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ゲール親娘の会話(後編)

今回はリスネの視点になっております。

ご了承ください。

 お父様は私の肩をガッと掴んだ。


「なぜ、言い切れる? 医者に診てもらわないと分からないだろう?」


「いえ、見てもらわなくても…………あっ…………お父様、ハヤテと私が男女の仲だと思っていますか?」


「違うのか?」


「いえ、違うわけじゃないんですけど…………」


 この話題になるとどうしても歯切れが悪くなる。


 私とお父様との間に誤解があることに気が付いた。


 でも、そうよね。

 勘違いされてもしょうがないわよね。


 ……って、私はこのことをお父様に言わないといけないわけ!?


「そうだ、アンダーソン殿が医療部隊に随員していると聞いている。医療の覚えもあるし、人柄も評価できる。彼に見てもらおう」


 お父様は立ち上がり、私の手を引っ張る。


 待って!

 ちょっと待って!


「お、お父様! 妊娠の可能性はゼロ、です!」


「だからそれは医者でないと分からないと…………」


 あ~~、もう駄目!

 誤解を解かないとお父様が止まらない。


「私とハヤテは子供が出来るようなことをその……一回もしたことはありません……」


 顔が熱くなるのを感じる。

 お父様から視線を逸らした。


 なんで私、お父様にこんなカミングアウトをしているわけ!?


 でも、効果はあったようでお父様は私の手を放しくれた。


「どういうことなんだ? お前たちは夫婦ではないのか?」


 お父様は私に迫った。

 淡々とした口調だけど、威圧感が凄いわ…………


「夫婦にはその……これからなると思います。でも私は一番じゃなくて……」


 なんで私、お父様にこんなことを説明しているのかしら。

 泣きそう…………


「説明してもらおうか?」


 お父様は再びベッドに座り直した。

 おかしいわね、お父様の方が捕虜のはずなのに私が尋問を受ける流れになっているわ。


 私は可能な範囲で、なぜ私自身がハヤテの一番になれないかを説明した。

 誰か、泣かずに説明できた私を褒めて欲しいわ。


「なるほどな。リザさん、アイラ殿、他の皆がお前よりハヤテ殿に依存しているのは分かった。それにしてもそんなに多くの女性と関係を持っているとは思わなかった」


 関係、とはどういう意味で使っているのかしら?

 なんだか、私だけ恥をかくのも癪だから、ハヤテが童貞だってことをバラそうかしらね。


 お父様が怒っているのか、呆れているのか分からない。


「お父様、別にハヤテさんは女性にだらしない人じゃないんです」


 ハヤテが女を囲っているなんて思われたら、お父様はハヤテと居ることを反対するかもしれない。

 まぁ、ハヤテが色々な女の子を囲っているのは事実だけどね!


「ハヤテ殿がどんな人だろうとお前が決めた相手だ。私は何も言わない。というより、絶縁されても自分の考えを変えなかったお前だ。私が何を言っても変わらないだろう」


「それは……はい」


 体の芯が熱いわ……


「シエンナに似て頑固者だ。だが、一つだけ言わせてもらう」


「な、なんですか?」


「ハヤテ殿と一緒にいると決めたなら、一番になる努力をしたらどうだ? そこだけはお前らしくない。お前は素直に負けを認めるほど、諦めは良くないだろう。さて……」


 お父様は立ち上がる。


「どちらへ行くのですか?」


 かなりの自由を保証されているようだけど、お父様は捕虜なのだから勝手に歩かせるわけにはいかないわ。


「安心しろ、ハヤテ殿のところだ」


 それならよか……


「人の娘を愛人感覚で傍において、そのくせ、手を付けようとしないあの男を殴って来るだけだ」


 よくなった!

 お父様、表情には出していなかったけど、内心でかなり怒っている!

 お父様に殴られたら、ハヤテが死んじゃうわ!


「落ち着いてください! 大問題になります!」


 結局、私はここまでの話に使った倍の時間を使って、お父様をどうにか説得することが出来た。

 なんで私がこんな苦労をしないといけないのかしらね!


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