表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

第6話 ルカside

 腕の中で眠る彼女は、やはり、『瑞季』なのだと思い知らされる。


 

 昔から誘拐に遭うことの多かった瑞季を守るため、本人には内緒でSPをつけていた。今日の午後、体調が悪く保健室に運ばれたことと報告を受けた時は今すぐにでも駆けつけたかったが、出張ですぐには戻れず、引き続き見守ってもらうしかなかった。


 

 その後、『入れ替わった』らしいなんて聞いた時は意味が分からず、すぐ自家ヘリで飛び立ち、まさか冗談だろうと確認に行ったが…………




 はいはいはいー、と瑞希の癖のある返事で出てきたのは全くの別人だった。

 訝しんでいると、その人物が俺を見て「ルー兄」と言った。…………まさか、本当だとでもいうのか?



 その後、確かめるため、瑞季の嫌がりそうなことをたくさんしてみた。本人は隠しているつもりだろうが、そこかしこに『瑞季』だと感じる部分があった。


 極め付けの「むうっ」だ。俺が一番好きな顔。見間違うはずない。角度、口の動き、目の感じ全てが『瑞季』そのものだった。





 ………コレは本当だと言わざるを得ない。

だとすれば、さっき聞いたあ()()()の話も嘘でないことになる。




 沸々と湧き上がる怒りを堪え切れず、なんとか笑顔を保つが、お互い、顔を見合う姿はほんとに嫉妬してしまうなあ。……ホントに。

  


 それに、あの話……キスしたということも。

 


 入れ替わり報告の後、SPが言い淀んでいたのをしっかり言わせたのは正解だったと思う。



 

 

 おっと、怒りが顔にまで出てしまったらしい。

こちらを見る2人の顔がみるみるうちに青ざめていく。



 今にも逃げそうな瑞季を逃すものかと目で圧力をかける。まるで蛇に睨まれた子猫ちゃんだ。嗜虐心が燻られるが、これ以上は本当に嫌われてしまうため、なんとか抑える。



 ようやく口を割るかと思いきや、御影雪が突然口を挟んできたのには驚いた。本当に、初めて会ったんだよね?俺ら。

 初対面の人に怒られるなんてあの人以来で、少し動揺してしまった。どことなく、言い方があの人に似ていたのもあるのかもしれない。



 だから、思わず「事件」のことを出してしまったのは迂闊だった。横目で瑞季を見れば、抑えているようだが手が震え、顔がさっきとは比べ物にならないくらいひどく青ざめている。

 その姿を見て、動揺した心のまま精一杯の気持ちで瑞季に向かって土下座をする。



 その後、ようやく笑顔になった瑞季を見れて心の底から安心した。



 バレてると気づいた時の表情は可愛すぎたため、思わず頭を撫でたが、まさかあんな返しをされるとは思わなかった………。




 可愛すぎるでしょう、俺の妹は!



 

 瑞季のこんな姿を独り占めできなかったのがものすごく悔しいが。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ