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◇2.杖の勇者?

 それにしても、服や靴、靴下が現れた魔法陣、先ほどまで赤だったはずなのに、青へと変わっていますわ。



『リトマス紙?』



 え?なんですのそれ…



『理科の実験で、酸性やらアルカリ性やらを調べる…摩訶不思議な紙よ。』



 摩訶不思議なのですね。


 リカとやらも気にはなりますが…


 心なしか、魔法陣の描かれている模様自体が変化、いえ、全くの別物になっています。


 わたくし、なんだか嫌な予感がしますわー。



――ゴゴゴゴッ!!!



「な、なんだ!大臣!異なる魔法陣が浮かんでいるぞ!もしや、何者かが攻め込んできたのか!」



「へ、陛下!落ち着いてください!この場所は、壁、天井、床にも様々な術式が施されております。そう易々と攻め入られるとは思えません。もしかしたら、勇者かも…。かもですからね?」



 お父様も大臣も大慌て!部下が見ていてもお構い無しですね。


 それに、機密事項のような物事もペラペラとおしゃべりになられて…


 愚かですわー。



「こうなったら、おいそこの勇者よ!我らが盾となれ!」



 おおう、そこでわたくしの憑いている斧の勇者ではなく、未だに動かない男の勇者へと声をかけます。


 多分ですが、絶対的命令権を行使したのでしょうね。


 不自然な動きをした後に、白目を向いたままお父様と大臣を守るように移動しましたから。



『うわー。不気味~。』



 ですわね。


 びくんびくん、うねうね、びょんびょん、と、明らかに人ならざる動きしてましたから。


 しかしながら、武器も防具もなしに盾になれとは、勇者も道具、娘たちも道具、兵が怪我してもスルー。


 道徳が足りませんことよ。


 コレが親だとは思いたくありませんわね。


 お母上の血や見た目、性格を譲り受けれて良かったわー。



『魔族の角に対する性癖は?』



 うぐ…。そ、それは…。わたくし、オンリーでしょうね。


 自分でも不思議なくらい、興奮するんですもの…



『ふーん。人それぞれ、十人十色だからね。もしかして、私の人格・性格に影響がでたりしないよね?』



 そこは、シンクロ率とかになってくるとは思いますわ。


 流石に、儀式の生け贄にされた者がどうなるかは存じませんでしたが、この状態になってから、情報やら、斧の勇者様の世界の事、ステータスやデータなどを把握できるようになりましたから。


 も、もちろん記憶やら思い出には今は触れないように心がけております。というより、シンクロ率が上がれば勝手に流れ込んでくるかもしれません。


 たとえば、食べた物や…


 感じたものなどを…



『分からないことにはサポート、アドバイス可なわけだね。シンクロ率だなんて、どっかのアニメか漫画の世界だよね。でも、異世界とやらだから…普通?』



 普通では無いとは思いますが、そう言う魔法やスキルなどはあります。


 まあ、だからこうしてわたくしの魂?精神でしょかね、憑いていられるのでしょう。



――キュインキュイン!!!



 現に、勇者様の影響を受け、余り動じなくなってまいりましたわー。



『…流石にそれは単純すぎやしない?ショコラさんや。』



 え、え~。


 さらりと名前で呼んでもらえたうれしさのほうが先立つ!わたくし!


 未だに勇者様としか呼んでませんが、お名前でお呼びしても?



――ガチャン!



 扉が開くような音と共に、人が現れます。


 えーっと、勇者様のデータで照らし合わせるのなら、ピッタリのお言葉があります。



 魔法少女…


 の、コスプレ。



「おい、今誰かアタシの格好を『コスプレじゃね?』って思っただろう!声を出さなくても、何となく分かるぞ。とりあえず、そいつら土下座よ。好きでこの格好してるわけじゃないんだからね!」



 ひらっひらのフリルにリボン増し増し。


 ある意味悪意を感じるほどに。



「ほんと、コレじゃある意味呪いの装備よ。外せないし、魔法を使うからって、いつまでもこの格好なのはダメだと思うのよね。…世界めっ!」



 ひとりごちる魔法少女コス。


 世界に文句言ったってしょうがない気がしますのよ。



「警察や消防の手を振りきり、燃え盛るコンビニに飛び込んで、あの子を探しに来たってのに…いないじゃない。」



 燃え盛るコンビニに?



『頭どうかしてるわ…。でも、なぜか先輩に似てる気がする。確か、渡来先輩は一人っ子のはずよね。んー。なんでだろう?』



 お知り合いにいるのですね…って、確かトライせんぱいというお方をお探しなのですよね?勇者様も。



『そうよ。握っていたはずのやきいも味のチョコよりも、トライ先輩の安否が大事。け、決して期間限定のあのチョコが手元に一緒にあったらなーとか思ってないんだからね!ほんとよ!』



 チョコですか…。


 確か、何処かの国で売っていた気が…



『なら、そこに行きましょう!多分、先輩もいるはずよ!』



 …行きたいだけですわね。


 わたくしも、姉さまからお聞きしただけですからね。


 本ばかり読んでいたシフォン姉さまから。


 ですので、実際に見たわけではないので、勇者様のご想像通りのチョコとはかけ離れてるかもしれませんわよ?



『ぐぬぬ…。私もそこまでチャレンジャーじゃないから、名前だけ一緒のゲテモノや全く違うものだった場合を考えると下策かぁ…。コーヒー牛乳も厳しいかな。』



 コーヒーと牛乳ミルク。どちらもありはしますが、コーヒーは苦苦じゃないですか?それをミルクとですか…



『砂糖やシロップが使われてるのよ。甘くて甘いよー。勉強のお供に重宝してるの。』



 高級じゃないですか。そんなに飲み物にバンバンお砂糖やらシロップを入れるだなんて!


 いーなーいーなー。わたくし、紅茶にも余りお砂糖を入れないようにしていたのですよ?


 ハーブティーなんかは甘いのがありますけど、なかなか出回らないのですよね。


 甘いやつは葉が高級ですので。


 国によっては食後とかに普通に飲めたりするんでしょうが、この国では無理でしょうね。


 土質が悪いのかしら…。



『それじゃ見込めないなぁ。でも、紅茶に牛乳入れてミルクティーとかにすれば、砂糖とかシロップ無しでもいける気がするけど。』



 そうしたくとも、もうできなさそうですけどね。



『あ、そうか…。ごめんね、それじゃあ今後はミルクティーやら甘いものなんかをなるべく摂って、シンクロとやらでショコラにも感じてもらえば良いわけか!目的が増えたわね。』



 お心優しい…勇者様。


 惚れさせるおつもりで?


 あれでしょう?ほれてしまいましたわー!って言わせたいのでしょ?



『ばっちり今言ってるじゃん。まあ、気長にいきましょ。』



 おほほほ…。













 鋭い目つきをした女性がお父様に視線を向けます。


 それだけで殺されそうですわね。



「…。おい、そこの…多分偉そうなの。これは、召喚か?」



 単刀直入ってやつですわね。



「そ、そうだ!おまえも、勇者か!」



 おお、よく言えましたね。



「…多分。えっとー、ちょっとまってね。『ステータスオープン。』ん~、なになに…【杖の勇者?】ほへー。よかったわ、他所では魔法少女(笑)みたいな感じにステータス表記されてたから。勇者の後ろにクエスチョンマークがついてるのが気になるけど…勇者みたいね。」



 勇者みたいって…



「ならば!我が命ずる!」



「あ、それは無理。」



――パリーン!!!



「「な!?」」



 マジックレジストですわね。


 絶対的命令権といえども、魔法によるものですから…


 魔法少女、らしい彼女には効かないのか、単純に彼女のほうが上で意味を成さなかったのか。


 お父様と大臣の顔色が見る見るうちに青くなっていきます。


 いい気味よね。



『でも、場合によっては…私がけしかけられちゃうんじゃない?その絶対的命令権で。』



 あ、確かに…


 それはイヤですわ!


 どうしましょう。



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