表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

(2000文字以内です)ヒーロー【仮】【異性転生】

作者: 三愛 紫月

2月21日、僕は、ヒーローの訃報のニュースを見ていた。


彼の名前は、俳優の筑波亮介(つくばりょうすけ)


僕は、二十歳の時に死にたいと思っていた。


どうしようもなく生きづらくて死にたくて、たまらなかった時。


テレビで筑波亮介をたまたま見た。


そこで、三年前。二十歳だった時の苦悩を彼は話していたのだ。10歳から子役をやっていて、順風満帆のように言われた彼の人生の闇は僕の心の深い部分を掴んだ。


そして、その話の最後に彼が言った。


【自分を救えるのは自分です】という言葉に助けられた。


僕は、もう一度生きようと思ったのだ。


それからは、僕は筑波亮介の大ファンになった。

写真集のサイン会にも行った。舞台にも行った。映画の試写会にも行った。ドラマやバラエティーも、亮介君が出るなら必ず見た。


そして、CDの発売イベントやコンサートにも行った。


ファンミーティングにも参加した。


僕の世界は、全て筑波亮介だったのに…。


10年が経って、彼が自ら死を選ぶなどと夢にも思わなかった。


「僕が近くにいたら、僕が君の傍にいたのに…。ヒーロー」


僕は、泣きながら冷蔵庫からビールを取り出して、飲んだ。


飲んで、飲んで、飲んで…。




♡♡♡♡♡♡




「瑠璃、瑠璃、起きて、起きて」


その言葉に僕は、目を開けた。


「夢?」


「なに言ってるんだよ。春の陽気で頭がぼんやりしてるのか?」


そう言われて、顔を覗きこまれる。


「りょ、りょ、りょ、亮介君?」


「何!そんな呼び方してなかったよな?瑠璃」


そう言って、クスクス楽しそうに笑う亮介君の言葉に僕は女の子何だと気づいた。


「ちょっと待って」


僕は、亮介君の瞳を鏡がわりに覗き込んだ。


「何、何?突然」


「あっ、ごめんね」


そこに映ってるのは、セーラー服にパッツン前髪の女の子だった。


「別に、幼馴染みだからいいって」


そう言って、亮介君は笑った。


僕の髪を優しく撫でてくれる長い指先は、握手会の時と同じだ。


もしかしたら、僕はヒーローを助けられるかもしれない。


僕は、亮介君を見つめていた。


「何かついてる?」


「ううん。何もついてないよ」


「それならいいけど、今日の瑠璃へんだね」


「そうかな?」


僕は、瑠璃という名前らしい。


僕と亮介君は、今は中学生だ。


「来年、卒業したら、芸能人が多い高校に行くんだ」


「寂しい」


「えっ?」


「亮介がいなくなるのは、寂しいよ」


元が男だから、普通にこんな台詞が言える。


「瑠璃、好きだよ」


「えっ?」


話が急展開だけど、僕は告白された。


「離れちゃうから、付き合う?なんてな。ハハハ」


いや、付き合うに決まってるから!



「付き合う」


僕の言葉に亮介君は、驚いた顔をしていた。


「いいの?村雨が好きだって言ってたよね」


村雨?誰だよ、それ。いらない、いらない


「亮介と付き合うに決まってるよ」


こうして、僕は筑波亮介と交際した。



♡♡♡♡♡♡♡♡


10年後ー


2月21日ー



「俳優の筑波亮介さんが、かねてから交際していた一般人の女性と入籍をしました」


僕は、テレビのニュースを笑いながら見ていた。



「瑠璃、テレビ消せば?」


「亮介のニュースやってるんだよ」


「ニュースって、結婚したんだから知ってるだろ?」


「そうだね」


僕は、ヒーローを救う事が出来ていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ヒーローのニュースって響きがいいですね めっちゃ新しい情報を手に入れて、めっちゃ参考になりました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ