実戦
街での修行中、エルナの新必殺技を試しにシルヴィアの森でブライア・キングという魔物に挑みに来た。
「あれか?」
「うん、間違いないわ」
「エルナ、頑張って」
黒く爛れた大木のような体を持つ“ブライア・キング”が、雄叫びと共に地を這う棘を伸ばす。
一撃で鋼鉄をも砕くその蔦が、カイたちを狙い地面を薙ぎ払った。
「くっ、強すぎる……!」
カイの剣が何本もの蔦を薙ぎ払うも、攻撃は止まらない。
ノクスも影を駆使して反撃を試みるが、敵の再生力と呪いの瘴気に阻まれていた。
「このままじゃ、持たない……!」
エルナは深呼吸し、一歩前に出た。
自然魔力が渦を巻くこの森でなら、今の自分にできる。
「——やるしかない。私の矢で、戦場を変える!」
エルナは弓を構え、膝を地につけ、精神を集中させる。
その瞬間、周囲の風が凪いだように静まり返った。
エルナの体が光に包まれ、背後に無数の光の矢が浮かび上がっていく。
「ファントム・バラージュ——発射!」
弓を引く動作とともに、無数の光の矢が空を裂いた。
青白く煌めく矢が、星屑のように黒茨の王に降り注ぐ。
一瞬、ブライア・キングの動きが止まり、その巨体が痙攣する。
「効いてる……!」
矢が命中するたびに、茨の動きが鈍くなり、蔦の伸びが止まった。
敵の魔力が乱れ、回復力も低下していく。
視覚が曇り、重力が増したかのように動きが鈍重になる。
「今よ、カイ!」
「——ああ! プロミネンス、展開!」
燃え盛る斬撃が、黒茨の王を貫いた。
ノクスの影槍も、敵の防御の隙を突いて穿つ。
轟音とともに、黒茨の王がゆっくりと崩れ落ちた。
カイが息を整えながら、エルナのほうを見る。
「エルナ……すごい技だな……!」
エルナは微笑んだが、その足は震えていた。
「……魔力、結構持っていかれた……今の私じゃここまでしか扱えないみたい」
彼女の手には、まだ光の残滓が漂っていた。




