小話 アストの家
アルマ
「ところで……そのアルマっていう精霊、もしかしてカーバンクル?」
「カーバンクル?」
「宝石の精霊のことよ」
「宝石……確かに、アルマの額に宝石がある!
なるほど、お前、カーバンクルっていう精霊なのか」
「……正直、初めて見たわ」
「え?」
「カーバンクルはね、宝石が獲れる鉱山にごく稀に現れるって言われている精霊で、発見例もかなり少なくて、こんなはっきりと人前現れることなんて滅多にないわ」
「……そっか。それだけ信頼してくれてるってことなのかな」
そうだったら、嬉しいな……。
「……カーバンクルは宝石を食べるって話を聞くけど……そこのところどうなの?」
「……。………ほうせき………しょくひで?」
……うち……破産するのでは?
ご馳走 or ……
「お夕飯できましたよ〜」
「「おお!」」
出来上がった料理に感嘆の声が2人から漏れる。
「いや〜それにしても、成長したな」
「何がですか?」
「アスカは昔、料理とも呼べない暗黒物をしょっちゅう作っていてた。
一緒に旅をしていた時も、最後の方には5割の確率で暗黒物だったのは、今でもアスカの謎の一つだった」
「も、もう! アストにそんなこと言わなくてもいいでしょ!」
「ふっ……リリンさん」
「?」
「母さんは、料理をしたら10品中3品はダークマターです」
「……今ある料理の品は5品……なるほど、計算したのね」
「要らない考察は不要です!」
助けて!
「それでは、3日後に戻ってきます。
それまでに適度な運動と体力作り、可能ならば魔法に対する予習をしておきなさい」
「はい! 頑張って勉強します、先生!」
「せ、先生!? そ、その言葉は私との特訓をやり終えてから口にしなさい! いいですね!」
3日後……
「戻ったわよ。まったく……今時の貴族ども本当鬱陶し
「ーー助けてセンセ〜!!!!」
「グッハ!?」
リリンがアスカの家に辿り着くといきなり勢いよく飛びつかれた。
飛びついてきたアストは身体中ボロボロで目元には隈ができている。
「たすけ、たすけてせんせい!
死ぬ!! 殺される!!!」
「ど、どうしたっていうのよ!?
いったいなにがあったの!!?」
「リリン。リリンからも言ってあげて。
あんなの普通の運動なんだから別に普通のことだって」
「うんどう?」
「ええ。
隣町へ行って帰ってくる軽いランニングの後に朝食。
その後座学による魔法の勉強。昼食を取ってモンスター倒す実習訓練。実習訓練後は剣術訓練をして夕食、軽い座学を行なって1日の訓練を終了する流れよ」
「………」
ここから隣町まで馬車で片道半日はかかる。
徒歩、ランニングともなれば倍以上は確実にかかる。
「数時間前に帰ってきて今最初の座学をが終わったところなんです!
今実習なんてしたら死んじゃう! 助けて!」←2徹
「……さすがこれはやり過ぎじゃあ……」
「何言ってるの? これぐらいは当たり前のようにやってもらわないと修行なんてさせないわよ」
「ヒィ!?」
「……」
この後、どうにかして残りの内容を済ませ、アストが死んだように眠る中、頑張って説得をし訓練内容をだいぶ減らすことができた。