第二話 驚愕!初めての戦闘!
主人公、初戦闘回です。ちょっと短め。
えーっと、ステータスはどっから確認すればいいんだ?右上の旗アイコンはクエストだから、左上の人のマークのがそうかな?うん、合ってるな。
フォート Lv2テイマー Lvーー
HP 生命力 C
MP 魔力量 B
SP 技力 G
STR 筋力 E
MGK 魔攻力 E
DEX 器用さ D
VIT 耐久力 D
MND 精神力 C
AGI 敏捷性 D
このゲームのステータス確認画面は、同レベル帯との相対評価を「S」~「G」までの8段階で表されるらしい。よくあるステータスだけどあんま見ない項目があるな、詳細見てみるか。
SPはスキルを撃つ際に消費するポイントか、通常攻撃を当てると少し回復するのが特徴、と。MNDは魔法防御や、精神系状態異常耐性と、こっちは思ったより普通だな。それにしてもステータス平均的だなぁ、やっぱ本人が戦うことはあんま想定されてないみたいだな、銃選んどいてよかった。
テイマーかつ戦闘もしたいって人は、メインかサブどっちかに戦闘職を入れてくださいねってことだろう。そういえば、サブジョブまだ手付かずだけど、チュートリアル終わったら勝手にやれってことなのかな。次はスキル欄を見てみるか、ステータスの横のタブに切り替えて、っと。
スキル
テイム 召喚 送還
3つだけか、まだ2レベだしこれから増えていくんだろう。装備も確認しておくか、武器はさっき見たばっかだけど、初期装備の防具は確認してないしな。更に次のタブに切り替えて、よし。
武器 帝国製帝国民用単発式ライフル
頭 なし
胴 帝国風シャツ
腕 なし
腰 帝国風パンツ
足 革製ブーツ
アクセサリー なし
帝国の主張が激しい武器に、近代的国家ならではの現代人とあまり変わらない一般的な服装。なんならブーツが1番防御力高そうな見た目してる。戦闘しようってやつの格好じゃないだろ。
そういえばテイム方法に関しては聞いたけど、戦闘のやり方なんもわかんないな、これから戦闘のチュートリアルだし当たり前か。さてと、クエストのナビは北東を指してるな、今は南の区画にいるから、街の東側に行けばいいのか。
中央広場から東に向かって歩いていくと、武装した人たちがよく目に入るようになった。どうやら傭兵ギルドとか、闘技場なんかがあるらしく、戦闘職の大半はこの区画を利用するらしい、道端でキョロキョロしてたらNPCのオッサンが教えてくれた。
加えて、比較的安全なフィールドは東門から行けるらしく、多くの人が集まるらしい。戦闘職の多い区画が、なぜ1番安全な東にあるのかと言えば、北は鉱山であり鍛冶屋や機械をいじるやつらが陣取ってて、南はより強く種類豊富なモンスターや植物を求めて、魔獣総合組合や採取職が陣取ってるかららしい、それでいいのか戦闘職...。自分には関係ないからいいか。
それにしても闘技場かぁ、PvPも楽しそうだな、いつか挑戦してみよう。そんなことを考えているうちに東門に到着した、バカでっかい門があってひっきりなしに武装した人たちが行き交っている。銃とか手持ちの機械を持ってる人は4割くらいだな、かなり多いけど銃と機構の国って大々的に言われるとちょっと少なく感じるくらい。
それより目立つのは、二足歩行するロボットとか、明らかに戦闘が想定されてる車両だ。大きさも勿論のこと、積んでる武装やら装甲が殺意高すぎる、人相手に戦ったら灰しか残らなそうなんだけど。ロボットや車両に軽く怯えながら、そっと門をくぐる。
視界の限り草原が広がっており、時折小動物や牛っぽいのがのんびりと草を食べるのが目に入る。門から離れるようにゆっくりと歩いていると、中型犬ほどの茶色いネズミが草を掻き分けて飛びかかってきた。バリン!という音と共にネズミが文字に弾かれる。
ネズミを弾き飛ばしたのは「戦闘のチュートリアルを開始します」というテロップだった。それが「武器を構えて下さい」という文字に変わり、急いで背負っていたライフルを構える。
ネズミはぶつかった衝撃を逃すように何回か頭を振ると、警戒態勢をとり睨んでくる。
「単発式の銃は、威力が高いですが連射性能は低い傾向にあります。落ち着いて攻撃して下さい。」
と出る、ライフルを構えると表示される照準をネズミに合わせるようにして狙い、引き金を引く。バン!という音と共に、ギリギリ目で追える速度の弾丸が飛ぶ、その弾丸はネズミの胴に当たり、赤いエフェクトを撒き散らす。
いつのまにかネズミの頭上に表示されていたHPバーが、4割ほど削れる。ネズミは軽くのけ反ったが、すぐに飛び掛かる体勢になり、そのまま飛び掛かろうとする。しかし、その頃にはライフルの2発目の準備が出来ている。
再びの銃声、緑色だったネズミのHPバーも、残りわずかになったことで赤色に変わっていた。戦闘は順調に進んでいた、だが、目の前のネズミはただの動物ではなくモンスターであることを失念していた。銃弾によって大きなダメージを受けたにもかかわらず、今度はそのまま突進を続行してきたのだ。
1発目の銃弾でネズミがひるんだこともあって、見事に油断していた僕は渾身の突進を喰らって吹き飛んだ。ただでさえステータスの低いテイマーが、チュートリアルとはいえモンスターに完勝するなどそうできるものでは無かったらしい。
吹っ飛ばされたのを利用してそのまま距離を取る、視界の端に表示されている自分のHPバーを確認してみれば、3割弱ほど削れていた。
ネズミは勢いのままに突っ込んでくる、攻撃が命中すれば倒せるだろうが、初期武器に低レベルかつ特に高くないDEX値、信用しきるには少し弱い気がする。ネズミの動きはそう速くない、落ち着いて見れば十分に目で追える。
銃の命中率に不安があるなら、直接殴ってしまえばいい、自ら近づいてくる上に速くもなく、的も大きい。もし自分が野球選手だったならホームラン確定の状況だろう。そう考えると、自然と思考が落ち着き、体から無駄な力が抜ける。
ライフルの銃口を自分に向けて、バットのように持つ、甲高い声を上げながら茶色いボールがストライクゾーンに入る。
ドスッ、と想像していたより重い音を上げながら、ネズミが跳ね飛ばされ倒れ込む。ほんの少し残ったHPバーを見てライフルを構え直すと、どうやらネズミは気絶しているらしい、ゲーム的にいえばスタン状態だ。
この状況なら外しようがない、照準をネズミに合わせて引き金を引く。三度目の銃声は、ネズミの断末魔に重なり不協和音を奏でていた。
『戦闘に勝利しました』
無機質な女性の声でアナウンスが流れた。ふう、相手に不意打ちされて始まったかと思えば、唐突に出てきたテロップに弾かれるという、意味の分からないスタートだったせいで驚きっぱなしだった。
ネズミもモンスターの意地を見せて、攻撃をくらいながら突進してきた時は、かなりビビった。このゲームの戦闘ってものをちょっと舐めてたかもしれない、でも、モンスターがこれだけリアルで個性的ならテイムするモチベーションもより高くなるってもんだ。
1人でさっきの戦闘を振り返っていると、ステータスアイコンの下、カバンのアイコンが光る。ドロップアイテムが確認できるらしい、スモールラットの毛や牙といったアイテムが手に入った。
カバンのアイコンはインベントリだったらしく、ドロップアイテムの確認が終わると、そのままインベントリを開くか、ウィンドウを閉じるか選べるようになっている。一応インベントリを開いてみたが、予想通り今のスモールラットというらしいネズミの素材しか入ってなかった。
インベントリを閉じると、クエストのアイコンが点滅した、チュートリアルクエスト「初めての戦闘を行ってみよう」のクリアの知らせだ。報酬は、回復ポーション一つと経験値だった。ポーションはそのままインベントリに入った、経験値ももらったみたいだけど、このゲーム経験値が可視化されてないからどんくらい貰ったのかが分からない。
戦闘終了時も経験値の表示はなかった、とりあえず戦闘一回と報酬分でレベルが上がらない程度だったらしい。レベルはじっくり上げていけばいいか、とりあえず初勝利を喜ぼう。
クエストアイコンがまた光る、クエストを開いてみれば任意のタイミングで開始できるチュートリアルクエストがいくつかあった。こっからは自由に行動できて、何すればいいかわからなくなったらチュートリアルクエストをこなせばいいのかな。
色々ウィンドウをいじってたら、ほんの少しだけHPが回復していた。戦闘してない状態だと、緩やかに自動回復するのかもしれない。HPが9割ほどまで回復したら、次はモンスターをテイムしに行こうかな。最初の相棒だ、しっかり選ばないとな。テイムには、アイテムが必要になることもあるって言ってたし、採取できそうなものを探しながらHPの回復を待つか。待ってろよ、未来の相棒!
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