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ランデヴェルト平原の決戦⑤~ゲールの決断~

今回は第三者視点になっております。

ご了承ください。

 西方連合本営。


「緊急報告です! こちらの左翼に敵の竜騎兵部隊が現れました。指揮しているのはエルメックです!」


 その報告にゲールの幕僚たちは騒然とする。


「閣下、敵の総司令官が出てきました。もし、討ち取ることが出来れば、戦局がこちらへ大きく傾くことは間違いありません」


 参謀の一人が進言する。


「いや、あのエルメックが出て来たなら、簡単には突破できない。それより敵の注意がこちらの左翼へ向いている今こそ、右翼へ予備戦力を傾けるべきではないか?」


 別の参謀が他の案を出した。

 

 他にもいくつかの作戦案が出たが、大きく分けて左を攻めるか、右を攻めるか、の二択だ。


 中央では現在、アイラとフィールレイが奮戦している。


 二人がドレイクとワイバーンを引き連れて中央で暴れている限り、中央突破は難しかった。


 さらに報告が届く。

 内容は多種族連結軍が左翼へ兵を動員した、というものだった。


「先手を打たれたか。これでは敵の左翼を攻める隙が無い」


 ゲールは呟くように言った。

 それと同時にエルメックが最前線に出た今、誰が全体の指揮を行っているかが気になった。


 初めにハヤテのことを思い浮かべたが、彼が用兵を行えるという情報はない。


「まさか…………」


 ゲールは用兵において、「先手を打つこと」「早く動くこと」の重要性を幼少期からリスネに教えて教えていた。

 

「どうかしましたか?」


 副官のホーナーが尋ねる。


「いや、何でもない。そういえば、多種族連結軍の別動隊はどうしている?」


 ゲールが気にしたのは多種族連結軍の最精鋭たる亜人の軍勢の動きだ。

 

 西方連合軍は少し前に、多種族連結軍の別働隊の動きを捕捉していた。


 現在、別働隊は西方連合軍右翼の側面、地雷原の外にいる。

 

 ここから考えられる行動は二つで、地雷をどうにか処理して側面攻撃を行うか、西方連合軍の後背を突くかである。


 しかし、どちらの行動に出るにしても時間がかかる。


 ゲールは多種族連結軍の側面攻撃ないし後背攻撃の準備が完了する前に戦いを決着するつもりで、次の戦術を考える。


 ゲールは長い間、迷うことは無かった。

 彼は時間の消費が戦場で最も罪深い行為だということを知っている。


「予備兵力を左翼へ投入する。敵の右翼を襲い、エルメック殿を討ち取れば、敵に動揺が広がることは疑いない。巨竜対策の竜騎兵を除き、全空戦部隊を左翼へ投入しろ」


 ゲールは標的をエルメックへ決めて、行動を起こした。




 多種族連結軍本陣。


 リスネは常に変化する戦場の変化に対して、適切な対応を行っていた。


 機巧人の協力も大きいが、それ以上にリスネが幼少期から父、ゲールに教わった用兵学を的確に実行した功績だ。


 その結果、左翼と中央では互角の戦いを展開している。


 唯一の懸念は右翼の戦場だった。


 リスネは千代からの報告で、西方連合軍が右翼への攻勢を強めたは知っていたが、すでに本営に余剰戦力は残っていない。


「歴戦の将のエルメック将軍を信じるしかないわ。それに西方連合の戦力がこっちの右翼へ傾いたことは好都合よ。後は別動隊からの連絡が来れば…………」



 その時だ。



 千代が別動隊に同行した機巧人と通信を繋げる。


『待たせたわね。作戦準備完了よ!』


 パトラティアの声だった。


「直ちに作戦を開始してちょうだい」


 リスネの迷わずに即決で指示を出した。

 

 対して、パトラティアが『分かったわ』と返答し、通信を切る。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで全部読みました、全体的に話が良く出来ていると思います。 [気になる点] 戦争なのに主人公の甘さが目立つ気がする、どの戦争も開幕リントブルムの攻撃を撃った方が良かったのでは?一発で軽…
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