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夏休み明けの授業はマジで死にたくなる

~朝のホームルーム~


碇矢先生「さてと…今日から本格的に授業が始まるからな。お前達、そろそろ休み気分から切り替えろよー?」


「「「「…………………」」」」


碇矢先生「ん??なんか、みんな元気ないな。いつまでも夏休みなわけがないんだからさ。ほら元気出せ(笑)」 


「「「「…………………」」」」


碇矢先生「どーなってんだこりゃ??返事の1つもない…」


加藤「ハア…夏休みが、終わってしまった…」


碇矢先生「ん??」


加藤「夏休みは、楽しかったなあ…」


高木「ホント。部活だけしてればよかったし…」


加藤「海にも山にもプールにも行けたし…」


志村「こんなクソかったるい授業なんて出なくてよかったし…」


碇矢先生「おい!!誰の授業がかったるいって!?」


加藤「あー、夏休みなんで終わったんだ…」


高木「あー、夏休みが恋しい…」


志村「あー、夏休み夏休み夏休み夏休み夏休み夏休み!!」


加藤「あー、夏休み夏休み夏休み夏夏夏夏夏うわあああああ!!!!」


碇矢先生「いや、高校生ってこんなんだったっけ!?こんなに夏休みを引きずるもんだったっけ!?」


志村「先生は夏休みを舐めすぎです。先生は友達がいないからわからないかもしれませんが、夏休みは部活とバイトさえやっていれば、後はフリータイムなんです。退屈でクソつまらなくて邪魔な授業がないんです!!その時間を恋しく思うのは当たり前でしょう!!」


碇矢先生「おいコラ志村…俺のことも授業のことも随分とボロカスに言ってくれるじゃねえか…??」


碇矢先生「いいだろう!!そんなに言うなら、今すぐ教室を出て一生遊んでいればいい!!」


「「「「マジですか!?!?!?」」」」 


ガタガタガタガタ(クラス全員が席を立つ音)


碇矢先生「え??」


「先生ありがとうございます!!さようなら!!」


「やったー!!先生が許可してくれた!!」


「夏休みが増えたウレシー!!」


「これからずっと夏休み!?最高じゃん!!」


碇矢先生「ちょ、ちょ、ちょっと待て!!何を考えてるんだお前達は!!どうした!?この3バカ以外は、そんな不真面目な奴らじゃなかっただろ??夏休みを経て人格まで変わったのか!?」


志村「先生。夏休みというのは、人を変えてしまう魔物なんです…」


碇矢先生「お前は黙ってろ!!」


加藤「まあまあ。みんなそれだけ、夏休みを恋しく思ってたという証拠ですよ。」


碇矢先生「そ、そうなのか…??」


キーンコーンカーンコーン


碇矢先生「と、とりあえず、1限は俺の国語だ!!みんな席につけ!!」


「「「「…………………」」」」


「チッ。なんだよ…」


「期待させやがって。このクソハゲ教師」


「マジ死ねよ。腹立つわ」


「あーマジでかったりいわ…」


碇矢先生「何なんだ?このドンヨリとした雰囲気は…本当に俺のクラスか…?」


碇矢先生「あとクソハゲとか言った奴、必ず見つけ出してやるからな!?」


~1限目~


碇矢先生「では、今日は宿題の俳句をチェックする。1人1つ俳句を作ってくるという約束だったな。まあ今回限りだが、先生が最優秀だと感じた生徒には、特別にプレゼントをあげようと思う!!」


「「「「…………………」」」」


碇矢先生(おいおい嘘だろ…??盛り上げようと思ったらこれかよ…いつもなら「マジで!?」とか「よっしゃー!!」とか口々に言うのに…何だこの沈黙は!?)


碇矢先生「え、えーと、それじゃあ相川から順に、1人ずつ自分のを読んでいってくれ」


相川「夏休み。ああ夏休み。夏休み」


碇矢先生「なにこれ!?」


相川「夏休みへの思いを詠んだ歌です」 


碇矢先生「夏休みしか言ってねえじゃねーか!!てか夏休みを季語にすんな!!」


相川「これしか思いつきませんでした」


碇矢先生「少しはネットで調べろや!!はい次」


相島「夏休み。ああ夏休み。夏休み」


碇矢先生「まっっったく同じ!?おい!!おふざけ大会じゃねーんだぞ!?何してんだ!!次!」


「夏休み。ああ夏休み。夏休み」


「夏休み。ああ夏休み。夏休み」


「夏休み。ああ夏休み。夏休み」


碇矢先生「もういいわ!!お前ら、いい加減にしろ!!こんなのは俳句じゃねえ!!やる気を出せ!!」


志村「先生こそいい加減にしてください。俺達は真面目にやってるんだ!!それがたまたま全員同じ気持ちだったから、このような俳句になってしまっただけです!!みんなが「夏休み」に感情移入し過ぎてしまっただけです!!先生は、その気持ちまで責めるのですか!?」


碇矢先生「ク、クソ…相変わらず、それっぽいことを言うのは上手いなコイツ…」


志村「ドヤアア…」


碇矢先生「ウッザ!!」


碇矢先生「もういい。それなら、これ以外の俳句を書いてきた奴はいるか??」


出木杉「はい」


碇矢先生「おお出木杉。お前なら安心できる。頼んだ」


出木杉「夏休み。いい夏休み。夏休み」


碇矢先生「ほぼ変わんねえじゃねえか!!」


出木杉「いいえ。僕は「ああ」と違い、「いい」を用いることで、夏休みは本当に「()い」思い出だった、と振り返っているんです」


碇矢先生「それっぽい分析をするな!!ダメダメ!!」


加藤「夏休み。って素晴らしい。マジで神」


碇矢先生「ただの感想!!俳句ですらない!!」


高木「休みくれ。休みを寄越せ。休ませろ」


碇矢先生「どんだけ休みてえんだ!!」


志村「夏休みってマジ暑いけど長いのは良いね」


碇矢先生「せめて5・7・5は守れや!!ただの会話!!」


加藤「人の夏休みは!!!終わらねエ!!!!」


碇矢先生「子供時代の黒ひげ!?」


志村「俺達の夏休みは、これからだ!」


碇矢先生「もう打ち切りじゃボケエ!!」


碇矢先生「てか同じ奴が何回答えてんだ!!大喜利じゃねえんだぞ!?」


相田「戸を鳴らす。嵐に負けぬ、蝉の声」


碇矢先生「急にマトモなの出てきた!!素晴らしいじゃねえか!?」


志村「夏休み。うう夏休み。夏休み」


碇矢先生「突然の原点回帰!!ってもういいわ!!」




碇矢先生「という具合でして…とても授業どころじゃありませんでした…」


教頭「そちらもですか…実は、私のクラスもそうでしてね…」


碇矢先生「教頭先生のクラスも!?」


教頭「はい…あんなに優秀だった人達が急にどういてしまったんでしょ…」


碇矢先生「毎年、別に生徒は夏休みにそこまでこだわりはなかったですよね…?「あー夏が終わっちゃったわ。ガックリ」くらいのもんで」


教頭「勿論です。夏休みが終わったからってこのようなことになるのは、前代未聞です。これまでの我が校の歴史で聞いたことないです」


碇矢先生「そうですよね。不思議です。私のクラスも授業態度は悪くなく、素晴らしい生徒達だったはずですし…あのバカ3人を除いて」


教頭「そのことなのですがね、碇矢先生」


碇矢先生「はい??」


教頭「実は今回の騒動、その3人が原因じゃないか、と言われてるんですよ」


碇矢先生「なんですって!?」


教頭「昨日、ネットでこのような動画が流出しました。ご存知ですか?」


碇矢先生「いいえ?何ですか??」


教頭「この映像を見てください」


碇矢先生「何ですかこれは…?」


教頭「これは、あの3人が行っている演説を誰かが勝手に撮影したものです」


碇矢先生「演説!?!?」


志村「えー、皆さん。俺達の夏休みが終わってしまいました。しかしですね、諦めるのはまだ早いと思うのです。俺達の行動次第では、夏休みもきっと延長できます!!」


碇矢先生「なにしてんのコイツら!?」


教頭「放課後、勝手に廊下で演説してたみたいです(笑)」


碇矢先生「相変わらず、とんでもない奴らだ…」


志村「私達は「夏休み延ばし(たい)」です。どうか私達に清き1票をよろしくお願いします」


碇矢先生「政治家か!!」


志村「まずは皆さん、夏休みを思い出してください!!何がありましたか!?楽しい思い出、いっぱいあったんじゃないんですか!?山、海、プールに、花火、キャンプ、BBQ!!きっと、楽しいことばっかりだったでしょ!?」


加藤「さらに授業もないから、部活以外はすべてが遊びの時間!!特に帰宅部の皆さんは、何時に寝ても起きてもOK!!1日をフル活用できる!!」


高木「こんな素晴らしい時間は夏休みしかない!!そうでしょ!?」


出木杉「いや、宿題あるじゃん。僕は夏休み中もずっと勉強してたけど?」


加藤「…………………」


高木「…………………」


志村「…………………」


加藤「やかましい!!」


高木「ガリ勉の意見は聞いてねえ!!」


志村「テメエは一生勉強してろ!!」


バキイ!!


出木杉「ひどスンギ!!」


志村「ゴホン。まあ邪魔が入りましたが、夏休みは素晴らしい時間です。こんな素晴らしい最高の時間、延ばせるなら延ばしたいでしょ??」


「勿論、延ばしたい!!」


「俺も俺も!!」


「そりゃ、一生休みがいいよ!!」


「だけど、夏休みを延長なんて無理だろ!?」


「そーだそーだ!!」


志村「実は、あなた方の協力次第で、それは変えられるんです!!」


「はあ??」


「マジで!?」


「どーすればいいんだ??」


志村「簡単です。皆さん、夏休みの楽しーい楽しーい思い出を、じゃんじゃん思い出してください!!そして、今この瞬間を死ぬほど悲しんでください!!しんどくてつまらなくて、朝早くてダルくて、超めんどくさくてダルい授業のことを考えると、死にたくなりませんか!?」


「まあ確かにダルいけど…」


「夏休みに比べたら、そりゃめんどいよ…」


「まあでも、死ぬほどではないような…?(笑)」


志村「よし加藤。出番だ」


加藤「あなた達は、夏休みが恋しくなーる、恋しくなーる…」


碇矢先生「魔術か!!」(※画面越し)


「…………………」


「…………………」


「ああ…思い返すと、夏休みはマジで最高だった…」


「はあ…楽しかったなー。プール…」


「キャンプ…マジでサイコーだった…」


「はあ…わざわざ学校に来なくていい時間は、幸せだった…」


「それな…朝に満員電車も乗らなくて済むし…」


「ああ…永遠にゲームできたから最高だった…」


「はあ…彼女との旅行、マジで楽しかったな…」


加藤・志村「「リア充は死ね!!」」


バキイ!!


「なんで!?!?」


加藤「ゴホン。夏休みが恋しくなーる、恋しくなーる…」


「ああ…夏休みが恋しい…」


「夏休み、なんで終わってしまったんだ…」


「終わらないでくれ…終わらないでくれ…」


「また行きたい…海に山にプールに…」


「授業とか勉強のこと、忘れたい…」


「また夜通し、ゲームに没頭したい…」


「ああ…また彼女とプール行きたいよ…」


加藤・志村「「リア充は死ね!!」」


バキイ!!


「だからなんで!?!?」


「ああ…夏休み、続かないかな…」


「夏休みが恋しいよ…」


「なんで終わっちゃったんだ…夏休み…」


「ああ…夏休み、また来てくれ夏休み…夏休み…」


「夏休み、夏休み、夏休み夏休み夏休み夏休み夏休み」


「夏休み夏休み夏休み夏休み夏休み夏休み夏休み夏休み夏休み」


「夏夏夏夏夏夏夏夏夏夏夏夏夏夏!!」


「休み休み休み休み休み休み休み休み休み!!」


「「「「うわああああああああああ!!!!」」」」




碇矢先生「洗脳じゃねえか!!マジでヤバすぎ!!」


教頭「この直後から、全員があのような授業態度になってしまいました…」


碇矢先生「アイツら、教祖でも目指してるんですかね…?(笑)」


教頭「という訳なんで、どうか事態の収拾をお願いします。碇矢先生」


碇矢先生「ええ!?なんで私1人が!?」


教頭「いやまあ、先生は彼らの担任じゃないですか(笑)」


碇矢先生「まあ、そうですけど…」


教頭「早急の解決、よろしくお願いします(笑)」


碇矢先生「わかりましたよ…(笑)」




碇矢先生「しかし、マジでどーするか…」


碇矢先生「アイツらが普通に注意して聞くようなタマじゃないし…かと言って、怒鳴り散らすような問題でもないしな…どうにかうまく丸め込めないか…」


碇矢先生「そういえば、もうすぐ文化祭か…他校の生徒もたくさん来るから、今年もしっかりと…」


碇矢先生「あ!!!!」


碇矢先生「…………………」


碇矢先生「よし!!この作戦でいけるだろう(笑)」


~次の日~


碇矢先生「加藤、高木。それから志村。話がある」


加藤「なんですか??」


高木「夏休みの延長が決まったって話ですか??」


碇矢先生「いーや。その真逆だ」


加藤・高木・志村「「「は???」」」


碇矢先生「当たり前の話だが、例年通り夏休みはこれで終了だ。異論は認めん」


加藤「ではこのまま、俺達は布教活動を続けさせていただきます!!」


碇矢先生「布教って…宗教団体か!!」


高木「夏休みの素晴らしさを、みんなに伝え続けます」


志村「もう授業どころじゃないかもですね(笑)」


碇矢先生「ところでお前ら、もうすぐ文化祭の時期だな」


加藤・高木・志村「「「え???」」」


加藤「急に何の話ですか?」


高木「そうですけど、それがどうしたんですか?」


碇矢先生「お前たちの要望通り、もし夏休みを延長してしまうと、文化祭は開催できなくなるけど、それでもいいのか??」


加藤「はあ??文化祭!?(笑)」


高木「全然いーですよ(笑)」


志村「文化祭なんて、どーせ大したことしないし(笑)」


碇矢先生「ほうほう。つまり、文化祭はやれなくてもいいってことだな??」


加藤「いーですって。準備めんどくさいし(笑)」


高木「そうそう。授業の後に準備とか、普通にダルいよな(笑)」


志村「夏休みに比べたらそんなカス行事、無くなってもどうってことねえよ(笑)」


碇矢先生「そーかそーか。残念だなあ。うちの文化祭には、近くにある美山(みやま)女子学院高等学校の女子が、毎年結構出会いを求めて遊びに来るんだけどなあ…」


加藤・志村「「!?!?!?!?」」


碇矢先生「しかも、割とうちの学校の男子と付き合えてるらしいんだよね。噂では、文化祭での美

山女子とのカップル成功率は、80%らしいぞ??」


加藤・志村「「!?!?!?!?」」


高木「いやいや。だから何ですk」

加藤・志村「「やりましょう!!文化祭!!」」


高木「は…??」


加藤「夏休みはもう終わりました!!悔いはありません!!」


志村「俺達は、決して過去を振り返りません!!前だけを見て進んでいきます!!」


高木「はああ!?」


加藤「絶対に、文化祭を大成功させましょう!!」


志村「そうです!!それが俺達の使命です!!」


高木「いや、おい、夏休み延長の話は!?」


加藤「うるせえな!!終わったことをいつまでもグチャグチャ言いやがって!!」


志村「そうだよ!!夏休みはもう終わったんだよ。いい加減切り替えろよ!!」


高木「なんだコイツら!?誰よりも「夏休みを延ばしたい」って言ってたくせに!!」


加藤「夏休みを延ばしたい…??どゆこと??(笑)」


志村「バカじゃねーの??夏休みが延びる訳ねーじゃん(笑)」


高木「ああん!?」


加藤「ホント、いつまでも切り替えられない子供みたいな奴いるよなー(笑)」


志村「マジでそれな。過ぎたことをいつまでもグチグチと…諦めの悪い奴だ┐(´д`)┌ヤレヤレ」


高木「マジでぶっ殺す!!」


碇矢先生「じゃあ、明日から普通に授業でいいよな??(笑)」


加藤・志村「「イエス!!ボス!!」」


碇矢先生「よし。じゃあ文化祭まで授業も準備も頑張っていこうな」


加藤・志村「「イエーーーイ!!」」


加藤「気合い入れて準備すっぞ!!」


志村「おうよ!!放課後残りまくるぜ!!」


碇矢先生「ま、加藤と志村は夏休みの宿題全く終わってないから、今日からしばらく居残り勉強ね(笑)」


加藤・志村「「はあああああああああ!?!?」」


加藤「ふざけんな!!勉強してる場合じゃねえんだ!!」


志村「そうだよ!!俺達には文化祭(美山女子)が待ってんだ!!」


碇矢先生「ちなみに勉強できた方が絶対、美山女子にモテるよ」


加藤「居残り勉強、いくらでもします!!」


志村「100時間でもいくらでもします!!学校に泊まり込みます!!」


碇矢先生「制御しやすいなコイツら!!」


~完~

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