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ブラント・ブルース・ブラッド  作者: 皆空 逸
序章 旅立ちの日を想う 太陽系惑星地球
2/9

1話 あの世界の人じゃなくなった日、この世界の人にされた日 の朝

実質1話…を三分割したものです。よろしければ読んでみてください。

 暑い。暑すぎる。

やけにうるさく聞こえるスマホのアラームを消してから、回らない頭で最初に考えたことがそれだった。

朝から肌にじんわりと汗をかいているのが分かる。夏も本格的になってきた。今すぐシャワーを浴びたいところだが、まず朝食を食べなければ。


ベッドからのそのそと降りて廊下に進み、トイレで用を足す。いったん部屋に戻って、スマホを充電器から外す。机の近くに置いてあるリュックを左肩だけ通して、階段を降りて居間へ向かう。正直朝に弱い身としては、朝食の時間をカットしてその分睡眠に充てたい。が、以前母に提案したところ、「じゃあご飯自分で作りなさい!できないなら食事抜き!」と、男子高校生にとって、最大級の刑を執行されかけたため断念した。


1階に降りていくと「おはよ!」と母の声が聞こえてくる。母はいつもこの時間カウンターキッチンの向こうで皿洗いをしている。

眠気からどうせ碌に目も開いていないため、よそを向きながら「…ぁよ」と返す。しっかり返事をしないのは、年相応の親に対する気恥ずかしさから、ではなく、単純に朝は喉が渇いて張り付いており、声が出ないためである。断じて声の大きいクラスメイト達が「この年で朝から親とばっか喋るやつとかないだろ!起きたらすぐみんなで話しするしそんな時間とれなくね?もう自立する年齢でしょ!」と話をしていたのが耳に入ってきたからではない。


 玄関に続く扉の近くにリュックを放って、洗面所に移動しジャバジャバと顔を洗う。が、それで眠気が覚める気配はない。ふらふらと覚束ない足取りで食卓テーブルまで移動し、椅子に座る。テーブルには出来立てのお握りと、だし巻き卵、みそ汁が用意されていた。以前は夕食の残りが出ていたが、成長するにつれ朝起きられなくなり、しっかりとしたものが喉を通らなくなっていったため、このようなメニューに変えてもらった。飯を用意してもらってることにありがたさと少々の申し訳なさは持っている。親は自分よりさらに早起きしてるわけだし。

 スマホに溜まった友人からの連絡に返信をしながら、朝食をかきこむ。味はうまい。特に卵焼きに関しては昔家族で行った、高い和食料理店で出てきたやつより旨い。あれは小学生の時に運動会で1位を取ったからご褒美、ということだっただろうか。何の競技だったかももう思い出せないが。最近は家族で外出することはなくなったな…


そんなことを考えながら完食する。皿を重ねてキッチンの洗い場まで持っていく。

シンクの前に立つ母の腕をくぐるように皿を置いていく。

「ありがとー」という声に背中を向けながら軽くうなずき「…ぅん」と要領を得ない返事をする。そのまま風呂場に向かいシャワーを浴びて汗を流す。

 

・・・ 


 脱いだパジャマから制服に着替える。最近ようやく制服が夏服に代わり、ポロシャツが許可された。リビングまで戻り、今日の授業に使う教科書が入っているか確認する。忘れ物がないことを確認してから、スマホを起動すると、ホーム画面には今すぐにでも家を出なければ遅刻することを示す時間が表示されていた。先ほどまでの思考回路の停止具合が嘘のように、途端に意識が明瞭になっていく。慌てて乱暴にリュックを背負い走って玄関に向かう。「いってらっしゃーい」という声が、聞こえたか聞こえないかのうちに、玄関の扉を閉めて小走りでバス停へと向かう。視界は周囲の情報の取得が困難なほど、光る太陽が占領しており、そのはた迷惑な熱光線はつい先ほどリフレッシュした額や首元から再び汗を噴き上がらせた。


今日は特に遅かったがいつもこうだ。常にギリギリで移動することになり、あとで後悔する。一時の反省はするがフィードバックされることはない。


バス停が見えてくる。と同時に、自分を追い越してバスが停車し扉を開ける。視線の先では、自分と同じ制服を着た若者や、子連れの女性などが続々とバスに乗り込んでいく。

走るスピードをアップし、駆け込むようにバスの階段を上り、どうにかICカードを読み込ませて最後の客となることに成功する。


結果をわかっていながらもバス車内を見渡すと、既に椅子は先に乗った客で埋められている。この先はバス停がほとんど存在せず、終点の学校が目的地である人間が大半を占める。そのため、ここから数十分間立ち続けることが半ば決定した。

己の行動の遅さ、朝からのツキのなさ、そして早くも湿ってきたポロシャツを恨めしく思い、ため息をつきながらバスの前方に移動して吊革につかまる。

バス運転手の「発車します。」というざらついてくぐもった声がバス内に響く。そしてゆっくりとバスが進み始めた。


吊革につかまっているのとは逆の手でスマホのゲームアプリを起動する。

「…あ」

ホーム画面に移行するまでの、ぐるぐると回るロード画面をみながらふと思い出す。

(母さんに行ってきますって言ってなかった)

思い出しはしたがまあいいか、とすぐに意識は霧散し自身の集中力はロードの終わったゲーム画面に注がれる。


バスは揺れながら終点に向かって進み続ける。



当分はこれくらいの文量で、なるべく短いスパンで更新できたらな、と思います。

書き溜めて長い1話を書きたいところですが、時間が取れないのと、長く長く話を書いているとだんだん訳が分からなくなってしまいます。

ただ漫然と執筆するのではなく、どうせなら面白いものを目指したいものです。

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