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怪奇!VRMMO世界を闊歩する要塞!  作者: キリシマサンサ
一章 VRMMO世界来訪
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第八話 轟音!雷を纏う獣の試練!



 なんのスキルの補正もなく、低いステータスで木登りを行ったため、かなり不恰好になったが準備の第一段階は済んだ。あとは、ここからあのシカを観察してウィンドホークの力を使って、空中から急降下してテイムスキルを発動する。それが出来るチャンスを見逃さないようにするだけでいい、失敗しても通りすぎられるか避けられるだけ、近づいてくるならむしろ好都合だしな。


 なんでか、嫌な予感が拭えない。想定外が起こる気がする、見落としてる可能性があるのかもしれない。単に雷シカが想定より気性が荒いとか、太刀打ち出来ないほどの圧倒的な強さとかじゃなくて、もっと自分個人に対して不都合なような気がする。


 そうは言っても、何を見落としてるかなんて、多少考えたところでわからない。普段やらないジャンルの初見プレイなんだ、堅実なプレイを目指すだけじゃなくて、無謀なチャレンジもやってかなきゃな。とりあえず今の作戦を変える必要はない、その後のことはその時に考えよう。


 考え事をしながら待っていると、雷シカの向かう先がこちら側になったようだ。とりあえずウィンドホークを召喚しておく、予想通りのかなりの速度だ。ウィンドホークに指示を出して、自分を掴ませて飛ばせる。


 木の上より更に高いところから見ると、雷シカの異常さがよく分かる。周りの通常色なシカと一緒に動いてるが、雷シカだけ速すぎるため蛇行することによって合わせている、本来のスピードなら倍以上前方にいただろう。周囲のシカもまたそこそこのスピードがあるので、すぐに距離がつまる。


 気づけば、雷シカはすぐそこまで来ていた。ウィンドホークに急降下突撃の指示を出す。甲高い鳴き声を上げながら、一気に頭を地面に向け、加速しながら雷シカに一気に接近する。風を切る音が強く、周りの音がシャットアウトされる。雷シカがこちらに気付き、鳴き声を上げたように見える。左右の角の間が光ったかと思うと、視界が白く染まる。


『ズガガガガガガガガガーン!!!!!』


 轟音が鳴り響く、体に衝撃が走った。光が収まり、視界が開けた。咄嗟に自分のHPバーを確認する、普段は満たされている棒状の枠内には、こびりついた汚れか何かのような、もはや残っているのが奇跡と思えるほどの少量の生命力が表示されている。



 ハハッ!まさかこんなに強いとはなぁ。周りを見渡してみれば、ウィンドホークの姿が無い。既にやられて送還されたんだろう。自分よりステータスの高いウィンドホークが、雷攻撃によって一撃で落ちたのか。無様に地べたに這いつくばった自分を、雷を纏う獣が見下す。


 敗因は予想出来ていたんだけどなぁ、まさか全部とはね。想定より圧倒的に強く、想定より気性が荒く、そして恐らく飛行してるやつか、ウィンドホークに対して雷という攻撃方法は弱点をついている。嫌な予感はこれのことだったか。


 そういえば、ずっと慎重派を気取っていた割に、草原の奥地に入ってから一度も戦闘をしていない。こんな結果じゃあレアモンスターどころじゃなく、通常モンスター相手ですら勝てるかどうか怪しいところだ。レアモンスターを見つけてテンションが上がりすぎてたかな。


  「徹底的に鍛えてからまた再戦するとしようか。あ、せっかくHPが少し残っててこんなに近くにいるんだし、テイムだけ発動してみるか。


「テイム!」


「クラップスタッグ、テイム成功条件、無条件下の戦闘で勝利、草食動物の好むレアアイテムの譲渡」


 結構欲張りなタイプだなぁ。それにしても、ウィンドホークはタイマンだったのに、無条件での戦闘なあたり自信が相当にあるんだろう。それに加えてレアアイテムもか、さっき拾ったはいいけど、流石にこっから勝つのは難しいなぁ。


 クラップスタッグのプライドからか、トドメを刺されていないため、ゆっくりと起き上がる。近くに転がっていたライフルを手に取って、撃つ。銃弾は的確にクラップスタッグの頭に命中した、しかしクラップスタッグがそれを気にした様子はない。確かに傷はある、目を凝らさなければ見えないほどの

小さな傷が。


 どうしようもない強さを目の当たりにして、少し笑えてくる。まさかこんな序盤でここまでの強さのモンスターがいるとは思わなかったなぁ、でもこれが仲間になるっていうんだから、本当にいいゲームだ。このゲームの底が遥か遠くにあることが本当に嬉しい、人生最高の楽しさがずっと続くってことだから。クラップスタッグの角がまた光り始める。2度目の閃光と衝撃で、僕はこの世界に来て初めての死を経験した。


「いやー、一個奥に進んだだけであそこまで敵が強くなるとはなぁ。ネズミがウィンドホークに変わるのと同じ変化度合いって言われれば、確かにあり得るんだけど、たった一つのエリアでここまでの差があるのは予想外だったな。」


 帝都の中央広場という安全地帯に戻ってきたからか、思わず独り言をこぼす。近くにいた数人が、何事かと一瞬こちらを見るものの、すぐに人波に飲まれてどこかに消えた。その中の一人の、プレイヤーだろうに既に初期装備から脱却し、山賊かなにかのような荒々しい雰囲気の男が少し気になった。


 とりあえず、クラップスタッグに勝つにはそもそものレベルが足りてなかった。それに加えて、装備も結局は初期装備のままだ。しかし、レベルを上げ、装備を新調したとしてもウィンドホークが弱点を突かれている事実は変わらない。ウィンドホーク以外に、攻撃を受けてくれる前衛がいれば話は違うんだろうけど、雷がウィンドホークをだけを狙った場合、速度が売りではないウィンドホークはすぐに被弾してしまうだろうし。


 レベルを上げて装備も欲しいとなれば、クエストをやってくべきなのかな。魔獣総合組合で、テイマー用のクエストは受けられるよな、多分。その前にアクセサリーを受け取りに行くか、少し出かけたら出来てるって話だったし、もう出来てるんじゃないかな。その前に、ネズミの素材を全部売ってくるか、アクセサリー代に400W足りないらしいからなぁ、ネズミ素材全部売って足りればいいんだけど。


 モンスター素材の買い取りは結構どこでもやってるらしく、ネズミ素材は素早く現金へと姿を変えた。生産職のプレイヤーが練習用の素材としてネズミの毛皮を使うこともあるらしく、10匹弱ほどの素材だったが600Wになった。


 中央広場付近の店で売却が済んだので、そのまま魔獣の爪に向かう。というわけで、やってきました魔獣の爪。魔獣の爪も中央付近にあるからすぐに着いたな。店に入った瞬間、こっちに気づいた店主のアクセルさんが、瞬間移動したかの如く急接近すると、アクセサリーを手渡してくれた。しっかり財布から400Wは持ってかれたけど、それは想定内だったので気にしてない。


 喋る時間は結果短いとはいえ、喋るのが好きそうなアクセルさんなのに、今の一連の行動は無言だった。多分、まだ仕事が残ってるんだろう。アクセサリーと一緒に、メモ書きも渡されている。このアクセサリーの説明書きらしい、追加効果まで書いてある。


 この首飾りは、風鷹の首飾りか。追加効果は、遠距離攻撃の命中率微上昇、攻撃力微上昇らしい。風属性といえば速度上昇のイメージがあるけど、ウィンドホークは低速高火力なタイプだから、火力アップ効果なのは納得だな。


 それにしても遠距離攻撃に特化した性能だけど、アクセルさんが僕が銃を持ってるのを見て適した性能にしてくれたのかもしれない。特に命中率上昇はありがたい、クラップスタッグみたいな速いやつに当てられるプレイヤースキルも、DEXの高さもない以上何かでかさ増しするしかないからな。


 というかそもそも、自分一人で戦う必要がないよな。ウィンドホークはタイマン指定だったけど、今回は無条件なんだ、前衛ができる人がいれば一気にやりやすくなるはずだ。まあ、ずっと動き回ってるしリアルの知り合いがいるわけでもないし、一から探すしかないのがキツいけど、なんとかなると信じよう。



主人公といえど、そんな簡単に勝てるわけもなく。オンラインゲームといえば、人との交流も醍醐味の一つですよね。そろそろ主人公がソロを卒業するかもしれません。今話を読んでくださり誠にありがとうございます。次話は、別視点での回になります。次話も読んでくだされば幸いです。

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