修行!
訓練場の夜明け。
森の端、まだ薄暗い中で、リクとカイは立ち向かい合っていた。
「……よし、今日から本格的に鍛え合うぞ」
「おう。負けたままじゃ、終われねぇからな」
二人は傷だらけのまま、拳を突き合わせた。
それは誓い──互いに高め合うための、戦士たちの契りだった。
◆
まずはリクの課題。
「リク、お前は動きが単調すぎる。スキルに頼りすぎだ」
カイが木刀を片手に、素早く踏み込む。
「スキルが使えなくても、生き残る力を身につけろッ!!」
バキィッ!
リクの腹に軽い打撃が入る。
「ぐ……!」
地面に崩れそうになりながらも、リクは拳を握った。
(そうだ……スキルが使えない時、俺は無力だ……)
リクは、カイから「基礎戦闘」の特訓を叩き込まれた。
体捌き、受け流し、打撃の基本。
スキルを封じた“素の力”を、リクは必死に身体に叩き込んでいった。
◆
一方で、カイにも課題があった。
「カイ、君は力押しに偏りすぎてる。読まれやすい」
リクが、木の葉を一枚、ふわりと宙に浮かせる。
「……は?」
「これに一撃当ててみて」
カイは唸りながら構え──一閃!
──しかし。
木の葉は、わずかに風に乗って、カイの木刀をかわした。
「なん……だと?」
リクは微笑んだ。
「“予測”と“補助”を使えば、力だけじゃ届かないものにも届くんだ」
リクはカイに、《フェイト・センサー》の応用法、
「微細な変化を読む技術」を教え始めた。
感情の揺れ、筋肉の動き、空気の流れ。
全てを「見る」こと。
カイは最初は戸惑ったが、持ち前の勘と修練で徐々にコツを掴んでいく。
何日も、何十回も、ぶつかり合った。
血が滲み、骨がきしみ、それでも拳を止めることはなかった。
リクは素の戦闘力を、
カイは戦略と感覚を、
互いに高め合い、成長していった。
一週間がたった
──そして、ある夜。
満月の下。
ふたりは、最後の模擬戦に臨んだ。
カイは《エア・ステップ》《ミラージュ・ブレード》を駆使し、
リクは木刀と素手、気配を殺した動きで応戦する。
バチバチと火花が飛び交い、
どちらが一歩でも遅れれば、即敗北するような張り詰めた戦い。
──だが。
互いに一歩も譲らず、最後は拳と剣が同時にぶつかり──
ドガァッ!!
二人同時に地面に倒れ込んだ。
ゼェ、ゼェ……!
「……フッ……」
リクが笑った。
「……ハハッ……」
カイも笑った。
勝敗は、つかなかった。
だがそれでいい。
それこそが、彼らの「今の力」だったから。
──こうして、リクとカイは、互いを認め合う「戦友」となった。
まだまだ未完成。
けれど、だからこそ、未来は無限に広がっていた。
そして次なる戦い──
スキル狩り傭兵団「ファング」との本格抗争が、静かに迫っていた──。




