スキルクリエイター
『創造のスキルクリエイター』
その日、空は燃えるように赤かった。
十三歳の少年・リクは、いつものように村のはずれで草を刈っていた。人よりも少しだけ要領が悪く、力もない彼は、周囲から「平凡な少年」として扱われていた。だが、彼自身もそれを受け入れていた。どうせ自分には、特別な何かなんてない——そう思っていたから。
だが、すべてはその“通知”で変わった。
《オリジナルスキル【スキルクリエイター】を獲得しました》
「……スキルクリエイター?」
脳内に響いた電子的な声。戸惑うリクの前に、青白い光のウィンドウが浮かび上がる。そこにはこう書かれていた。
スキルクリエイター:スキルを定義し、創造することができる唯一の能力。
使用条件:発想力と明確なイメージ。消費MP:創造難度に比例。
※注意:作ったスキルの影響は全世界に及ぶ可能性があります。
「スキルを……作る? 俺が?」
信じられない気持ちで、リクは試してみることにした。
頭に浮かんだのは、小さな頃に空想していた“かっこいい技”だった。
《新規スキルを定義してください》
「えっと……“無音歩行”。どんな地面でも足音が消えるスキル。」
《スキル【無音歩行】を生成しました》
その瞬間、リクの足元がふわりと軽くなった。
落ち葉を踏んでも、砂利の上を歩いても、一切の音がしない。
「ま、まじで……できた!?」
少年の心臓は高鳴っていた。
これは夢なんかじゃない。彼は、自分が“世界を変える力”を持ってしまったことを知った。
だが、彼にはまだ気づいていなかった。
その力を狙い、影から動き出す者たちの存在に——