくりなキャラを倒すのは複雑な気分だがこれはあくまでゲーム、エンディングを見るためには仕方のないことだ。
『ぐぁぁぁあ‼︎…ば、馬鹿な⁉︎この俺が…』
魔王はその場に倒れそうになるが堪え、その場に膝をついた。それを見た勇者は剣を突き立てトドメを刺す体制にはいっていた。
『ま…まだ、死ねぬわぁぁぁ‼︎』
魔王は自分のすぐ側に異次元の入り口みたいな感じのものを創り出し、その中に入っていった。
『待て‼︎ここまで追い込んで逃がす訳には‼︎』
お?この展開はまさか魔王第二形態パターンですかな?胸熱な感じじゃないですか‼︎
『お待ちください勇者様‼︎』
戦闘を繰り広げていた広場の入り口から入ってきたのは王国兵士達だった。
『この先は何が起きるかわかりません。後戻りできないかめしれません…それでも行くと言うのですか?』
『はい』と『いいえ』のコマンドが表示された。だいたいこの場面でいいえを選択するとなんらかの無限ループが始まる。無限ループって怖くね?とテンプレを言っておいて面倒くさいからはいを選択。
勇者クランシアは強く頷き、勢いよく走り出し異次元の入り口に消えていった。一度画面が暗くなる。そしてエンディングロールが流れ始めた。
よっしゃああああ‼︎やっとクリアしたぜ‼︎いやぁ以外とこのゲーム長かったなぁ。クリアするのに結構時間掛かっちゃったぜ‼︎まぁなにはともあれこれでハッピーエンド…
「…じゃねーよ‼︎魔王はどうなった⁉︎第二形態は?おい‼︎ってぎゃぁぁぁ‼︎」
あまりの展開に興奮して自分自身にノリツッコミをしてしまい、その時本体を足で軽く蹴ってしまい、画面が固まった。俺は「そんな…」と小声で呟きその場にうずくまった。
大学に進学するため、家を離れて大学近くのマンションに引っ越した俺に引っ越し祝いと言って友人が譲ってくれたゲーム。
ある程度部屋が片付いたから試しにやってみたところ、マジハマりして一日中没頭し、ようやくあそこまで行ったってのに…
「そりゃないぜ…」
ショックの大きさがデカすぎて横になりながら天井を見て黄昏はじめた時だった。
足元の方からでかい何かが転がる音がして、その何かが積んであった段ボールに激突し雪崩が起きた。
「おのれ魔王‼︎なんて卑怯な真似…を…」
崩れた段ボールを掻き分け立ち上がったのは先程のゲームで登場していた勇者クランシアそのまんまだった。
「「え?」」
静まり返った部屋の中には、二人の声が木霊した。