ここまでくると、騙される方が悪い説
～放課後～
加藤「なあ高木。ちょっといいか？」
高木「おう。なんだ？」
加藤「悪いんだけど、金貸してくんね？？」
高木「お前が借りるの珍しいな。別にいいよ」
加藤「助かるわ、サンキュー」
高木「で、何円？？」
加藤「えーと、１５万円。」
高木「…………………」
高木「え？ごめん、もう１回言って」
加藤「だから、１５万円」
高木「えっと、ごめん。俺の耳がイカれてなければ、「１５万円」って聞こえるんだが…」
加藤「うん。「１５万円」って言ってる」
高木「ちょ、待て待て待て待て。え？どうした？え？何に使うん？？」
高木「しかもそもそもそんな大金、今持ってねえし！！」
加藤「そっかあ、高木でもダメかー。」
加藤「色んな人に聞いて回ってるけど、みんなダメだったんだよねー(笑)」
高木「いや、だから、そもそも何に使うの？？」
加藤「それは、いくら高木でもちょっと教えられないわー(笑)」
高木「いや、滅茶苦茶怪しいじゃん！！お前、なんかヤバいもんに手を出しただろ！？」
加藤「バーカ！！そんなわけねーじゃん！(笑) そこまでアホじゃねーよ(笑)」
高木「良かったー。流石にな。ビックリしたわ(笑)」
加藤「心配しすぎだよ、お前は(笑) 俺だって、一応高校生よ？」
高木「わりいわりい(笑) でもよ、１５万円って相当よ？そりゃ心配もするって(笑)」
高木「だから、せめて何に使うかぐらいは教えてくれよ」
加藤「…………………」
加藤「まあ、高木は信用できるからいいか。」
加藤「よし高木。ちょっと耳貸せ」
高木「なんだ？？」
加藤「あのな、ここだけの話だぞ？絶対に他言するなよ？？」
高木「おう。わかった。」
加藤「ちょっと、これ見ろ」
高木「なんだこれ？石？？」
加藤「巷では、「神の石」って呼ばれてる代物だ」
高木「は？？」
加藤「この「神の石」は全部で７種類あるんだ。世界中のどこを探しても、近所に住む「教祖様」しか持ってないらしい…」
高木「？？？？」
加藤「それで、７個この石を集めると…なんでも１つだけ願いが叶うらしいんだよ！！」
高木「いや、どこのドラ〇ンボールだよ！！」
加藤「バカ野郎！！この神聖な石を、漫画なんかと一緒にすんな！！」
加藤「それに、ドラ〇ンボールは球だろ！？これは石だ！！」
高木「いや、そういう問題じゃねえ！！設定が一緒じゃねえか！！絶対に騙されてるよ、それ！！」
加藤「そんなわけねえだろ！？あのジャネンバ教の教祖様が、そんなことするわけねえ！！」
高木「いや、名前からすでに超絶胡散臭いんだけど！！」
加藤「お前、あのお方を侮辱すんな！！あのお方はハーバード大学で「神の召喚学」を学んで、神の召喚術を身につけて、世界各国を回って、この「神の石」を広めてるんだぞ！？」(※そんな学問は存在しません)
高木「この上ないほどに胡散臭えじゃねえか！！絶対詐欺師だよそいつ！！」
加藤「なんだよ！！せっかく高木を信用して教えてあげたのに！！」
加藤「一緒にこのジャネンバ教を広めていこうぜ！？」
高木「絶対に嫌だ！！」
加藤「なんだよ、お前。俺は教祖様に「信用できる人間」以外には教えるなって言われてたんだぞ！？せっかくお前のためを思って教えたのに…一緒に願いを叶えようぜ？？」
高木「だから、叶わねえから！！」
高木「え…？ちなみに、これまでにそのゴミ宗教に、何円使った？？」
加藤「この石、１個で３万円だったから、６万円使ったぜ！！」
加藤「おかげでこれまでのお年玉も全部使っちまったから、それでこうしてお前にお金を借りに来てるってわけ。残りの５個を集めるために！！」
高木「マジかお前……もう払っちまったのか……」
加藤「当たり前だろ！！だって、なんでも願い事が叶うんだぜ！？」
高木「少しは疑う心を持てや！！」
加藤「それに俺の願いは「億万長者になること」だから、２１万円くらい安いもんさ！！」
高木(ダメだコイツ…早く何とかしないと…)
志村「何騒いでんだよお前ら」
高木「おお、志村！！ちょうど良かった！！」
志村「どしたの？？」
高木「いやさ、加藤のアホが詐欺に引っかかってんだよ。一緒に説得してくれ」
志村「はあ？？詐欺に引っかかるとか、どんだけバカなんだよ(笑)」
志村「ったく世話が焼けるぜ。まあ、俺に任せときな(ドヤ顔)」
～１分後～
志村「一緒に願い叶えようぜ！！加藤！！」
加藤「ああ！！必ずお互い石を７個集めような！！」
志村「おう！！ジャネンバ教、最高！！バンザーイ！バンザーイ！」
高木「忘れてた…コイツ、加藤以上のバカだった…」
加藤「今日この後、教祖様に会いに行くけど、お前も来るか？？」
志村「いくいく！！絶対行く！「ドラゴンの石」見に行きてえ！！」
加藤「「神の石」な(笑) 完全にドラ〇ンボールとごっちゃになってんじゃん(笑)」
高木「いや、お前ら部活は？？」
加藤「部活なんかより、教祖様に合う方が大事だわ！！」
志村「あたぼうよ！！部活なんて１銭の価値もねえぜ！！」
高木「あ、ヤバい。重症だこれは…」
加藤「もうすぐ億万長者だぜー！イエーーイ！」
志村「ジャネンバ教、バンザーイ！バンザーイ！」
高木(ハア…めんどくせえけど、しょーがねーな…)
高木「ならそれ、俺も行ってもいいか？？」
加藤「は？？ダメだよ。お前は否定してたじゃん。我らがジャネンバ教を。」
志村「そうだよお前。ジャネンバ教を心から信じない奴に、教祖様に会う資格はないよ。」
高木(うっわ、超めんどくさ…(笑))
高木「わかったよ。なら信じるよ…だから連れてって」
加藤「いいだろう。じゃあ信者になった証として、まずこの儀式をやってもらうぞ」
高木「え？？儀式？？」
加藤・志村「「ジャネンバ教、バンザーイ！！バンザーイ！！」」
高木「死んでもやらねえ！！！」
～放課後～
加藤「着いた！ここだ。」
志村「おー。めっちゃ雰囲気あるなあ…教祖様っぽい！！」
高木(どこがだよ(笑) 路地裏に住んでるとか、怪しさしかないだろ(笑))
高木(一応警察に連絡しとくか…)
高木「あ、もしもし。警察ですか…」
加藤「おーい。何してんだ？高木、早く来いよ」
高木「はいはい」
加藤「よし。お前ら、ちょっと待て」
志村「どうした？」
加藤「ヤンマーカンマーサンマーハンマーヤンマーカンマーサンマーハンマーヤンマーカンマーサンマーハンマーヤンマーカンマーサンマーハンマー」
加藤「アンドラゴラスサンカミヤ、レトロフリークミロカロス、アンゴレビアンコラララコッペン」
？？「ラララ、ジャネンバ！！」
加藤「ラララ、ジャネンバパン！！」
？？「よし、入っていいぞ」
高木「え？え？何この気持ち悪い挨拶…(ドン引き)」
志村「スゲー！！挨拶めっちゃカッコイイ！！」
高木「どこが！？」
？？「加藤君。お金は用意できましたか？」
加藤「いえ教祖様、今日は友人を紹介しに来ました」
教祖「ほうほう。彼らも石を買ってくれるのですか？？」
加藤「勿論です！ただ、今はお金が無いので買えないっすけど…一応、挨拶だけでもしておこうかと」
志村「志村です！！今は金なくて買えませんが、バイトを頑張って、必ず、必ず、ド〇ゴンボールを７個全部買って、神龍をよんでみせます！！」
加藤「だから、神の石だっつーの！！それに神龍は出ねえから！！」
教祖「えっと…加藤君。大丈夫なのですか？彼(の頭)は…」
加藤「ええ。ちょっとバカですが、心配いりません。教祖様」
教祖「そうか。では君は…」
警察「警察だ！！今さっき詐欺の現場を見たと通報があった！少し調べさせてもらう！！」
教祖「ヴぇ！！？？け、けけけけ警察！？ちょ、ちょ待てよ！おい！！」
教祖「ぼ、ぼぼぼぼっぼぼくは、な、なんもしてないでしゅよ！？じゃ、じゃあそういうことで…」
警察「ダメだ。というか、またお前か。懲りずにまた詐欺してるのか」
加藤「え？詐欺？？」
警察「うん？なんだ？？この変な石は…」
高木「僕達、この変なキモい石を高値で買わされてました！！」
警察「な、なんだってーー！？」
教祖「ちょ、このガキ！！てか「キモい」は言い過ぎ！！」
高木「そうだよな、加藤」
加藤「え、まあ、はい。１個３万円で買いましたけど…」
警察「３万円！？こんな何でもない河原とか道端に落ちてそうなキモいゴミみたいな石ころを！？許せん！！警察に行くぞ！！」
教祖「どんどん悪口が増えるやん！！何なの！？石になんか恨みでもあんの！？」
警察「やかましい！！この詐欺常習犯が！！」
教祖「ちょ、ごめんなさい！！警察だけはマジ勘弁！！」
高木「な？？詐欺師だったろ？？(笑)」
加藤「…………………」
志村「…………………」
高木「お前ら、ホントにバカすぎ(笑) あんな詐欺、小学生でも引っかからねえわ(笑)」
高木「まあとりあえずお礼として、なんか飯でも奢ってくれや(笑)」
加藤「…………………」
志村「…………………」
高木「おい。なんか言えよ(笑)」
加藤「俺は、気づいてたよ？」
高木「は？？」
加藤「お、俺は最初から気づいてたよ。アイツが詐欺師だって」
高木「は？？」
志村「お、おう。俺も俺も。アイツさ、最初見た時、いや加藤から話聞いた時からなんか、滅茶苦茶怪しいと思ってた。マジマジ。」
加藤「俺も俺も。そもそもさ、あんな石ころが３万円って時点でおかしいんだよ」
加藤「俺はアイツが詐欺師だとわかってたからさ、今日罪を認めさせようと思って、あいつを訪ねたんだけどさあ…俺がアイツを論破する前に、警察が来ちゃったからなあ…」
志村「それなあ、マジ残念。俺らでボロクソに論破して、詐欺師をメンタル崩壊させるつもりだったのに…いやー大したことねえ詐欺師だったわ」
高木「ハイハイ。もうそういうのいいから(笑)」
高木「さっさと学校戻って、部活行くぞ。そこのクソバカ２人組」
加藤「バ、バカじゃねーし！！」
志村「ホ、ホントに気づいてたし！！」
高木「ハイハイスゴイスゴイ」
加藤「あんな詐欺に引っかかるバカなんて、志村ぐらいだわ！！」
志村「いーやお前だけだ。俺は引っかかったフリだった！！」
高木「ハイハイスゴイスゴイ」
加藤・志村「「聞けよ！！」」
～完～
