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怪奇!VRMMO世界を闊歩する要塞!  作者: キリシマサンサ
一章 VRMMO世界来訪
2/18

第一話 怪奇!まるで現実のごときゲーム!

 今回から主人公視点になります。



 ピーンポーン!チャイムが鳴る。何か頼んでたっけな?疑問に思いつつも、取り敢えず受け取る。送り主はスターズゲームカンパニーか、最も完成度の高いダイブ型VRMMOを発売するって有名になった会社だ。確か今日が発売日だったっけ。俺も欲しかったんだけど、競争率高すぎて予約出来なかったんだよなぁ。


 それなのになんで、スターズゲームカンパニーから届け物が?開けてみればわかるかな?カッターを取り出し、段ボールの封を切る。おっ、開けてすぐなんか紙があるなどれどれ?


「ご当選おめでとうございます!事前アンケートにお答えいただいた方の中で、公式サイトでのご予約が出来なかった方の中から、抽選でスターズゲームカンパニーからプレゼントです!」


 と書かれていた。思わぬところから湧いて出た幸運に、胸を躍らせながらソフトを取り出す。マジでラッキー!やりたい気持ちが抑えられずに、どうにか手に入れる手段を探そうとしてたけど勝手に解決するとはな。


 テイムモンスターの一部には、建築可能!なんてPVで言われちゃやるしかないだろ、昔っからバカでかい生物の上に住むのが夢だったんだよ。早速やるか!と、急いでヘルメット型のゲーム機を起動してベッドに横たわる。若干の起動音とともに、だんだん意識が薄れていく。



 まぶたを通して光を感じる、どうやらしっかりダイブ出来たようだ。ゆっくり目を開けると、日本人の考えるファンタジー、中世ヨーロッパ風の小部屋の中にいた。部屋には椅子と机があり、窓から暖かい光がさしている。机の上に辞書みたいな大きさの本があるな、これ以外に気になるものもないし開いてみるか。


 この本は、これから新しい世界に旅立つ君たちへの餞別だ。まず、名前を教えてくれ。そうか、君の名前はフォートというのか。次は、主軸としたい職業を教えてくれ。ふむ、テイマーだな。補助の職業は、どれがいいかな。整備士か、わかった。最後に、この世界でどの国に降り立つんだい?銃と機構の国、ミカニス帝国か。これで、ここでする事は終わった。後ろのドアから、次の部屋で姿を決めるといい。


 本とリアルタイムで会話して、キャラクリエイト出来るの新鮮でいいな。職業も後ろのページにカタログみたいな感じで見れたし、雰囲気も出てる。後ろのドアつってたな、いつの間にか後ろに壁にドアが出来てる、パパッと決めに行くか。


 こっちの部屋は、衣装部屋って感じだな。多分、いろんな服や装備を合わせた状態を確認出来るってことだろう。親切設計だなぁ、話題になるだけのことはあるってもんだ。自分はテイマーメインで行くから、重装備はしないだろうし体格はリアルと近く、細めで身長はそこそこ高めくらいにしてっと。


 次に、髪は黒髪か金髪か、どっちにしようかな。どっちも目を緑にする上で合う髪色なんだけど、せっかくゲームなんだし金髪にするか。目の色は緑が最高だからこれは確定、詳細設定は透明度高めで少し青みがかった緑色にする。


 後衛職なのに厳つくしてもしょうがないし、顔も自分の顔を元に優しげな感じにしとこう。うん、ローブみたいなちょっとファンタジー感ある服も似合うし、いい感じだな、これで決定しちゃおう。



 「このドアの向こうは あなたの知らない新しい世界 あなただけの冒険をお楽しみください!」


 衣装部屋が、一つのドアだけ存在する白い空間に変わったかと思うと、メッセージが浮かんできた。ワクワクを抑えきれずに、ドアノブに手をかけ一気に開ける。太陽の眩しさを感じ、一瞬目を閉じる。目を開いたと同時、活気の溢れる街並みと、自分と同じように周りを見渡している、同じ服を着た人達、遂に始まったんだな、VRMMO「楽園の惑星」が。


 それにしても、楽園の惑星とかいうネーミングめっちゃ攻めてるよな、ゲーム会社がスターを名乗ってるし星に思い入れでもあるんだろうか。それはいいとして、こっからどう行動すればいいんだ?ここにいるヤツら全員が先駆者なんだ、攻略サイトもないし初心者に教えてくれる先輩がいるわけもない。


 おっ、視界の右上で旗のアイコンが点滅しはじめた。えーと、チュートリアルクエスト「職業ギルドに行ってみよう」か、今なんも持ってないし、職業ごとに初期装備かなんか貰えるのかな、今いる広場もプレイヤーらしき人がどんどん増えてきてるし、取り敢えず案内に沿って行ってみるか。


 広場から南に向かって歩いていく、ミニマップの類いはないが方角だけは表示されている。広場の付近は屋台ばっかある感じだな、近くの建物も倉庫やら住居ばっかだし、ここに来るのは待ち合わせをする時か通り過ぎる時だけになりそうだ。


 南の大通りをさらに進むと、動物の声や草木の香りが強くなってくる。銃と機構の国なんて言ってたが、南側は牧歌的な感じで機械的な雰囲気はないな。まぁ、それこそ俺みたいなテイマー系や農家みたいな職業の利用するエリアなんだろう。


 動物や、恐らくモンスターのものであろう唸り声が賑やかな、大通り沿いの建物が、テイマーの職業ギルドらしい。看板には「魔獣総合組合」と書かれている、総合組合ってことはテイマーだけの職業ギルドじゃないのか。まぁ、結構デカい建物だしな。ずっと建物の前にいんのも邪魔になるだろうし、さっさと入るとしますか。


 モンスターも入る想定なのか、かなり大きく扉の付いていない入り口を潜る。テイマー系職業が一度は来るだけあって、かなり広い建物だな。例えるなら、馬が全力で走っても1分かかるくらいの直方体。そこに、受付窓口やら店舗やら裏に繋がってそうな扉やらがあって、受付にはプレイヤーっぽいのがチラホラ並んでて、他はNPCっぽいのがまあまあいる感じ。


 受付に行けばいいっぽいな、案内もそっちに向いてるし。受付の女性もNPCのはずなんだが、表情とか完全に人間だな。惑星を名乗るだけあって、ここはあくまで別の星のリアルってことか。てか、どう話しかければいいんだ?クエストの案内に従ってここに来ました、って言って通じるのか?取り敢えず、無難にテイマーなりたいって言えばいいかな。


「すいませーん、テイマー志望なんですけど、ここは登録とかって必要ですか?」


「はい、ここ魔獣総合組合で初心者講習を行う為には、登録していただく必要があります。登録していただければ、組合でのランクによって様々なサービスを提供しております。」


「わかりました、じゃあ登録お願いします。」


「はい、ではお名前をこちらにお願いします。それと初心者講習ですが、あちらの扉の向こうで行っております。」


 話を聞きながら、書類にサインをして扉の位置を確認する。説明をしてくれた女性に礼を言って、扉に向かう。


 いやー、やっぱ人と話してるようにしか感じないし、最近の技術ってすごいなぁ。初心者講習ってのは、外でやってるのか、なんかの実践すんなら室内じゃ出来ないか。


 入り口は扉なかったのに、講習するとこは扉あるのか。ここはモンスターの出入りをしないんかな。扉の外は、校庭くらいの広さでちょこちょこ動物感の強いモンスターがいる。広場の端っこに1人立ってるな、多分あの人が講習してくれるんだろう。


「こんにちは、講習受けに来たんですけどここで合ってますか?」


「おっ、テイマー志望か、いいセンスしてんじゃないの。講習は確かに俺が担当してたぜ、そんで一つ聞いときたいんだが兄さんはなんでテイマーになりたいんだ?」


「自分は、昔からデッカい生き物の上に建物を建てて住む、っていうのが夢で、自分がこっちに来る前に見た紹介で、テイムモンスターにそれが出来るやつがいるって聞いたので、迷わずテイマーを選びました。」


「ほう、中々面白え夢持ってんじゃないか、ちょっと興味湧いてきたな。じゃあ、これから講習を始める。面白え話聞いたし、ちょっと詳しく話すとするわ。」


 何やら、自分の目標が彼の興味を惹いたらしく、少し声音が変わる。ん?さっき、して「た」って言ったか?まあ、ちょっとした言葉の綾か。


「さて、まず肝心のテイム方法から話していこうか。テイムを行うためには、まずテイムしたい相手を選択してテイムスキルを発動するんだ。スキルを発動すんのは、考えるだけでも出来るが難しいなら声に出しゃ出来る。」


 ダイブ型のVRでも、目線を向けてウィンドウを操作する方式も多いのに、完全な思考入力式が完成してるなんてな。体の動きだったり、ゲーム側から情報を与えるより、思考を分析する方が何十倍も難しいって話だったのに。


「そんで、テイムスキルを発動すると、自分を含めたパーティを組んでいる相手と、スキルの発動対象を含めた戦闘中のモンスターが停滞状態となる。移動も攻撃も行えないし、継続ダメージも受けなければ自然回復もしない。その状態でテイムの発動対象から、要求が行われる。例えば、こんなアイテムが欲しい、だったり自分と戦って勝て、だったりな。この要求を達成できれば晴れてテイム成功ってわけだ。ちなみに、一度テイムしたモンスターは逃したり出来ねえから、じっくり考えて選べよ。一度にテイムしてられる数にも限りがあるからな。」


 へー、結構珍しい方法でテイムするんだな。某国民的RPGみたいに、モンスターを倒したら仲間になりたそうにこちらをみるだったり、ポケットに入りそうな感じの弱らせてから捕まえる、みたいなのかと思ってた。


 話を聞いていると、視界の端で本のアイコンが点滅した。どうやら、チュートリアルの内容は、後で見返せるように文字に起こされて保存されるらしい。一回で覚えきれる自信もなかったし、地味にありがたい機能だ。


「んで次は、テイムモンスターとの戦闘についてだな。テイマーはモンスターを召喚して戦闘を行う。サモナーもいんのにどこが違うんだ、って思うだろうがそこはやっぱりテイムってとこが1番の違いよ。サモナーは、どっちかってーと概念的なモンを召喚して色々やらせるわけだが、テイマーは1個体を呼び出して共に戦闘するんだ。まぁ、初心者だと結果はそう変わらんが、過程が全然違うってわけだ。モンスターの育成があるのも大きな違いだな。」


 召喚って時点で、サモナーとの違いはなんなのかは気になってたけど、テイムの名の通り自らで調教したモンスターを呼び出すってことか。それに、モンスターを仲間にするなら、やっぱり育成要素も大事だよな。


「そんで戦闘の話に戻るわけだが、召喚したモンスターは指示には従うが、基本自分の意思で戦闘を行う。戦闘の傾向は、モンスターの性格や種族の特性によって変わる。そんで、戦闘出来る時間には限りがあるわけだ。召喚する時にどんだけMP突っ込んだかにもよるんだが、基本的に通常の戦闘なら再召喚なしでいける。ボスみてーなタフなやつだと、何回か呼ばなきゃならんわけだが、同じやつをもっかい喚ぶにはある程度インターバルが必要になる。そこら辺の管理もテイマーの腕の見せ所ってやつだが、戦闘中にモンスターがやられちまった場合も送還扱いになってインターバルが発生する。モンスターのHPの管理も怠るなよ、だが喚び直したモンスターは基本的に万全な状態で出てくる、そこも頭に入れとけ。」


 なるほど、MP管理とモンスターのHP管理に、インターバルの時間も管理しなければいけないのか。慣れるまではかなり大変そうだけど、上手くやれば非常に強い職業だろう。


「大体のことは話したが、モンスターに建物建てたいっつう兄さんにはこの話もしとこうかね。戦闘のために喚ぶんなら居られる時間に限りがあるんだが、常時こっちに喚んどける召喚方法があんだ。騎乗召喚って呼ばれたりすんだが、例えば馬みてーなモンスターやら、それこそ建築まで出来ちまうようなのは、一切の戦闘行為が行えない代わりに移動手段として制限時間なく喚べんだ。コイツはテイマーの特権ってやつだな。」


 モンスターの上に建築できるって言っても、時間制限があるなら住むことなんて到底不可能なんじゃないかと思っていたら、まさかの朗報。よく考えてみれば、長時間呼んでいなければ建築自体できたものではないか。


「まぁ他のやつも金を払えば騎乗用のモンスターを借りられるがな、魔獣総合組合ってのはモンスターの貸し出しとかもやってんのよ。一応言っとくが、騎乗召喚出来るモンスターも通常の召喚を行えば戦闘も出来っから、そこは安心してくれていーぜ。」


 テイマーなんかの一部のジョブだけ、移動速度が圧倒的に速かったら不満が出そうだと思ったら、そこら辺はしっかり対策済みらしい。さすがに、世間の話題をかっさらっていっただけはあるな。


「よし、これで初心者講習は終わりだ。しかし、兄さんは今なんの武器も持ってねえだろうから、テイムしにいこうにもどうしようもない状態だ。実は、この講習はクエストになっててな、講習を受け終わった兄さんに報酬として、初心者用の武器を引き換えられるチケットを渡す。講習を受け終わったことを受付に報告したら、受付と逆側にある店で引き換えて来な。そんじゃ、頑張れよ!縁があったらまた会うかもな。」


 講習を行ってくれた人に礼を言って、室内に戻る。それにしても、なんで講習を室外でやったんだろうか。なんかの実践でもあるのかと思ったけど、結局話聞いただけだったしなぁ。あの人の仕事が広場のモンスターを見とくことで、そのついでに講習をやったからとかかな?

 

 まあ詳しく話してくれたし、別に気にしなくていっか。入り口から見た時に目に入った店、そこで武器を引き換えて貰えばいいっぽいな。いくつか店が並んでるけど、武器を置いてそうなのは一つだけか、迷わなくて良さそうだな。その前に、受付に報告しろって言ってたな、さっき並んだところにしとくか、説明いらなそうだし。


「初心者講習が終わったんで、報告に来ました。」


「はい、講習完了の報告ですね。講習担当の名前もお願いします。」


「え、名前ですか?聞いてませんでした、少し荒っぽい口調の人だったんですけど。」


「荒っぽい口調ですか、講習担当は特に真面目な者が選ばれているはずなんですが。初心者用の武器の引き換え券は受け取りましたか?」


「それなら、クエストの報酬扱いってことで貰いました。」


「でしたら、講習担当の資格者ではありますのでなんの問題もございません。フォート様の組合への登録も無事完了致しましたので、組合員を示すカードをお渡しします。組合のサービスを受けられる際や、クエストを受注なさる場合は、こちらを提示して頂く形となります。


 また、組合員としてのランクを上げるには一定数のクエストをこなしていただく必要がありますので、より良いサービスをお受けになられたい場合は、クエストを受注なさることを推奨しております。」


 受付の女性から、一通りの説明を聞いた後ショップに向かう。テイマーには適正武器が存在しないので、基本的な武器は揃っているようだ。しかし、当初の予定通りライフル銃のような単発式の銃を選択する。


 銃の選択肢が幾つもあるのは、お国柄ってやつなのかな?それより、自分が武器に銃を選んだ理由だが、どうやら銃はステータスで火力が変わらないらしい。銃使い系統の職業で手に入るスキルなら、火力アップもできるようだが、ステータスが反映されるのはDEXによる命中率の上昇だけらしい。


 テイマーは、本人のステータスが高くないのが弱点らしいし、ステータスと火力が結びつかない銃がいいんじゃないかって思ったわけだ。MPは高いから、サブで魔法を使う選択肢もあるけど、テイマーとしての部分にMPを使いたいからなぁ。そもそも、銃と機構の国なんて言われてるミカニス帝国を初期地点に選んだ時点で、銃以外選ぶ気なかったからな。


 また、視界の右上で旗のアイコンが点滅しはじめた。チュートリアルクエスト「職業ギルドに行ってみよう」をクリアしたらしい。報酬はさっき使った武器の引き換え券と、経験値か。テレテテーンテテーン!っと軽快な音楽が流れた。視界の中央に、凝ったフォントでLvUPの文字が浮かぶ。それと同タイミングで、クエストアイコンが点滅した。チュートリアルクエスト「初めての戦闘を行ってみよう」か、レベルも上がったらしいしステータスを確認したら行くとするか。



 書き始めた当初に、面白く書ける展望が見えずに、一年以上放置していましたが、モチベーションが回復いたしましたので、一話から書き直しております。楽しんでいただければ幸いです。

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