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青春の秘密

 

 その後2人で話し合った結果、ボロが出ないように常に一緒にいることにした。


 『入れ替わった』なんて冗談に思われかねないため、家族にも学校にも言わないのが妥当だろう。




 ……2人だけの秘密ってなんかくすぐったい。




 元に戻りたいのは山々だが、こう言う類は慎重に動かないと絶対面倒くさいことになるのは目に見えている。



 

 学校にいたらどこで誰が聞いているのかわかったものではないので、とりあえずどちらかの家に行くことにした。


 

 「親は家にあんまりいないからうちにするか。」

 

「いやいやいや、女の子の家に男女が2人っきりってまずいでしょ。私の家に決定!」

 

「え、でも人いたらダメでしょ。」

 狼狽えている御影の言葉をバサッと切る。

 お金持ちって確か家にメイドさんとかいたよね?



 「それに、隣ハクいるし何かあれば呼べばいいから。」

 

 幼馴染の一条珀<<ハク>>はよくうちに遊びに来ていて、間違いなんて起こったことはない。そもそも、自分の姿に対してどうこうしようという気も起きないと思うが…



真っ直ぐに御影の目を見れば、しばらく渋っていたものの諦めにも似たため息と了承の返事をもらった。





〆〆〆〆〆〆〆


 「ただいまー」

その言葉は静寂の中へと消えていった。


 

 慣れてるけど…やっぱり寂しいな。



 しかし後ろを見れば、御影が物珍しそうにチラチラと玄関を見渡している。

 今日は1人じゃないと思えば少し気が紛れる。


 玄関で靴を脱ぎ自分の部屋に行こうとすると手をガシッと掴まれ、すごい剣幕で止められた。ベッドがある部屋はダメなのだそうだ。徹底してるなぁ。



 仕方ないのでリビングに行き、紅茶を出し2人でソファに腰をかけ計画を立て始めた。




 学校にいる間は2人で一緒にいるのは良いとして、学校が終わった後のことが重要だと思う。

 

 私の家は誰もいないため大丈夫だと思うが、時々ハクが窓から私の部屋に入ってくることがある。

 …着替えてる時も普通に入ってくるのは本当勘弁してほしい。

 

御影の家も親はイギリスにいるためいないが、歳の離れた兄と一緒に暮らしているらしい。親の転勤というのは嘘で、兄が手を打ってくれたのだという。

 家族にも周りからも見放されていた時も、ずっとそばにいてくれた大好きな兄のことを話している姿は本当に微笑ましかった。


 

 ということは、下手な演技をしてたらすぐにバレる可能性がある。理解者がいた方がいいが、下手な心配をかけたくないという御影の気持ちも分かる。

 ここはアカデミー賞並みの演技力を発揮して騙しきるしかない。…心が痛む。



 でも、変に話しておかしくなったと思われるのは御影の今後に関わってしまう。それにメイド達は自分の行動を監視しているらしく、下手なボロはだせないみたいだ。やはり、演じきるしかないな。




 今の目標は『バレない』こと、だ。



 

 それから、自分の性格、趣味、好みなど一通り書き出したメモを交換し、よく読み込んだ。喋り方、座り方、歩き方など指摘し合い、入念な練習を行う。

 

 


 なんとか形になったと思い、ふと外を見れば真っ暗になっていた。時計の短針は8を指していて、自分のお腹も悲鳴をあげている。

……そういえばお昼も食べていなかったんだった。


 

 「御影、夕飯食べていく?あんまりいいもの作れないけど」

学校から出る際、今日は迎えはいらないと伝えたと言っていた。夕食も何処かで適当に済ますとも。


 「!!食べたい!」


 目を輝かせてこちらを見る姿は子犬ようだ。

 耳と尻尾まで見えてきた。自分は猫に例えられることが多いが、中身が違うだけでこうも変わるものなのか。



 スパゲティを茹で湯切りをし、炒めたベーコンと牛乳、生クリーム、粉チーズを中火で混ぜ合わせたものと絡めてお皿に盛り付ける。最後に黒胡椒を振りかければ完成だ。




 「はい、お待たせ」

 テーブルに料理を並べれば、はわわわと口をパクパクさせる姿に思わず笑ってしまう。

 


 「そんなにお腹空いてたの?」


 そう聞けば


 「いや、あまりにも美味しそうだから!それに、なんか……同棲してるカップルみたいな、感じ、だった、から………」

言いながら恥ずかしくなっていくのは本当やめてほしい。



 つられて顔が赤くなる。

 「な、なに言ってんの?友達に料理作るくらい普通だよ?………あっ!!今日、ハクが夕飯食べに来るって言ってた!」



 その時、インターホンが鳴る。

 …いつも勝手に2階の私の部屋の窓から侵入してくるのに珍しいな。



 ガチャッ



 ドアを開けるといるはずのない人物がそこにいた。


 

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