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避難支援

 次の日、俺はリザ、香、アイラと一緒にギルドに向かった。

 ギルドの中に入るとリスネさんがいた。


「疲れているみたいだね」

 化粧で誤魔化しているが、目の下のクマを隠しきれていなかった。


「レイドアの命運がかかっているのよ。休んでなんていられないわ。今日はクエストかしらね? 生憎、今は救急クエスト以外の受付は停止中よ」


「まだ冗談を言う余裕はあるみたいだね。…………まだ避難が完了していない村を教えてほしい。俺たちも協力するよ」


 リスネさんは少し迷う。

 そして、申し訳なさそうに


「ありがとう。ありがたく協力してもらうわね」

と言った。


 リスネさんは地図を広げる。


「レイドアから東へ行ったところでまだ避難が完了していない村があるわ」


「レイドアの西はもう避難は完了しているのか?」


「…………まだよ。でも、そっちは危険だわ。もしかしたら、接敵の可能性がある」


「なら、そっちを優先すべきだ。俺たちでそっちに行くよ」


「ごめんなさい。ありがとう。実は『勇獅子』と『赤の魔術師』も西部の避難に向かったわ。ハヤテさんはランテ村に向かって欲しいの」


「分かったよ」


 俺たちは詳細の地図をもらうとワイバーンに乗って、出発した。



 昼前には村に到着する。


 俺たちが到着すると魔王軍襲来の情報は流れていたようで、村人たちの避難の用意は出来ていた。


 この村は二百人前後の村人がいる。


「冒険者様、女子供を先に避難させてくれませんか?」


 俺は村長さんにそう言われた。


「安心してください。全員、まとめて移動できますよ」


 俺の言葉に村長さんは驚き、「どうやって?」と尋ねて来た。


 説明するより見てもらった方が早いと思い、俺はカードを引く。


「『天空の理想郷』を召喚」


 天空の理想郷

 レベル⑦属性(風) 召喚コスト3500

 攻撃力500 体力4000

『浮いているのは魔法の力か、高度の機械技術か。あるいはそれ自体が生物なのか?』


「『天空の理想郷』、降下して、道を作れるか!?」


 俺の言葉に『天空の理想郷』は地上へ降りてくる。

 そして、上に昇る階段を作った。


「これは一体……」


 民衆たちは驚きで口を開いたままだった。


「さぁ、歩ける方は階段を上っていってください。難しい人は…………」


 俺はさらに『ワイバーン』を召喚した。


「こっちで上まで運びますね」


 村人たちはさらに驚いていたが、やがて動き出す。

 一時間後、村人の全員を乗せて出発する。


 移動は始めてから俺は『黒鳥の群れ』を召喚して、周囲の索敵に当たらせた。


「こんなモンスターもいたんですね」と香が言う。


 召喚した俺自身、こんなに大きいとは思わなかった。


 東○ドームぐらいあるんじゃないのか。

 まぁ、東○ドームの正確な大きさなんて分からないけどね。


「このままレイドアに戻るのか?」

 リザが聞いてきた。


「いや、リスネさんから余裕があれば、『勇獅子』や『赤の魔術師』と合流してくれって言われているから、そっち方面に移動する予定だよ」


「過重労働だ」

「そんなこと言わないでくれ。これ、あげるから」


 俺は干し肉を取り出した。


「肉で私を誤魔化せると思うなよ」

と言いながら、リザは干し肉に齧りついた。


「最近はナターシャが柔らかい肉しか出さないから、こういうのもいいな」

 リザは美味しそうに干し肉を平らげた。




 暫くして、黒鳥の一部が戻ってきた。


「えっと、この辺りは『勇獅子』が来ているはずだな」


「朝、出たんだろ? なら、まだ来ていないんじゃないのか?」


 言われてみるとその可能性もある。


 俺は『ワイバーン』を使って移動をしているから早いが、馬ならまだ到着していないかもしれない。


 そんなことを思っていたが、レイドア方面に移動する一団を発見できた。


「リザ、『ワイバーン』で降りて、味方だって教えてくれないかい?」


「分かった」と言い、リザが降りていく。


 そして、ヒルデさんたちの警戒を解いた後に降下する。


「ヒルデさん、どーも」


「どうもハヤテさん…………じゃないだろ!」


 ヒルデさんはノリ突っ込みをしてきた。

 そんな人には見えなかったが、結構ノリが良いのかもしれない。


「なんだこのは!? 生き物なのか!? それとも魔法か!?」


 チートです、とは言えないなぁ。


「まぁ、俺の固有魔法みたいなものだよ。異世界の生き物を召喚できるんだ」


 恐らく、もう隠せないし、言ってしまって構わないだろう。


「なぜ、リスネさんが君のことを特別扱いするか分かった気がするよ……村人たちを乗せられるのか?」」

「その為に来たんだよ。それにしてもヒルデさんたちも手際が良いね。まだ着いていないと思っていたよ」


「私のパーティには移動魔法に長けた奴がいるからな。さすがに全員は一気に移動できないから、帰りは普通に帰るしかなかったから助かったよ」


「出来れば、ヒルデさんたちにも乗って欲しいんだけどいいかな? これだけ大きいと敵に発見された時に俺たちだけじゃ守れないかもしれないから」


「これに乗って良いのか。面白そうだ。護衛、喜んで引き受けた。…………ところで君の所の二人が私をずっと見ているんだが…………?」


 リザ、香、君たちは何を心配しているんだい?


「ヒルデ、私はハヤテの仲間で、正妻予定のリザだ。ハヤテにはもうこの香を初め、八人の愛人がいる。競争率が高いから諦めろ」

「さらっとまた私を愛人にしましたね……」


「ハヤテさん、九人も女を囲っているのか?」


 おっと、ヒルデさんが俺をゴミを見る目で見て来た。


「誰にも手を出していない!」


 いつものノリで俺を吊るな!

 ヒルデさんはそういう冗談が通じ無さそうなんだって!


 君たちはアイラを見習って、周囲の警戒をしてくれないかな!?


「……嘘は付いてい無さそうだな」


 ヒルデさんの警戒心が少しだけ下がったようだった。


「とにかく乗ってください。あとはエドワーズさんと合流する予定です」


 ヒルデさんたちを乗せて、俺たちはエドワーズさんの所へ向かう。


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