第六話 進展!楽園の惑星の物語
恐らく一章の街中回はこれで最後です。
さて、アクセサリー屋に行くんだったな。街中を歩くのも楽しいけど、このゲームはRPGなんだ。やっぱり戦ってこそって感じだよな、チュートリアルがしっかりしてるのは安心できるし、登場人物との対話だってそりゃあ楽しいさ。でも、折角ゲームのスタート時点から始められたんだ、できる限り上を目指したいってもんだろ。アクセサリー屋のアクセルさんには悪いけど、サラッと済まさせて貰おうかな。
というわけでやって来ました、アクセサリー屋魔獣の爪。左右に商品が展示された棚が並ぶが、それ以外にはカウンターしかない小規模な店舗だ。カウンターには誰も立っていないが、オープンしていたはずなので、今は奥にいるのかもしれない。カウンターに呼び鈴の類も見当たらないので、奥に聞こえるように声をかける。
「すいません、アクセルさんいますか!」
「はいよー!時間が飛んだかの様に素早い仕事でお馴染み、アクセルさんの魔獣の爪にようこそー!おっ、見ない顔だねぇ、それなのに俺様の名前を知ってるってことは誰かに聞いた感じかな?今日はどんなアクセサリーをお求めだい?」
金髪に黒いバンダナを巻いた、軽薄さを感じさせる若い男性が現れる。自信に満ち溢れた表情と、軽い口調が本人の明るい気質を表している。
「ティマイオスさんからの紹介で来まして、素材持ち込みでアクセサリーを作って貰いたいんです。」
「ふむふむ、なるほどぉ。ティマイオスね、あのオッさんも面倒見良いからなぁ、オッケー!じゃあ割引はできないけど、分割払いを許可しちゃおうかな。それで、使いたい素材を見してみ?へー、ウィンドホークかぁ、属性持ちだしアクセサリーにしやすい素材だねぇ。羽と鉤爪なら、首飾りにしちゃうのが良いかな。今は400Wしか持ってないのか、それ全部置いてって、800Wを2回払いすると思って。そんじゃ、次来た時にはできてると思うから、軽く狩りにでも行って来なよ!」
こっちが返事をする間もなく、素材と所持金を確認するとひったくるように持っていくと、そのまま奥の部屋に引っ込んでいった。サラッと済まそうなんて思ってたのに、あっちがこんなに素早くやりとりを終わらせるとは、流石に予想外だったな。時間が飛んだように仕事が速いでお馴染み、とか言ってたけどさっきのは話が別なんじゃないかな。所持金もゼロだし、ウィンドホークの素材も無くなった、一応ネズミの素材は持ってるけど絶対安いしなぁ。結局、防具も更新出来なかったしアクセサリーもない、出来上がりを待つ間はアクセルさんが言ってたように狩りに行くべきか。
そういえば、チュートリアルクエストとは別にストーリークエストってのがあるんだよな。元から受注してる判定なのかクエスト目標がわかるんだけど、教会で話を聞くだけっぽいし、先に終わらせようかな。教会も西地区だし、ポーション買いに行った時に行っとけば良かった。
それにしても、このゲームのストーリーか。一体、この惑星はどんな事情を抱えているのかな。うん、興味が湧いて来た、ちょっと急いで行くとしますか。魔獣の爪は中央付近なので、別地区への移動はかなり楽だ。少し歩けば中央広場に出る、同じような服装をした者達で溢れかえりそうだ。混み合い方が凄いので、すぐに通り過ぎる。
改めて西地区を見てみれば、整理された建物の並びや素材の質の高さが、上品さを醸し出している。広い道の先に、周囲の建物の倍ほどの高さの白い建物が見える。神聖さを感じさせるその建物こそ、十二星神教の帝都教会だ。十二星神教ってことは、十二星座に関連する神か何かを信仰しているのだろうか。異星のリアルを謳っているとはいえ、ファンタジー色の強い作品だ、実際に神が現れて干渉してくることもあり得るな。
解放されている大きな扉の向こうは、外観と同じく神々しさのある白い壁に囲まれ、ステンドグラスや大きく空いた窓から入る日光が、暖かい光によって室内を照らしている。入ってすぐの部屋は礼拝室らしく、高い位置に神像が並び、木製の長椅子は多くの人を支えて来たことが分かる渋みを有している。周りを見渡していると、1人の修道女が話しかけてくる。
「異星人の方、ですよね。実は、十二星神の十二柱から異星人の方へお告げがあったのです。聞いていただけませんか?」
二十代ほどで、黒髪に青い目をした美人だ。スタイルの良さにより、修道服の野暮ったさを消している。目の色がもう少し緑に寄ってたら、もっと好みなんだけど。自分の好みの話はいいか、とにかく返事しないとな。
「分かりました、是非聞かせてください。」
「ありがとうございます、中々異星人の方々が来てくださらなくて、来てくださった方も急いでいるとかで急かされましたし、困ってて。すいません、愚痴ってしまって。それでは、神々のお言葉を伝えますね。各神の聖地にて、汝らに試練を与える。力を求める者、この星にて営みを成そうとする者、汝らの障害を排すべく、汝らの力を鍛えよう。とのことです。」
へー、神々の試練か。障害を排除するための力を得るために鍛えてくれるってことだけど、その障害って絶対ヤバいやつだよなぁ。わざわざ神が鍛えなきゃならないレベルってことでしょ、しかも生産職の方にも試練があるっぽいことからもヤバさが伝わってくるな。全プレイヤーでやらなきゃいけない、とまではいかなくても所謂大規模レイドバトルにはなりそうだな。
「はい、神々のお言葉、しっかりと聞き届けました。ところで、帝国から1番近い聖地は何処にあるんでしょうか?」
「それなら、ここ帝都から東に二つ都市を超えた先に、射手座の神様の聖地がございます。聞いた話によれば、神々の試練は本人の実力や、越えた試練の数によって難易度が変わるそうなので、聖地まで辿り着ける実力があれば、挑戦に足るだけの資格はあると思います。」
スタート地点は、プレイヤーが選んだ国によって変わってしまうから、1番近い聖地が1番難易度が低くなるようになってるのか。しかも、本人の実力によっても変わるなら、もしかして強くなったらその分だけ、試練も難しくなってゴリ押しが出来ないようになってるのかもな。
ストーリークエストに試練か、目標があると強くなることがより楽しくなるし、行動の方向性も定まるしいいことづくめだな。東に2個都市を超えれば聖地があるんだったな、東は初心者向けのフィールドな訳だし、次の都市までの間にあるフィールドが草原だけなら割と早く行けそうだな。逆に言えば、間にフィールドがいくつかあれば、到達するだけでもかなりの時間がかかるかもなぁ。
次の都市に行くにはボスを倒さなきゃならない、みたいなのもあっておかしくはないし準備だけは怠らないようにしないとな。準備といえば、装備の更新に他のテイムモンスターのテイム、今の同時召喚上限である2体はテイムしておきたいところだ。
1体はウィンドホークとして、移動手段としても役に立ちそうなやつか、盾役か回復役が出来そうなやつが欲しいな。折角1体目がレアモンスターだったわけだし、戦力的なことを考えても、他のモンスターも出来る限りレアモンスターで揃えたい。
そもそも、ウィンドホークがどんな性能かも確認してないな、次のモンスターをテイムする前に確認しておくか。テイムモンスターの性能は何処から見られるんだ?自分のステータスからは違うか、スキルの方からかな?おっ、あったあった。テイムスキルの横に丸括弧で1と数字が出てるから、そこをタップすればテイムモンスターの一覧が出て、ステータスを確認出来るわけか。
ウィンドホーク Lv3
HP C
MP B
SP D
STR A
MGK B
DEX E
VIT C
MND D
AGI D
スキル
急降下突撃 翼式格闘術 風纏い
ふむふむ、ステータスが圧倒的に高いな。僕はテイマーだからステータスは戦闘職では低いけど、それにしても高く見えるな。勝ってるのがDEXとMNDしかないし、スキルも明らかに攻撃的だ。時間制限があってMPも消費するとはいえ、この強さを召喚出来るのはかなり強いんじゃないだろうか。でも装備欄が見当たらないし、装備で強化ってのは出来ないから、そこで通常の戦闘職との差別化を図っているのかもしれない。
ステータスの配分としては、耐久系の能力と素早さが低いが、その分HP・MPに攻撃系の能力も高い、完全な攻撃特化型と言えるだろう。スキルは、戦闘した時を思い出しての想像になるけど、急降下突撃はそのままで、翼式格闘術は降りてからボクシングみたいに殴りかかって来た連撃のやつで、風纏いは自身に纏うだけじゃなく石を持ち上げて投げつける時にも使ってたんだろうな。
SPは低いけど、MPが高いところを見るに、風纏いはMP消費が大きそうだけど、SPは低いから、急降下突撃や翼式格闘術はSPの消費が少ないか、そもそも消費しないかのどちらかっぽいな。物理、魔法共にアタッカーをこなせるウィンドホークは、これからもエースとしてよく働いてくれるだろう。
帝国出身のメインテイマースタートのプレイヤーは、多くがウィンドホークの世話になるんじゃないだろうか?単純にテイムする条件は厳しいけど、レベルが上がればそこまで難しくないだろうしな。とにかく、ウィンドホークの運用は盾役がテイム出来るまで、高いHPで耐えつつ近接攻撃で殴ってもらう感じになるかな。
さぁて、銃も直ったしサブジョブで整備士を取ってさらに銃の安定性が増した、ウィンドホークの性能も確認して運用方法も決めた、次の都市に行くための準備だ。待ってろよ、新しい相棒!
ゲームとしてのストーリーが進むが進むと共に、この作品のストーリーも進んでいきます。本文でも述べたように、次話からはガンガン戦闘していきたいですね。やっぱりRPGは戦闘が楽しいゲームだと考えているので。今話を読んで下さりありがとうございます、次話も読んでいただければ幸いです。




