和君とデート
二話投稿します。
エブリスタで執筆分全て投稿しました。
これからこの二人には、試練が待ち受けます。
少し話しを練り直しますので・・
閲覧していただいてる皆様ありがとうございます。
美紗さんは、日本に帰って来てから精力的に動いていた。
とうとう奈都の家は売却が決まり奈都が日本から旅立つ日があと一週間と迫ってきた。
* * * *
美紗さんは、ばばあと二人で買い物に出かけた。
リビングのソファでは、奈都がプリンとじゃれて遊んでいる。
「な~つ。デ‐トしようか。前に約束した海に行こうか。」
俺は、奈都の後ろに抱きしめるように座り耳元で囁いた。
奈都は、身体をピクリとさせて俺の腕からピョンと飛び出した。
「ウ、ウン!行く、行く。」
奈都の慌てぶりが可笑しい。
俺は、クスクス笑いながら奈都の柔らかい髪の毛をクシャクシャと撫でた。
「ねッ、R君で行くんでしょう?私メットないよ?」
奈都は、頬を膨らませた。
「ほら、先日買いに行ってきたんだ。」
パ‐ルホワイトのメットを奈都に被せる。
奈都は、嬉しそうに俺に抱きついた。
奈都の身体をやんわり離すと奈都の目線に会わせてメットごしに話しかけた。
「バイクに乗るんだから動きやすい恰好に着替えておいで。」
奈都は、コクンとうなずくとメットを俺に渡してパタパタ二階に上がった。
プリンがクンクン鳴きながら俺にすりよって来た。
「だ~め、お前はお留守番。」
プリンを抱き上げて言うとプリンは、不服を訴えるように俺の腕の中で暴れだした。
久しぶりのR君でのお出かけ!
何時もは、和君の持っている黒いメットだけど今日は、パ‐ルホワイトの私だけのメット(^v^)
ジ‐パンに履き替えて小花をちらしたアイスブルーのカットソーに着替えた。
何のデザインもないメットを思い出し沢山あるシ‐ルの中から天使を見つけた。
「和君、嫌な顔するかな?」
口元に手を当てて和君の顔を思い浮かべると可笑しさが込み上げてきた。
ウエストポーチをベルトにつけて部屋から飛び出した。
和君は、プリンを抱き上げて遊んでいる。
「じゃあ行くか?」
和君は、私の頭をぽんぽん叩くと出口に足を向けた。
「待って、和君あのねメットにこのシ‐ル貼ってもいい?」
私がおずおずと天使のシ‐ルを出すと和君は、私の顔をじっと見た。
「ダメ?ですか?」
肩を落としてわざとため息をついてチロンと和君を見上げて見た。
和君は、私からシ‐ルを受け取ると私のメットには、男の子の天使を和君のメットには、女の子の天使のシ‐ルを貼るとテ‐ブルにメット同士が寄り添うように置いた。
「和君!いいね。スッゴクいいね!」
私は、嬉しくってピョンピョン跳ねると和君は、包み込むように抱きしめて来れた。
「行くよ。奈都!」
和君が優しすぎてかえって怖いです(>д<)
和君の大きな背中にしがみついてとぶように流れる景色を眺めた。
「か~ず~く~ん!」
大きな声で叫んでも和くんの耳には、届かないみたい。
抱きついた私の腕を上からそっと握りしめる和くんの大きな指先。
和くん!片手運転ですよ~。
慌てながら和くんの指先を払い退けたら和くんの大きな背中が震えています。
「和君!片手運転ダメですよ~。」
果たして私の声が聞こえたかしらん?
和君は、私の腕から指先を離して運転に集中してるようだからそう思う事にします。
* * * * * *
バイクを走らせている時暖かい背中のぬくもりを感じて永遠にこのまま二人で何処か遠くに行くような錯覚に陥った。
奈都の細いうでもみじのような手がとても愛しくって上からそっと握りしめた。
その途端慌てる奈都、お前の気持なんかまるわかりだっていうの。
「片手運転ダメですよ~!」
俺の運転見くびんなっていうんだ。
奈都の手から指先を離すとやっと安心したように息をついていた。
奈都のメットにコツコツとメットをぶつけて到着した事を伝えると了解したようにギュッと抱きついてきた。
愛してる・・
言葉に表せないほどの溢れる思いを何で表せたらいいんだろう。
隣で無邪気に波と戯れる君は、捕まえてもするりと腕の中からすり抜けてしまうから・・
奈都は、ぴょんとバイクから跳び降りて、砂浜を駆け回っている。
「犬みてぇ・・」
俺は、沸き上がる衝動を無視して今日この日を奈都と共に楽しむ事にした。
波うちぎわギリギリを裸足で走る。
奈都は、ジ‐パンの裾をふくらはぎまでまくり爪先で水を弾いている。
「和君、まだ海の水冷たいねぇ。連れて来て来れてありがとう!」
「おう。」
俺は、奈都のフワリとした笑顔を直視できなくってわざと海を見つめた。
「ねぇ、和君もしかして前に写真で見せて来れたあの海なの?」
奈都は、俺を覗き込むように上目遣いで聞いてきた。
「あぁ、陽がおちるところ奈都に見せたいと思ってな。」
奈都は、携帯をカメラモ‐ドにして待ち構えている。
俺は、デジカメをそっと出して奈都の肩に腕をまわして顔を近づけた。
「一緒に撮ろうぜ。」
うでを伸ばし何度もシャッターをきる。
今を一枚一枚きりとるように。
そのうち当たりは、オレンジシャーベッド色に染まり俺たちは、顔を見合わせそっと奈都の頬に頬を寄せシャッターを押した。
*********
奈都は、それから間もなくして俺のもとから飛びだった。
うさぎのシャルルを抱きしめて..
「和君!お元気ですか?私は、元気だよ~。明日から、パパとママと旅行にいきます。スイスでパパの時計を買ってメインのハイデンベルグに行くの~。もう楽しみ。和君にもお土産買って来るからね~。あっ、彩ママとプリンにもよろしくね~。」
* ** ** * *
奈都がアメリカに行って一週間がたった朝、俺の携帯にスキップ音が聞こえて来そうなメールが写真と一緒に届いた。
写真には、出発前の奈都がシャルルを抱きしめて写っていた。
俺は、携帯の中の奈都を軽く指で弾いた。
足元では、プリンがかじがしとのびあがりながら抱っこをせがんでいた。
プリンを腕に抱きリビングに降りると鼻歌をうたいながら食事の仕度をするババアが俺ににっこりしながら挨拶してきた。
「和~おはよう。あさからしんきくさい顔してもっとシャキっとしなさい」
俺は、お座なりに返事をするといつもの場所に座った。
ババアは、携帯をわざと見せるとニマニマした。
「奈都、元気見たいね。さっきメール来たわよ。家族旅行行くんだってね。ほらっ」
ババアがよこした携帯には、奈都と一緒に男が写っていた。
「誰?コイツ?」
俺が、ババアを一瞥すると、ババアはクスリと笑った。
ババアがよこした携帯には、奈都と一緒に男が写っていた。
「誰?コイツ?」
俺が、ババアを一瞥すると、ババアはクスリと笑った。
「お隣の男の子見たいね。
偶然、奈都と同い年でいつも一緒らしいわよん。和、危機一髪ねぇ。」
「フウン。」
口からでる言葉とは、裏腹に拳をギュッと握った。
「会長~顔怖いスッよ。姫がいなくなってから不機嫌すねェ~」やれやれと首を振りながら海藤は、ため息をついた。
俺にこんな軽口をきけるのはコイツぐらいなもんだ。
「うるせぇ、手が止まってるぞさっさと手を動かせ。」
俺は、わざと表情筋を動かさずに言った。海藤に軽く蹴りを入れるのを忘れずに..
海藤は、尻を擦りわざと泣き真似をする。
「姫ぇ~かんばあ~くぅ」
俺は、軽くため息をつき空の彼方を見つめた。
青い空、白い雲私は今、スイスに来ています。
パパの念願の腕時計を買いに
スイスって時計が有名なんだって、ここでオリジナルの時計をオーダーするんだって、パパはさっきからニマニマしながら話しあってるの。ママは、私のそばに来ると、言った。「奈都、和にも時計プレゼントしたら?
」
「和君、時計持ってるよ?」
私は、シャルルを抱きしめながらコテンと首をかしげた。
素早い動きでギュッと私を抱きしめると頬ずりしながらパパは、言った。
「和なんかにオーダーなんて百年早い。奈都?このウサギとお揃いでアクセサリー作ってやろうか?」
「いいの?パパ。シャルルには、タイピンにして、私は、お揃いでピアスがいいなァ。あっ、和君にもお土産にお揃いでピアスにしようかな?」私は、パパの腕にギュッとしがみつき見上げる。
ママは、やれやれと首を振りながら呆れた様子。
和君のプレゼントピアスにしました。
シャルルともお揃いって知ったら顔がひきつるかしらん?
スイスで楽しみにしていたこと、ハイジのような服装をして穴あきチーズを黒糖パンにトロって溶かしてあぐんと食べるんだ。
昔、アルプスの少女ハイジっていうアニメを和君と見た時にね、火でチーズを溶かしてパンにのせて食べるシ‐ンがあって美味しそうで和君にせがんだ事があったの。
和君は、食パンにスライスチーズをのせてトースターで焼いた、パンをポンとくれたの。
あの時は、何も言わずにパン食べたけどね。
でも幼いながらに和君には、お願いするの控えようって誓ったんだ。
本場でやっと食べられるのねぇ、楽しみ~。
もう気分は、ハイジです。
ママとスイスの民族衣装を着てなんと手作りチ-ズも作っちゃいました。
パパは、ストーカーまがいに写真を撮ってたよ。
空気は、美味しいし、とっても幸せです。
ピロロロン
禍々しいメール音です。
写真添付と一緒に和君からでした。
写真は、可愛いプリンと無表情化した和君・・
スマホを思わず投げそうでした。
「隣に写った男とずいぶん親しそうだな?」
メールは、ただこれだけ・・
私は、ウ~ンと考えてポンと手を叩いた。
そういえば彩ママに涼ちゃんとの写真添付したんだった。
俺がベッドに横になり、プリンの身体をワシャワシャ撫でていると能天気なメール音がなった。
添付写真は、民族衣装を着てポーズを取る奈都の姿
か・和君元気?
私は今スイスにいます。
空気は美味しいし、とっても素敵なところだよ~。
和君のプレゼント買ったから楽しみにしていてね。クフフ
そうそう、あの男の子は、涼ちゃんって言います。
パパの仕事仲間の息子さんです。
ここでは、一番の仲良しさんだよん。
和君いつか遊びに来てね!
* *** * *
俺は、スマホをポンとベッドに放り投げた。
「・・・奈都
楽しそうで・・」
つぶやいた言葉にイライラしてバイクの鍵をとり部屋を飛び出した。