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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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どうしてあたしを怖がるの?

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/08/03

日常が侵食される恐怖を描いた怪奇ミステリーです。

いつもと同じ部屋、いつもの愛犬。しかし、ささやかな日常は一瞬にして崩れ去ります。

自分では「自分」のつもりでいるのに、周囲の反応だけが致命的な狂いを告げている——。愛犬の激しい恐怖から始まる不可解な違和感の先に待ち受けているのは、鏡の中に潜む絶望的な現実です。

あなたが今見ている自分は、本当に「あなた」でしょうか?

異形へと変貌した主人公の恐怖と絶望の世界へお入りください。

犬が私を見て怖がっている。

いつもなら尾を振りながら駆け寄ってくるはずの愛犬のクロが、部屋の隅で身体を限界まで小さく丸め、見たこともないほど激しく震えていた。喉の奥から「ルルル……」と低く唸る声が漏れている。その視線はまっすぐに私へと向けられていた。

「どうしたの、クロ?」

優しく声をかけながら一歩踏み出すと、クロは悲鳴のような甲高い鳴き声を引きずり、後ずさりして壁に激突した。瞳は恐怖でカッと見開かれ、失禁している。

違和感はそれだけではなかった。視界の端で、部屋の姿見に映る自分の影が妙に引き伸ばされている気がした。ゆっくりと鏡の方へ振り向く。

鏡の中に立っていたのは、私ではなかった。

首から下はいつもの部屋着を着た私の体。しかし、首から上には肉がなく、ただ真っ黒な空洞が広がり、その闇の奥で何千もの赤い小小さないくつの「目」が、じっとこちらを見つめて蠢いていた。

恐怖で叫ぼうとした。だが、声を出すための口はもう、どこにも存在しなかった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「いつもの日常が壊れる瞬間」を描きたくて執筆した物語です。

もし今夜、あなたの愛犬や愛猫が理由もなく部屋の隅を凝視していたり、あなたを見て後ずさりしたりしたら——どうか鏡を見るとき、少しだけ覚悟を決めてくださいね。

また別の物語でお会いできますように。

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