迷探偵 ドケチ小五郎 前編
~昼休み~
志村「おいゴルアアアアア!!誰がやりやがった!?名乗り出ろや!!」
加藤「!?!?」
高木「なんだ??」
出木杉「なんか、志村君が教室でキレ散らかしてるらしいよ??」
加藤・高木「「はあ??」」
ガララララ
加藤「おいどうした??」
志村「どうしたもこうしたもねえ。盗まれた…」
加藤「マジで!?窃盗!?」
高木「何が盗まれたんだ!?」
志村「12円……」
加藤・高木「「…は??」」
加藤「ごめん。もう1回言って」
志村「だから、12円盗まれた。」
加藤「えーーと……」
高木「12円て、あの12円??10円玉と1円玉2枚ってこと??」
志村「当たり前だろ。何言ってんだお前」
高木「イライラ」
加藤「えーと、どういう状況…??」
志村「だから、俺の財布から全財産12円が盗まれたんだよ!!」
加藤「もう少し持ち歩けや!!」
志村「うるせえ!!俺はもうそれ以上金がねえんだよ!!」
加藤「どんだけ貧乏!?」
高木「なんでそんな金ねえんだ?お前バイトしてるだろ?」
志村「ゼルダの伝説とスプラトゥーン買ったら消滅した…」
加藤「……それは仕方ない」
志村「いいんだよ俺の金ない話は!!そんなことより犯人は誰だ!!名乗りやがれ!!」
高木「落ち着け!!誰も12円なんて少額盗まねえ!!」
志村「ああん!?12円を舐めんじゃねえ!!」
加藤「そもそも金が欲しいなら、志村の財布をあさらねえよ(笑)」
高木「確かに。(笑)」
志村「なんだと!?バカにすんな!!」
加藤「するわ!!現に12円しかなかったじゃねえか!!」
志村「でも盗まれたし!!」
加藤「だからそれが有り得ないんだって(笑)」
高木「誰も12円のためにそんな危険おかさねえよ(笑)」
志村「うるせえ!!12円をなめんじゃねえ!!」
加藤「何も買えねえだろうが!!」
志村「うまい棒なら買える!!」
高木「自分の金で買え!!」
志村「その金が無かったんだよ!!」
加藤・高木「「そんな奴はいねえ!!」」
志村「絶対いる!!今からこの教室で犯人を探し出す!!」
加藤「はあ!?」
高木「正気かお前!?」
志村「当たり前だ。俺は名探偵志村、今から俺の全財産を取り戻す」
加藤「犯人探してる間、バイトした方が儲かるぞ…??」
高木「お前めっちゃコスパ悪いぞ?(笑)」
志村「うるせえ!!俺は犯罪行為が許せねえんだ!!絶対に裁いてやる!!」
加藤「はあ…めんどくせえ…」
高木「まあこうなったら、このバカは止まらんからな…」
志村「今日の朝、俺は財布の中にあった12円を確認して絶望していた。そして学校に来てから一切何も買っていない!!」
志村「つまり誰かに盗まれた!!犯人はこの中にいる!!」
加藤「にわかには信じられんが…心当たりある人はいるか??」
高木「無い。誰がリスクを犯して12円を盗むっていうんだよ…(笑)」
志村「今すぐに名乗り出れば、特別に許してやる!!10万円払うなら警察にも言わないでおいてやる!!」
加藤「全然許す気ねえじゃん!!金払わせる気満々じゃん!!」
「なになに??」
「どーしたの?」
「え?12円って何の話??」
「なんか、志村の全財産らしいよ?」
「えー?カワイソ!!で、それがどうしたの?」
「盗まれたんだって」
「は?何が?」
「12円が」
「????」
加藤「うん。俺も?だわ…」
高木「マジで気持ちわかる」
志村「全員だんまりか…許せねえな。見損なったぜ、お前ら」
加藤「いや、みんな困惑してるだけだと思うけど…」
高木「そもそもなんで12円で騒いでるのかわかんないと思う」
志村「隠すならしょーがねえ。今から全員の手荷物検査を行う!」
加藤「そこまでする!?たかだか12円だぞ!?」
志村「バカ野郎!!あれは今日の俺の昼飯代なんだぞ!?あれがなきゃ俺が餓死しちまうだろうが!!」
加藤「変わんねーよ!!どうせうまい棒を買って食べるだけだろうが!!」
志村「0と1は大きく違うんんじゃ!!」
加藤「空腹でうまい棒食べても、余計腹が減るだけだわ!!」
志村「うるせえ!!とにかく俺は犯罪者を絶対に許さねえんだ!!人の金を盗むなんて犯罪行為、俺は絶っ対に見過ごさねえ!!」
加藤「志村……お前……」
志村「必ず見つけ出して捕まえて、金を取り返す!!」
高木「あーもうウッゼエエエエ!!やるよ12円くらい!!」
志村「え!?マジで!?」
高木「ゴチャゴチャ言って…結局欲しいだけだろうがよ、12円を!!」
志村「そ、そ、そそそそそんな訳ねえじゃん!!ちゃんと犯人を見つけなきゃって思ってるし!!」
高木「よく言うぜコイツ…」
志村「ま、まあでもどうしてもくれるって言うなら、もらってあげなくもないけど…??」
加藤「いい加減にしろ!!高木!!」
高木「え?」
志村「え?」
加藤「志村はなあ、犯罪者を更生させようとしてるんだよ!!」
高木「え?」
志村「え?」
加藤「コイツは、実はもう12円なんてどうでもいいんだよ!!そうじゃなくて、金を盗んだ奴を見つけて説教して、そいつを真っ当な人間に更生させようとしてるんだよ!!」
高木「え?」
志村「え?」
加藤「そうだよな??志村!!」
高木「そう、だったのか…?志村…」
志村「いや、えと、まあ、うん。そんな感じ。」
加藤「流石志村だぜ!!男らしすぎるぜ!!」
高木「すまん…俺はお前のことを勘違いしてたわ…てっきりまた、少額の金でギャーギャーと喚き散らすようなクソゴミ害悪行為をしてきたのかと思って…」
志村「そ、そうだよ!!お、俺がそんな、12円ごときでゴチャゴチャいう訳ないじゃナイカー!!そんなことより、俺は犯人を更生したいダケサー!!」
加藤「わかった。俺達も全力で協力するよ!!」
高木「ああ。絶対に犯人を捕まえよう!!」
志村「加藤…高木…!!お前達はやっぱり親友だぜ!!」
加藤「じゃあ早速、手荷物検査しまーす」
高木「ここに順番に並んでくださーい」
新垣「え??カバンの中身とか見せた方がいいの…??」
加藤「いいえ。新垣さんは問答無用でOKです」
出木杉「なんでだよ!!」
加藤「いやだって、こんな女神が窃盗なんてするわけないだろ??常識的に考えろ」
出木杉「12円を盗む奴がいないことも、常識的に考えればわかるだろ!?」
加藤・高木「「確かに!!」」
加藤「じゃあ次、古手川」
古手川「私、風紀委員だぞ!?犯罪と対極の存在だわ!!」
加藤「いやでも、こういう時は一番怪しくない奴が犯人なんだよ」
高木「それな。刑事ドラマの定番だ」
古手川「何の話!?」
志村「一番怪しい花畑は逆にセーフ」
花畑「なんでアタシが一番怪しいのよ!!」
加藤「志村といっつも対立してるから、普通に怪しい」
花畑「12円なんていらねえわ!!」
志村「まあ、とりあえずカバンを見せてくれ」
花畑「ちょっと!!そんなもん盗むわけないって言ってんでしょ!?」
志村「必死だな。ますます怪しい…」
花畑「は!?」
志村「犯人じゃないなら、さっさと手荷物検査をして証拠を示せばいい。それを嫌がるということは、見られたくない何かがある、ということだ」
花畑「12円は置いといて、カバンの中を見られたくねえわ!!」
志村「それなら、とりあえず古手川が調べてみてくれ」
古手川「え!?なんで私が!?」
志村「同性の友達なら別にいいだろ??」
花畑「いやだ!!」
志村「やはりコイツが犯人か…」
花畑「違うし!!でも絶対嫌だ!!」
志村「バカめ。それがお前が犯人だという証拠だ」
花畑「…じゃあ、もし違ったら名誉棄損でアンタが10万円払って」
志村「え??」
花畑「こんだけ人を疑うってことは、アンタもそれなりの覚悟があるってことよね??」
志村「お、おう。そりゃ勿論…」
花畑「なら、もし中を見て証拠がなかったら、10万円払ってね。逆にあったら、アタシがアンタに10万と12円払ってあげるわ」
志村「…………………」
志村「やっぱり俺の睨んだ通り、花畑は犯人じゃない」
加藤「いや、弱!?押し負けた!?」
高木「しかしなんだ??そんな見られたくないものでもあんのか??」
花畑「バカね。レディーのバッグには、誰にも見られたくないものが入ってんのよ」
高木「花畑が、レディー…??」
花畑「そこに文句があんの!?正真正銘の女だろうが!!」
志村「それじゃあ気を取り直して…」
志村「相川、相田。お前達2人とも怪しいな」
相川・相田「「なんで!?」」
志村「さっきから挙動がおかしい」
相川・相田「「トイレに行きたいんだよ!!」」
志村「なんだよ。じゃあさっさと行けばいいじゃん」
相川「加藤と高木がドアを塞いでるから、行けないんだよ!!」
志村「手荷物検査を終えたら、解放してやる」
相川「ほらよ!!」
相田「俺もちょっと…荷物の中は見せたくないな…」
志村「はあ??男相手に何を恥ずかしがっt」
相田「賭けようか??10万円」
志村「どうぞお通りください」
加藤「ちょろ!!」
高木「そんなんじゃ一生犯人見つからねえぞ!?」
~後編に続く~
出木杉「こんなくだらない話を前編と後編に分けるな!!」