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創造者の居ない世界

世界を白に染めた爆発の中心で、裂け目が生まれた。


空間が悲鳴を上げるようにひび割れ、まるで次元そのものが拒絶反応を起こすかのように、巨大な渦が現れる。時も空も歪み、そこに二人の影が浮かび上がった。


カイとリク。全ての力を出し尽くした彼らの身体が、重力に逆らえず、ゆっくりとその異世界の入り口へと引き寄せられていく。


「カイッ!!」

「リク──!!」


エルナとノクスが必死に駆け寄るが、その手は決して届かない。崩れゆく地面、渦巻く次元の裂け目――触れようとした瞬間、強烈な力が二人を弾き返した。


「ダメだ……!この空間は、俺たちを……拒んでる……!」


ノクスが歯を食いしばり、影移しを試みるが、影すら不安定で跳躍の術が破られる。


渦の中心で、リクが静かに言葉をつぶやく。


「……まだ終わってない。どこへ行っても、俺は……答えを探し続ける。」


カイはその隣で、目を細めた。


「だったら俺も一緒に行くさ。お前が間違った道を進みそうになったら──何度でも止めてやる。」


次の瞬間、二人は渦に呑まれ、空間の裂け目は音もなく閉じた。


静寂が戻った戦場に、ただ風だけが吹き抜ける。


エルナは膝をつき、涙をこぼしながら空を見上げる。


「……カイ……リク……」


ノクスはそっとその肩に手を置き、言った。


「きっと、生きている。あの二人なら……どんな世界でも、戦ってる。」


──物語は、まだ終わらない。

彼らが帰る場所を守るため、残された者たちの人生という旅が、また始まろうとしていた。


異世界の裂け目が閉じてから数週間。

空には静けさが戻り、大地には傷跡だけが残った──だが、それでも人々は歩き始めていた。


エルナとノクスは、カイとリクの犠牲を胸に、Dr.オーダの討伐を報告するため、村へ行き、その後王都へと行った。

王国は彼らの功績をたたえ、彼らのもたらした勝利を全土に伝えた。


──そして、王国直属の特務兵団が新設された。


「第二魔導戦術兵団《白影》、隊長・エルナ=フィレナス」

「第一戦闘諜報兵団《黒焔》、隊長・ノクス=ヴァル」


それぞれが得意とする分野で部隊を指揮し、復興と防衛にあたる日々が始まった。


エルナの兵団は、魔力操作と支援技術に特化し、被災地の救済や都市防衛の中核として活躍。

彼女の冷静かつ献身的な指揮は、多くの人々に希望を与えた。


一方ノクスは、コラプサーの残党や未確認異常種の殲滅に特化した部隊を率い、闇を駆け、世界の安寧を保ち続けていた。

「影よりも速く」「影にすら気づかせぬ」──それは、かつての少年が今や恐れられ、そして称えられる名となっていた。


長い時間が経ったとある日の夕暮れ。

王都の塔の上で、ふたりは並んで空を見上げていた。


「……まだ帰ってこないね」

エルナの声は、微かな寂しさと共に風に溶けた。


「アイツらなら、いつか戻ってくる。何も言わずに、当たり前の顔してな」

ノクスは目を細めた。


そして、エルナが静かに答える。


「そのとき、私たちが胸を張って笑えるように──ちゃんと、守っていようね。この世界を。」


「……ああ。」


こうして、カイとリクのいない世界で、それでも確かに息づく希望があった。

英雄たちは、それぞれの道で戦い続けていた。



第一部 完






続編も書きます。







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