第五話 散策!ミカニス帝国帝都!
街中回その2です。
というわけで、まずは回復を買いに西にやってきた、のではなく、先にテイムモンスターについて確認しつつ魔獣総合組合に寄って、テイムモンスターについてもうちょっと聞くべきことがないかも聞きに行こうかな。改めて、というわけでやってきました、南地区。北地区から歩いてきたからまあまあな時間がかかっちゃったけど、広い方がガチで探索する時楽しそうだし、隠し要素満載だろうからむしろ良いまである。
ミカニス帝国の初期都市の話は置いといて、買い物するにあたって自分がいくら持ってるかを確認しなきゃな。所持金は、インベントリの右上に表記があるな。1000Wか、Wってなんの略なんだ?詳細見てみるか、えーと、WはWoodの頭文字であり、ミカニス帝国の通貨は木製のコインと紙幣である事が由来。木製の理由は、金属は銃か機械にしてしまうから通貨にするほど余らないから、か。どんだけ銃と機械好きなんだよ、って感じだけど、この分だと他の国と通貨が違うのかな?帝国が金属使いたいからって、全部の国が木製のコインなんて使うと思えないしな。さすがに通貨の価値が変動したりしないよね?
とりあえず、初期からある程度お金は持ってる事が分かった、回復アイテムを買うなら、錬金術師ギルドか個人経営の道具屋で買うのが良いって、ダンガンさんが言ってたな。一定の品質と安定した値段が信頼できるギルドと、売り物の幅や作り手の腕によって、高品質な品が望める個人経営らしい。まだ始めたてだし、ギルドの安定した品がいいかな。錬金術師ギルドは結構デカい建物で、この街ではかなり珍しい木製の建物らしい。ギルドみたいな大きい建物で木製なのは、錬金術師ギルドだけらしいのですぐにわかるはず。
お、あれかな。これまでずっと石かレンガでできた建物を見てきたから、結構新鮮だな。お邪魔します、と心の中だけで言いつつ木製の扉を開ける。3階建ての建物で、一階は他のギルド同様受付が並んでおり、魔獣総合組合のように店舗も多くある。最初に行った魔獣総合組合や、シンプルに人気があんまなかった整備士ギルドに比べて、ギルドの中は多くの人で賑わっている。
自分と同じく回復アイテムを買いに来た人もいるのか、色んな服装の人がいるな。今回は回復アイテムを買いに来ているので、迷わず店舗に向かう。天井から吊り下がった看板によれば、手前から2番目の店が一般向けに薬を売っているっぽいな。少し列が出来ているので、これ以上並ぶ人が増える前にさっさと並んじゃおう。自分の番が来た、チュートリアルクエストで貰ったような、初心者用の回復ポーションは一つ50W、MP回復ポーションが一つ75Wと、まだ通貨の価値があまりわからないから確信はできないけどかなり安いんじゃないかな。どちらも5個ずつ購入する、これで残金は400Wになった。
ポーションが安いとはいえ、残金だと防具を新調できるほどは無さそうだな。ネズミ素材売ったとしても全然高くないだろうし、実はウィンドホークの部位破壊報酬とでも呼ぶべき素材が幾つかあるけど、せっかくならこれを直接防具かアクセサリーに加工して欲しいからなぁ、せっかくの初テイムモンスターの素材だから大事にしたい。
素材持ち込みでアクセサリー1つくらいならできないかな?アクセサリーかぁ、どこ行きゃ良いんだろうか。北は金属だし東は戦闘だし、西は今いるけど城や貴族街があるから、一般人が入れるところはそんな広くないんだよな。アクセサリーと聞けば、金属で良さそうに思えるけど、使う素材は生物由来だから難しそうだよな。魔獣由来となれば、魔獣総合組合に相談してみるか、初テイムの報告と助言を貰いに行くのも兼ねて。そうと決まれば早速移動するか、それにしても今日一日だけで初期都市4つの地区制覇しちゃったな。どこもちゃんと周ったわけじゃないけどね。いずれ、もっと丁寧に街を探索しよう。
さーて、戻ってまいりました南地区、魔獣総合組合。初めて来た時より多くの人で溢れかえっている、楽園の惑星のサービス開始からそろそろ数時間経つし、用事や仕事が終わった人やサブジョブとして取りに来た人が多いんだろう。時間がある学生で良かった、混雑に巻き込まれずに済んだし単純に楽しい時間が長いからな。テイムモンスター関係の相談って、どこの受付に行けば良いんだろうか。登録の受付は手前にあるし、しっかり書いてあるから良いんだけど、他はクエストとか、受けられるサービスについてとか、奥のはランクアップ申請用だしなあ。相談ができるとこもあるんだろうけど、ぱっと見じゃ見つからないな。
「おう、フォートだったか?俺だよ、兄さんの初心者講習やったティマイオスだ、名乗ってなかったよな。登録はしっかり出来たんだろ、今回はどうしたんだ?」
「ティマイオスさんって言うんですね、宜しくお願いします。実は、最初のテイムモンスターを手に入れたんですけど、それについて何か注意点がないかなっていうのと、その時の戦闘で手に入れた素材でアクセサリーを作りたいんですけど、どこでやってもらえるかを聞きたくて。」
「ほう、テイムしてきたのか、それはめでてぇな。それで、注意点と魔獣素材でのアクセサリーねぇ。とりあえず、2階に話出来るとこあっから、そこでゆっくり話そうぜ。」
そう言って店舗の横辺りにある階段に向かい登り始めたので、遅れないように着いていく。初心者講習の時、本当は担当じゃなかったらしいのにあれだけ詳しく話してもらったし、ティマイオスさん良い人だなあ。ティマイオス→ティマ→テイマ→テイマー?まさかそんな雑なネーミングな訳ないか、そもそもこの広さのマップなんだ、人の数も馬鹿みたいに多いから、運営が一々考えてるわけもないし考えすぎか。
魔獣総合組合の2階には行ったことなかったけど、話すところがあるのか、これからもティマイオスさんを頼りにするならよく使うことになりそうだな。そんなことを考えているうちに2階に到着した、1階と違い受付が個別になっておらず、長いカウンターに数人が並ぶ形だ。
受付と反対の壁には幾つかの扉があり、その間に丸いテーブルと椅子が並ぶ。ティマイオスさんに続く形で、椅子に座るとおもむろに話し始める。
「よし、このテーブルでいいだろ。じゃあ、話していくとするかね。ちょい前の講習の続きって感じだな、テイムモンスターに関する注意点が聞きたいんだろ。まずは、おさらいも兼ねてな。テイムモンスターの契約数は限りがある、テイムスキルが育ってない今だと、5匹が限度ってとこだな。ついで、同時召喚数は2匹までだ。これはテイムモンスターと戦闘して、ゆっくり鍛えてくしかないな。あとは、テイムモンスターってのは1個体であり個人と言ってもいい、それぞれの考えってものもあるし、しっかり生きてる。そいつらを蔑ろにしてしまえば、決して強くはなれねぇ。だが、信頼関係を築ければ数字以上の強さを発揮してくれることもある。これは、サモナーにも機械士にも人形師にもないテイマーの特権だ。」
ティマイオスさんと話していて分かるように、このゲームのAIは非常に優秀だ。実際に生きているかのような反応は、モンスターも同じだということだろう。そして、モンスターと信頼関係を結ぶことで強くなっていくわけだ。愛着もわくし良いシステムだな。
「分かりました。僕がテイムしたモンスターはウィンドホークなんですけど、テイム条件として戦闘した時にドロップした素材を使って、アクセサリーを作りたいんです。でも、北は金属だし西は狭いし、東は言うまでもない、魔獣由来のことなら魔獣総合組合かなと思って、聞きにきた次第です。」
「分かった、魔獣素材でのアクセサリー屋だな。俺の知り合いに一人いる、そいつを紹介しよう。最初の相棒の素材を使うんだ、最高の物を作ってもらいてぇだろ、アイツの腕はかなりのモンだ、いいの作ってもらえよ。名前はアクセルっつうんだが、この南地区の中央側に魔獣の爪って店を持ってる。俺の名前を出せば少しは割引してくれんじゃねぇか、アイツには結構恩を売ってるからな。それにしても、最初にウィンドホークか、メインでテイマーやってるヤツには珍しいな。レアモンスターはやっぱ他に比べて強えからな。」
「魔獣の爪ですね、分かりました!今の発言で気になったところがあるんですけど、レアモンスターとかって一体どういう物なんですか?」
「あー、モンスターの種類については確かに話してなかったな。じゃあそれも話すとしようか、モンスターには4種類ある。1つは、通常モンスター。まあ、そこら辺にいる普通のモンスターだな。2つ目は、成長モンスター。通常モンスターが戦いの経験を積み、少しレベルが上がったり、普通じゃ覚えないスキルを覚えたりしてるヤツだ。これは見た目じゃあんま分かんないし、割とよくいるから気ぃつけろよ。3つ目は、レアモンスター。成長モンスターと違って、通常モンスターがレアモンスターに変わるケースはほとんどない。生まれから同種と違う強者ばかりだ、さっき言ったように、ウィンドホークは帝都東草原の、グラスランドホークを原種とするレアモンスターだ。」
ウィンドホークってレアモンスターだったのか、明らかに周りのモンスターと雰囲気違ったもんなぁ。武器の相性が良くなかったら絶対勝ててなかったし、正直かなり運も良かった。
「最後に、ユニークモンスター。コイツはレアモンスターより、更にレアかつ更に強い。出会うことすら難しいし、勝つのはもっと難しい。特殊な条件下でしか会えないだの、秘境みてえな場所にしかいねえだのめんどくせえヤツらだ。自分の目で確かめて欲しいから詳しくは言わねえが、ユニークモンスターとやり合う時はテイムスキルを起動しな。モンスターの種類に関してはこんなもんでいいだろう、また気になる事があったらいつでも尋ねて来い、2階の受付に言ってくれりゃあ大体は対応出来る。」
レアモンスターより更に強いユニークモンスターか、全然勝てる気しないな。ボスモンスターとかそういう強さになってくるんだったら、パーティを組むってのも必要になるな。
「はい、ありがとうございました!モンスターの背中に建築することを目指して邁進していきます!」
「ああ、そのことなんだが、フォートの夢ほどとはいかなくても案外早い段階で叶うかもな。そんじゃあな。」
ティマイオスさんに例を告げて、魔獣総合組合を後にする。扉を出て振り返ると、前は視界に入っていなかった看板が目に入る。そこには、「魔獣総合組合 ミカニス帝国帝都支部」と書いてあった。
ここの都市の名前って帝都だったんだ、シンプルなネーミングだな。それにしても、ティマイオスさんは面倒見がいいタイプらしい、講習の時といい自分のテイマーとしての知識は、ほとんどティマイオスさんに教えてもらったことばかりだな。本当にありがたい限りだ、いつかなんらかの形で恩返しをしたいな。よし、次はアクセサリー屋か、良いものができると良いんだけど。
書いてて思うのが、自分はよく喋るオッサンを書くのが一番楽だということです。今話を読んでくださりありがとうございます、良ければ次も読んでくだされば幸いです。




