反撃の狼煙、久々の必殺技、ルミナ・エクリプス!
【水の神殿・第一試練の間】
三人が踏み入れたのは、広大な水晶の間。
床一面に水が張り詰め、鏡のように天井を映している。
中央には蒼く輝く浮遊するオーブが一つ。
それを守るかのように、半透明の水の騎士たちが姿を現した。
「魔法体……水の守護者か」
ノクスがかすれた声で呟く。傷は浅くない。彼の影が微かに揺れ、術の発動に支障をきたしているのがわかる。
「こっちはこっちで相手にするか!」
カイがプロミネンスを振るい、正面の騎士に突進。しかし、剣が水の身体をすり抜け、逆に鋭く腕を切り返される。
「……硬いわけじゃない、流動して避けてるのか!」
「カイ、攻撃の軌道を読まれてる!」エルナが叫ぶ。
その間にも、水のレーザーが天井から連射される。空間の温度と圧力が変化し、魔力の流れも読みにくい。
エルナが矢を連射しようとするが、ミラージュクラフトの構築が不安定に揺れた。
「……水の気配が濃すぎる。矢が乱れる……!」
「影移し……」ノクスが苦しげに影を走らせるが、床の水面が影を飲み込むように揺れ、転移が半端に終わる。
「この神殿、影の干渉も……制限されてる……?」
三人の間合いが崩れる。
守護騎士たちはそれを見逃さず、一斉に襲い掛かる。
「このままだと……一人ずつ、やられる!」
カイは決死の覚悟でプロミネンスを振り上げる。
「……強引に、突破する!」
しかし――
ゴウッ……!!
直後、浮遊するオーブが反応し、水流の竜巻を巻き起こした。カイの炎の剣すらその中で掻き消え、彼は吹き飛ばされた。
「カイッ!!」
水の神殿。
それは“流れに抗う者”を拒む、純粋な試練の地。
三人は、神殿の意思そのものに押し返されていた――。
騎士たちの連携は隙がなく、カイが吹き飛ばされ、ノクスも影移動を封じられた今、戦況は最悪だった。
エルナは深く息を吸い、瞳を閉じて魔力の流れを一点に集中させた。
「──もう……迷ってられない!」
彼女の背後に、淡く輝く光と影の翼が出現する。風が舞い、神殿の空気が一変する。
「必殺技・ルミナ・エクリプス……展開!」
両手に構えた二本の弓──
一つは光の力を帯び、もう一つは影の魔力を纏っていた。
エルナが天へと矢を引き絞ると、天井から降り注ぐ水のレーザーが瞬時に止まる。
それはまるで、神殿そのものがその力に一瞬ひるんだようだった。
「光よ、影よ、重なりし瞬きを束ねて……破壊の光をッ!」
弓から放たれた矢は、空中で二重の輪を描き、巨大な収束ビームと化して水晶の間に降り注ぐ。
「──“ルミナ・エクリプス”!!」
光と影の融合。
直線状の空間がすべて消し飛び、水の騎士たちを押しのけ、神殿のオーブへと一直線に貫く。
「今だ、砕けて!!」
ビームが命中した瞬間、オーブが激しく共鳴音を上げ、水晶の壁が波打つように軋んだ。
だが──
「……砕けて……ない!?」
オーブの核心部は、薄く亀裂を入れたに留まっていた。それでも確かに、守護の魔力を弱体化させたのは明らかだった。
「……もう一手。もう一撃必要……!」
その瞬間、倒れていたカイが剣を杖代わりに立ち上がり、ノクスも気配を取り戻す。
「……今の一撃で、流れが変わった」
「なら……仕留めよう」
三人の目が、弱まったオーブに向けて揃う。
神殿の守護は未だ強大だが、ついに“攻略の糸口”が見え始めた




