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最終決戦へ

「頼む、ハヤテ殿、この酷い戦いを終わらせて来てくれ」


 エルメックさんがそう言ってくれた。


 俺は頷き、リントブルムを召喚する。

 そして、リザ、香、ローランと共にリントブルムに乗った。


「ハヤテさん、私たちも連れて行ってくれ!」

 ヒルデさんが叫んだ。


「仲間は多い方が良いだろ? 私たちとエドワーズさんたちが同行する」


 ヒルデさんはエドワーズさんに視線を移す。


 するとエドワーズさんは澄ました表情で、

「君のパーティにもエドワーズさんがいるのかい? 初耳だよ」

などと言い、惚けた。


「呑気なことを言ってないで行くぞ」

「いたた、君はリーダーを敬いなよ!」

 ルタンスさんがエドワーズさんの耳を引っ張って、リントブルムに乗り込む。


「勝手で申し訳ありません。役に立ちますから、連れて行ってください」

 穏やかな口調でルタンスさんが言う。

 先ほどまでエドワーズさんの耳を引っ張っていた人と同一人とは思えない。


「『勇獅子』と『赤の魔術師』の皆さんが来てくれれば、心強いです」


 俺たち四人、『勇獅子』八名、『赤の魔術師』七名がリントブルムに乗り込んだ。


「リントブルム、結構、大人数だけど大丈夫か?」


『二十二、か、我は問題ないが、全員に気を使うことは出来ないから、振り落とされないように気を付けろよ』


 えっ、二十二?

 三人、多い気がするが……


「あたしたちも魔王って奴の所まで送っとくれ」

 すでにドラズさんが乗っていた。


 それだけじゃない。


「僕も出来る限り、戦います」

 ディアス君も一緒である。


 そして、もう一人は、

「なんでギルド嬢がここにいるんだ?」

 ローランが言う。


「あなた達、魔王の正確な位置、分からないでしょ。私の探索魔法なら一発よ」

 リスネさんが答えた。


「みんな、ありがとう。…………さて、最後の戦いに行こうか」



 俺たちを乗せて、リントブルムは浮上する。

 リスネさんが「あっちよ」、と指示を出す。


「リントブルム、他の敵に構うな。一気の魔王を倒す!」


『了解した』


 リントブルムは竜人たちとロキア王国軍が交戦している上空を一気に駆け抜けた。


 ゼルやフィールレイの姿もある。

 俺たちの存在に気付いたようだった。


 しかし、ロキア王国の軍と交戦中の為、俺たちの行動を妨害することが出来ない。


『来るぞ』


 地上からリザードマンたちの『竜弾』が飛んでくる。


「まぁ、これだけ派手に動けば的になるか。こうなったら……」


 俺がカードを引こうとした時、エドワーズさんがそれを止めた。


「ハヤテ君の力は凄いけど、無限ってわけじゃないんだろ」


「そうですけど……」


「なら、ここは私たちに任せてもらおうか」


『赤の魔術師』が先頭に立つ。


「お前にしては頑張るな」

とルタンスさんが言った。


「明日を頑張らない為に今日を頑張るんだよ。各員、撃ち尽くすつもりで弾幕を張るんだ!」


 エドワーズさんがらしくないほど、声を張った。


 リザードマンの『竜弾』を相殺する。

 

 戦場を駆け抜けるとリザードマンとは明らかに違う一団が姿を現す。

 

「ハヤテさん、あそこよ!」

 リスネさんがそう宣告する。


 魔王軍の本隊は驚くほど簡単に発見できた。


 しかし、その後が問題だった。


 レイドアの街に投下されているリザードマンが乗った特攻兵器が飛んでくる。

 それはエドワーズさんたちの弾幕を突破した。


 そして、リントブルムに被弾する。

 リントブルムは痛がる素振りを見せないが、攻撃が効いていないはずがない。


 このままだとまずい!


「リントブルム、地上に降りてくれ!」


『ああ、その方が良さそうだ』

 

 リントブルムは急降下する。


 地面に降りた俺たちは前後から挟撃される形になった。


「後ろは任せてくれ」とヒルデさんが言う。

「君たちだけじゃ、大変だろう。私たちも手伝うよ」

 そして、エドワーズさんも竜人の相手を引き受けてくれた。


「ありがとうございます。後ろは任せました」

 俺はそう言い残し、魔王の本陣に近づいた。


 俺は初めて魔人という存在を目撃する。

 背丈は人間と同じくらいだ。

 

 しかし、見た目は異形の化け物だった。


「でもなんでだろう。初めて見たはずなのにどこか懐かしい見た目だ。ずっと昔に見たことがあるような気がする。一体、どこで…………」

「ハヤテ、どうした?」


 俺が呟いているとリザが話しかけてくる。

 そうだ、今は妙な既視感の正体を考えている場合じゃないよな。

 


「行きますね!」


 香が先陣を切る。

 魔人は応戦しようとするが、香の方が早い。


『魔陰双流攻法ノ一『ヌキサキ』!」


 香の連撃が炸裂した。

 魔人が特別強いということはなさそうだ。


 ドラズさんとディアス君も前線に出る。

 三人で魔人を圧倒した。


 その隙にリザが、

「見つけた。あんまり気が進まない。でもやる。魔法付与の矢(炎)『青炎』!」

 何か所かにピンポイントで矢を撃ち込んでいるようだった。


 直後に大爆発が起きる。

 リザは震えていた。


「一体何をしたんだい!?」


 さすがにリザの魔法だとしても威力が高すぎる。


「リザードマンの入った箱を狙った……これでもうあの箱は飛んでこない」


「……ありがとう、辛いことをさせてごめんね」


「大丈夫だ。ハヤテ、魔王と決着を付けに行こう」


「そうだな…………香、ここは任せて大丈夫か!?」


 香は俺の言葉に振り向いた。

 笑顔で「もちろんです!」と答える


 俺はリザ、ローラン、リスネさんと一緒にリントブルムへ乗った。

 そして、もう一度、浮上し、進撃を再開する。

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