宝石問題2
「そ、その鉱石、俺の店で売ってくれ!」
「え? でもさっき質屋にって」
「あんな質屋よりもウチで売った方が何倍も金になる!
ここで会って方が何倍も徳だぞ」
「えっと……じゃ、じゃあ、値段と要相談ってことで……」
「よし決まりだ!
そうだな……俺の見立てじゃ、この鉱石は銀貨80枚ってところだ」
「はあ!?」
〜〜〜〜〜〜
ところ代わりアスカ宅……
「ーーあ!」
「どうしたの? リリン」
「そう言えばあの子に採掘した鉱石とか宝石の本当の買取金額、教えてない!」
「ああ!!」
「あの子の将来の為に子供がもらうお小遣い程度の金額以外は渡さず、全部貯金に回していたから、そのことを含めて、すっかり伝えるのを忘れてたわ」
「そういえばあの子って、どうやってあんなに鉱石を取ってきてたのかしら?」
「アルマが宝石のありがを教えてくれるんですって。それを採掘するからあっさり見つかるって言ったわ」
「アルマ……あの子がいると、鉱山の鉱脈があっさりと見つかって……」
「……その辺を説明する為に、一度エルストリアに行った方がいいかしら」
とんでもない事態に気がつき、エルストリアに行くべきが苦悩するアスカ達であった。
〜〜〜〜〜〜
そして戻って現在ーー
「これがそんな金額なわけがないでしょ!」
「なに! なら90……100枚でどうだ!」
「いやだから、そんな金額するわけがないでしょ!」
「……するわけがない?」
「ええ」
俺がこの鉱石を先生に売却を頼んで帰ってきた金額が精々銅貨4、5枚。子供のお小遣い程度だ。
それを考えると……これぐらいの大きさなんだから、銅貨20枚行けばいい方なんだ。
それなのに……いきなり銀貨80枚なんてふざけてる。
「……この宝石が欲しいからって、そんなわざと高い金額になんてしなくていいですよ。
精々ーー」
「だったら、お前が選んだこの宝石! この宝石と交換ならどうだ?」
「ですからそれじゃあ高すぎるんです!」
「だがな、その鉱石でその大きさなら下手な買取行う方がまずいんだ。
ここは、これで我慢してくれねえか?」
「だ・か・ら! それでは採算が合わない、と言っているんです!」
「うるせえ! それをこれ以上安く買い取るなんてしてみろ!
それこそ問題になるわ!」
「だってこれ明らかに安物でしょ!」
「だからなんでそうなんのか教えろって言ってだろうが!」
「見りゃわかるでしょ!」
「わかんねえから言ってんだろうが!」
だあもう! こんな見てわかるダメダメな宝石がわからないなんて、宝石商として問題だろ!
「……もういいです! もう少し、ちゃんとしてところで」
「ま、待て! だったら、お前が望むだけの金額をくれてやる。それで買取とするってのはどうだ?」
「いや。これ単純に信頼の問題です。そんなあっさりと金額を変えたり、交換で誤魔化そうとする人に何か物を売りたいと思わないんです!」
そう言って立ち去ろうと振り返ると、思った以上に人が屯していて、びっくりとして後退する。
いつのまにかこんなにも人を集めていたのか……。
「ーーおい。あの宝石、見たかよ」
「ーーああ見たぜ。うそだろ」
「ーーアダマンタイト鉱石だ。初めて見た!」
「ーーしかもあの大きさ!」
「ーー売れば一生遊んで暮らせるぞ!」
「……」
人混みの方から声が聞こえて顔を顰める。
一生遊んで暮らせる? そんなわけないだろう。
それなら武器用に使っている宝石の方が圧倒的に高価だし、使い勝手もいいんだぞ。
だがそんなこと言っても価値がわからない人には伝わらないので、俺はそそくさとその場を離れよう
「この集まりはいったいどうしたんですか?」
として、そんな綺麗な声が野次馬の声を割いて聞こえてきた。
そちらの方へ顔を向けると人混みから1人の女の子がこちらに向けて歩いてきていた。
金色の髪に綺麗な青色の瞳。同い年ぐらいの背丈で俺と同じ魔法使い見習いとしての黒いローブ身につけている。
「これは、なにかあったのですか?」
「いや。なにかあったって話でもないんだ。
宝石を売ろうとして宝石商の人が信頼ならないから質屋に行くって話で……」
「宝石……ですか……。
すみませんが、その宝石を見せてもらってもよろしいですか?」
「ああ。まあ別にそんないい宝石、ってわけじゃないけど……」
興味があるのなら別に隠すことでもないで見せてやる。
宝石を見て彼女は目を細くした。
「……」
「……あの」
「……すみませんが、宝石商の方は、これをいくらで買い付けようと?」
「??? 最初は確か……銀貨80枚じゃなかったかな?」
「……80枚」
問われた問いに正直に答えると周囲がどっと騒ぎ始めた。
「銀貨80枚!? 嘘だろ!!?」的な感じで。
「……あなたは、この鉱石を売る為にここへ?」
「いやいや。俺は、あそこに並んでいる赤い宝石が欲しくてあの店に寄ったの」
「そうですか……。こちらですか?」
そう言って彼女は高い値段の大きい宝石を手に取った。
「いいや。そっちの小さい方」
「……こちらですか?」
「そう」
その宝石が今この場にある宝石の中で1番いい!
「なるほど……。店主」
「は、はい!」
「こちらの宝石、いただけますか?」
「え!?」
「そちらの指定する金額をお支払いします。
ミーシャ」
「はい。では店主、あちらで話を」
突然現れたメイドは宝石商の人と交渉を始め出した。
宝石を買った彼女はその宝石をこちらに差し出してきた。
「こちら、差し上げます」
「い、いやいや! そんなの悪いって!
それに、それはあなたが買ったもんだろ。それを」
「では代わりに条件です。
そちらの鉱石を調べさせてください」
「?? これをですか?」
こんなのただのアダマンタイトだろ?
「私、実は宝石には少々興味がありまして……その宝石を有名な鑑定士に鑑定してもらうと思いまして……よろしいですか?」
「……まあ、そういうことなら」
別に詳しいことは知ろうとは思わないが、そういうことなら好きなだけ見てもらう。
そう思ってアダマンタイトを渡し、代わりに目的の宝石を手に入れた。
「あ、そうだ。
この宝石の鑑定金額は、後日手渡しますね」
「別に小遣い稼ぎ程度しかもらえないんだから、別にいいよ」
俺がそう言うと彼女は目を丸くして驚いていた。
なんでじゃ。